京都・南丹男児殺害事件 研究者に聞く ステップファミリーに「特有の葛藤」 継親が目指すべきなのは…
京都府南丹市園部町で行方不明になっていた園部小の安達結希(ゆき)さん=当時(11)=が遺体で見つかった事件で、安達優季被告(37)は養子の結希さんに「本当の父親じゃない」と言われ、衝動的に首を絞めたとされる。事件の背景には、(血のつながらない)継親(けいしん)と継子(けいし)の間のわだかまりがあった可能性がある。親の離婚と再婚などで、親の新しいパートナーと過ごす子どものいる家族「ステップファミリー」を長年研究、支援する菊地真理・大阪産業大教授(家族社会学)に話を聞いた。 【写真】高校時代の安達優季容疑者 安達被告と結希さんとの間には、日頃からトラブルがあったと報道されている。「新しい親」になろうと焦る継親に子どもが反発し、双方が苦しい状況に追い込まれていたのだとすれば、ステップファミリーで関係が悪化する典型的なパターンと言えるだろう。 関係の浅い段階で継親が継子に厳しいしつけなどを行うことは、家族関係に緊張をもたらすことがある。継親は歴史や絆を共有する実親子関係に後から加わるため、「よりよい親にならなければ」とプレッシャーを抱えがちだ。一方、継子は継父に「お母さんを取られた」ような感覚にも陥りやすい。 再婚カップルが初婚のような家族として再出発しようとすると、継親が継子の実の親の代わりを目指してしまう。しかし、継親が「新しい親」になろうとすることを、子どもは求めていない。そんな感情の隔たりが、衝突のきっかけになることもある。 継親が目指すべきなのは、しつけや教育を担う権威的な親ではなく、子どもの趣味や活動を一緒にやったり応援したりする、友人のようなフラットな関係なのではないか。また、別居している子どもの実親の存在を家庭内でタブー視するべきではない。継親が、子どもと別居親との交流をサポートすることが、信頼関係を深める契機にもなった事例もある。 一方、こうした事件が起きると「血がつながっていないからだ」と継親を危険視する主張が流布するが、ステップファミリーに虐待リスクがあると言えるデータはなく、根拠に乏しい。こうした危険視は、継親にとって、いっそう親のように振る舞わねばならないという圧力ともなる。 日本は年間16万人超の子が親の離婚を経験し、ステップファミリーは珍しい存在ではない。にもかかわらず、その特有の葛藤を避けるための社会的なサポートは少ない。まずはステップファミリーが初婚の核家族のような「普通の家族」とは異なる構造を持っていると、当事者や支援者へ理解を広めることが大切だ。