高市首相と秘書を刑事告発 パー券売り上げなど虚偽記載で 裏帳簿情報も検察に提供
◆2011年には6人が付け替え
2011年もまた同様に、この社長を含む6人が付け替えをしていたと上脇教授は指摘する。政治資金規正法では、同一の者から20万円を超える政治資金パーティー券の支払を受けた場合、収支報告書にその明細を記載しなければいけないと定められている。「第二支部」の収支報告書は20万円を超えるパーティー券の収入があったにもかかわらずこれを記載しておらず、「研究会」の収支報告書には架空の寄付を記載したという虚偽記載だったということになる。 「第二支部」は2022年8月にも政治資金パーティーを開催している。一方、「研究会」の収支報告書には、大阪市の建設会社社長が60万円の寄付をしたと記載されていた。建設会社社長の証言を踏まえれば、60万円の「研究会」に対する寄付は、実際は「第二支部」が主催した政治資金パーティー券の購入代金だった可能性が高い。2021年も同様の手法で付け替えをしていた可能性が高く、その額は150万円だ。これらは「第二支部」側でのパーティー券収入の不記載、「研究会」側での架空の寄付の記載(虚偽記載)にあたることになる。 上脇教授の調査では、「第二支部」は2011年以降、2020年、23年、24年を除き毎年政治資金パーティーを開催しているが、建設会社社長は、2017年を除くそのほとんどの年で「研究会」への寄付を行っていた。政治資金パーティーの開催されていない年には寄付の記載がない。建設会社社長が確定申告で寄付控除を受ける手続きを採っていたら、税金の一部が返金(還付)されている可能性もあり、所得税法違反となる。上脇教授は組織ぐるみで常習性があることから、「悪質」と告発状・情報提供書で断罪している。
◆時効前の2021年、2022年分を刑事告発、それ以外は情報提供
2011年、2012年、2019年分ともに政治資金規正法上の公訴時効(5年)が経過しており、今回の刑事告発からは除外されているため、上脇教授は、悪質性を指摘するため時効完成分も具体的に紹介する形にしている。また、上脇教授が受けた裏帳簿の内部告発は、2011年、2012年と2019年の3年分のしかないため、それ以外の年に開催された政治資金パーティーでパーティー券を購入したのに寄付に付け替えられた人を、前述のA氏以外に特定することはできていない。 社長が確定申告をして実際に税金の返金を受けていたら、高市事務所のパーティー券を使った脱税スキームということになる。このスキームを使っていた可能性があるのは、A氏だけではなかったと思われる。 A氏の証言などを証拠に、公訴時効が成立していない2021年、2022年につき、社長の購入分を2021年は「第二支部」への寄付と、2022年は「研究会」への寄付と、それぞれ付け替えたとして、上脇教授は高市首相と会計責任者の木下氏の刑事告発に踏み切った。二人は「研究会」と「第二支部」の代表者と会計責任者だからだ。 収支報告書と裏帳簿には、A氏とともにA氏の建設会社の専務の氏名も記載されており、この専務の購入分も同じように付け替えが行われた可能性が高いとして、検察に情報提供された。 また、A氏と専務がパーティー券を購入したにもかかわらず、寄付として税制上の優遇措置を受けて税金の返金を受けていたら、所得税法違反の脱税に該当する。そして、「第二支部」や「研究会」の代表である高市首相と会計責任者の木下氏は、その脱税のほう助の罪を犯している可能性が高いとして地検に情報提供された。