なぜ「スタートアップ探し」は失敗するのか? みずほFG最高事業開発責任者が語るオープンイノベーション成功の条件写真提供:共同

 みずほフィナンシャルグループでは「新たな産業を創る」という方針の下、100億円規模のファンドを通じてスタートアップ投資を進めている。2025年からこれを統括するのは、KDDIでオープンイノベーション型の新規事業を手がけた経験を持つみずほ銀行執行役員CBDO(最高事業開発責任者)の中馬和彦氏だ。同氏がJBpress Innovation Review主催のセミナーに登壇し、大企業の新規事業がうまくいかない要因やスタートアップとの向き合い方など、多くの企業が共通して抱える課題について見解を語った。

※本稿は、JBpress Innovation Review主催の「新規事業フォーラム」における「特別講演:オープンイノベーション型事業開発のススメ/みずほフィナンシャルグループ、みずほ銀行執行役員CBDO 中馬和彦氏」(2026年3月に配信)を基に制作しています。

みずほが「産業を創る」へ転換、その背景にある環境変化とは

 みずほフィナンシャルグループ(FG)は、新規事業の方針を大きく転換している。従来の自前主義によるゼロイチの事業開発から、スタートアップとのオープンイノベーションを通じた事業創造へとかじを切った。

 目指すのは「みずほのための新規事業」ではない。中馬氏は、「自社事業と直接関係しなくても社会や産業の課題を根本から解決し得る領域に踏み込み、新たな産業を創出することです」と説明する。その中核となる「Blue Lab Fund」では、100億円規模のファンドを通じてスタートアップへの投資を進めている。

 背景にあるのが、AIを起点とした産業構造の急激な変化だ。例えば自動車産業では、自動運転やファクトリーオートメーションの進展によって、産業そのものの前提が変わり始めている。中馬氏は「AIによって全産業が大きくアップデートされる時代が来ています」と語る。

 スタートアップの成長モデルも変化している。従来のように小さく始めて段階的に拡大するのではなく、OpenAIのように巨額の資金を初期段階から調達し、一気に市場を取りに行くケースが増えている。

 こうした変化の中で、中馬氏は「大企業とスタートアップの関係性も大きく変わりつつあります」と指摘する。AI時代に重要性を増すのはデータだ。しかし、膨大なデータを持つのは大企業側である。スタートアップが成長してから連携するのではなく、初期段階からデータを持ち寄り、共に事業を創る姿勢が求められるという。