【独自】「性被害者の味方」の裏切り…元弁護士・岸本学容疑者を逮捕 訴状が明かす示談金着服の手口

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事務所閉鎖、そして「逃亡劇」の結末

’22年11月以降、岸本容疑者はAさんからの連絡を無視するようになった。Aさんが別の弁護士を立てて弁護士会に申し立てた紛議調停(編集部註:弁護士や税理士、司法書士、行政書士など「士業」と依頼者の間でトラブルが起きたときに、その専門家団体の中に設けられた委員会が間に入り、話し合いでの解決を目指す仕組み)にも答弁書を提出せず、期日にも出頭しなかった。

直接の交渉を断念したAさんは’23年2月2日に民事訴訟を提起。その後の裁判所の送達手続きの過程で、岸本容疑者が構えていた港区新橋の「みせばや総合法律事務所」のオフィスは、’23年3月31日をもって閉鎖されていたことが判明した。

Aさん側の住所調査の末、ようやく’23年5月に訴状の送達が完了したものの、岸本容疑者は’23年6月19日の第1回期日にも出廷していない。

日本の民事裁判では、被告が事前の答弁書も出さず期日も欠席した場合、原告の主張がそのまま認められる。この裁判でも、第1回期日からわずか2週間後の’23年7月3日には、岸本容疑者に400万円と年3%の遅延損害金の支払いを命じる判決が言い渡された。

第一東京弁護士会の岡伸浩会長は、今回の逮捕を受けて発表した談話で、

「不祥事の芽を早期に摘み取るべく市民相談窓口の機能を拡大し、不祥事の根絶に向けた努力を続けるとともに、厳正な対応を行って参ります。会員における弁護士倫理の一層の向上に努め、当会は、市民の弁護士に対する信頼確保のために全力で取り組む所存です」

との立場を示した。

性犯罪被害に遭い、前を向いて歩き出そうとした被害者たちの信頼を、弁護士が裏切り、横領した示談金は住宅ローンへと消えたのか。捜査による実態の全容解明が急がれているが、被害者たちが負った二重の傷が癒えるには、長い時間がかかるだろう。

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