印西市草深と白井市根を結ぶ、県道千葉ニュータウン(NT)北環状線。白井市内の道路予定地を不法占有してきたA社との交渉が進まず、全線開通のめどは立たないまま。URへの会計検査報告書等をもとに、泥沼化する交渉の経緯について掘り下げます。
問題となっているのは、白井市清戸の約450㍍の未着工区間。昭和45年に県企業庁が道路用地として取得したものの、昭和50年代後半から同地に不法投棄が行われ、廃棄物の山ができてしまいます。さらに平成に入ってからは、廃棄物上にA社が事務所兼資材置き場を設置して不法占有。「産廃物を撤去しなければならない」「不法占有している工作物といえども強制排除は難しい」ということとなり、問題が複雑化したのです。
URは、平成24年以降に道路地物件移転補償契約など3件を結び、A社に計2億8,900万円を補償します。一度は道路着工に至ったものの、A社からさらなる補償を求められ、現在は6年以上にわたって工事がストップ。以下はその経緯についてまとめたものです。なお、同地に堆積した廃棄物は実に4万6千立米。37億円にも上るその処理費用は、県が負担することになります。
●道路予定地上にある不法占有物に移転補償
まずは平成3年ごろ、県企業庁は、白井市内の道路予定地がA社の建物等によって占有されていることを知ります。URが、A社が所有する物件の移転について同社と協議を開始したのが23年。そもそもA社による不法占有であることから、県企業庁は同社への法的対応についても検討したものの、裁判での解決に時間を要して工事の完了に遅れが出るとして断念。またURも、不法に占有している物件であっても、所有権等の財産権の成立が認められてしまうとの判断から、「A社に補償して移転をお願いする」といった弱腰な対応となってしまったのです。
結果、24年5月、道路予定地上にある物件に対する移転補償契約を結び、A社に1,688万円余りを支払うことになります。
●残地上にある工作物の移転補償に2億2千万円
ここで言う「残地」とは、A社が使用していた土地のうち、道路予定地以外の土地を指します。道路整備によりA社が使用していた土地が分割され、かつ面積が大幅に減少することとなり、以前と同様の使用ができなくなることから、道路予定地以外の残地に設置されていた物件の移転費用を補償することとなったのです。25年8月に結んだA社との残地物件移転補償契約は、実に2億2,041万円に上っています。
●存置を認めた建物 工事による損傷で3度目の補償
さらに問題は続きます。本来の取り決めでは、A社は撤去期日までに、道路際から15㍍以内にある工作物を撤去することとなって
いたのですが、残地もまた廃棄物が不法投棄されてきた場所。残地内に建物を設置等するには廃棄物全ての撤去が必要となり、A社は期限通りの移転工事ができないとしたのです。そこでURは、工事に支障が出ない最低限度として、道路際から10㍍以内の物件を撤去すればよいこととし、残地内にあるA社一部建物の存置を認めたのです。(=存置建物)
ところが、平成25年12月からURが道路予定地上の支障物を撤去するなどの工事を始めると、A社存置建物の基礎部分にはく離などの損傷が生じたとして工事が中断。結果、平成27年、存置建物の損傷修復費などとして、A社に5,185万円を支払う損失補償契約を結ばざるを得なかったのです。
●法的対応の見送りが問題の長期化を招いた
振り返るに、URはA社による不法占有に対して、県企業庁との間で法的対応に関する協議を行っておらず、また処理要項に基づく事前調査も行っていませんでした。初期段階で、「工事の完了に遅れが出る」として不法占有者への法的対応を見送ったことが、かえって問題の長期化を招く結果となったのです。
現在、6年以上にわたって工事が進んでいないのは、廃棄物の撤去に先立ち行っていた鋼管矢板を打設する工事について、A社から振動等が激しいとの苦情があり、4度目の補償交渉を余儀なくされているから。A社との交渉は難航しており、工事再開のめどは立っていません。しかしこれまでの経緯からも、A社に安易に補償することは許されないところであり、これまで以上に慎重な対応が求められます。









