沖縄の戦没者追悼式で罵声、県民の思いと乖離 市長が制止に入る場面も
沖縄全戦没者追悼式でこのところ毎年繰り返される、うんざりする光景が、あいさつのため登壇した首相に対するヤジや罵声だ。高市早苗首相が初めて追悼式に参列した今年は、例年にも増して会場に怒号が飛び交い、首相のあいさつがほとんど聞き取れないほどだった。沖縄にとって「恥」でしかないこの光景は、戦没者を静かに弔いたい大多数の県民の思いとは乖離している。 高市首相が演壇に立ち、あいさつを始めるや否や、会場に怒鳴り声が響き始めた。「戦争反対」「9条を守れ」「軍拡反対」「ウチナーンチュに苦労させるな。ヤマトゥンチュこそ声を上げろ」と叫んでいるように聞こえた。 基地反対派と見られる男女は妨害を止めるよう求める県警職員らの説得を聞かず、最後は数人が会場から連れ出された。県市長会会長の中山義隆石垣市長も自席から反対派のところに駆け付け、唇に人差し指を当て「騒ぐな」というゼスチャーを交えながら制止しようとした。 中山市長は「今年は特に酷く、看過できなかった。県民や関係者が静かな環境で追悼したいと思って来ているのに、ああいうことが起こると参列者の気持ちが乱される。抗議するなら別の場所でやればよく『沖縄の人はみんなそうだ』と思われるのが許せない」と話した。反対派ではなく中山市長の行動こそ、多くの一般県民の思いを代弁していたのではないか。 こんな事態が毎年繰り返されるのは、基地反対派のヤジを「県民のやむにやまれぬ切実な訴え」のように持ち上げる風潮が沖縄に存在するからかも知れない。今年3月に起きた辺野古沖の抗議船転覆事故も、長年、反対派の非常識な振る舞いを見過ごしてきた沖縄社会のあり方と無関係ではない。 高市首相は特に動揺する様子もなくあいさつを続けた。式典後の報道陣の取材で、ヤジの感想を聞かれ「私自身がしゃべっているので、何をおっしゃっているのか聞こえたわけではないが…」と述べた上で、記者からヤジの内容を確認し「平和国家としての歩みを戦後ずっと続けてきたのは日本国の誇りだ。平和、国民の命を守るため、防衛力を自主的に強化したい」と強調した。(仲新城誠)