幽霊少年は笑う
その後、みんなは鳳家の権力によって呼ばれた車で快適に帰宅しましたとさ。
※捏造注意!
※闇司気味!
novel/20022988の続きです!遅れてしまってすみません。
司くんが少しだけ救われる話
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「ね、ねえ、あなた誰?」
つい夢中になって夜中まで歌ってしまい、大急ぎで家に帰っている途中だった。公園に小さな人影がいたのだ。真っ黒な影で幽霊が嫌いな私は最初逃げ出そうになったが、なんだか気になってしまった。幽霊にしてはリアルだし、もしかしたら私と同じくらいの子なんじゃないか、だったらこんな夜中にたった一人で何をしているんだろう。多少の恐怖はあったものの、今よりずっと好奇心旺盛だった私はその子に話しかけた。
「……そっちこそ、誰?」
「私は白石杏!あなたは?」
「オレは……」
「もしかして、教えたくない?」
「…………」
彼はうつむいたまま何も答えない。まあ、そういう子もいるだろう。
「そっか。でもこんな遅くになんで?ま、私が言えることじゃないけど」
「……休みにきたんだ。家にいると落ち着かなくてな」
「そうなんだ。私はこの街に住んでて、今は帰り。君は帰らなくていいの?」
「家には誰もいない。父は仕事で。妹は…入院していてな。母は見舞いだ。」
「入院、か…大変なんだね」
「オレは別に。大変なのは妹だ。」
「そうなんだね」
「……お前こそ、帰らなくてもいいのか?」
「はっ!そうだ!父さんに怒られる〜!」
「帰ったほうが良いぞ」
「それ、こっちのセリフ。ビビッドストリートは良いところだけど、裏の方行くと治安悪いところわんさかあるから。どうしても帰りたくなかったらうちに来てもいいし、どちらにしろ一人は危険だよ」
「ありがとう。じゃあ帰る」
「うん。じゃあね!」
「ああ」
最初に話したのはこれだけ。でもその一週間後も、また次の週もこの公園にやってくる。出会った時と違って歌を歌っていたこともあったし、ピアノをやっているという話も聞いて、まあ、一度も笑顔は見せなかったけど、私達は徐々に仲を深めていった。
それも大分経ち、ついに進級。私は中3になった。ちょうどその5月頃のことだ。
「でさー、父さんがぎっくり腰になっちゃって、今は病院なんだ」
「そうか。面白い人だな」
「そういえば妹さんってどうなの?」
「あ………そうだな。元気、だぞ」
「良かった。あー、会ってみたいなー」
「無理だ」
「だよね」
「……じゃ、帰る」
「うん。またね!」
「じゃあな」
その時、少し悲しそうな顔をした。フードを被ってるから、わからないけど。
それ以来彼が公園に現れることはなかった。
カランコロン
「父さん!父さーん!」
「なんだ、杏」
「なにか食べやすいもの用意して!」
私達はWEEKEND GARAGEに戻った。もちろん先輩も一緒に。本当は聞きたいことがたくさんあるけど、飢餓状態の先輩の手当が先だ。幸い意識も残っているのでご飯は食べられそうだ。
「なんでそんなこと…って、誰だ?」
「私の学校の先輩!いいから!」
「お、おう」
「私も手伝います!」
私は父さんを厨房に押し込み、こはねは父さんの手伝い、彰人と冬弥は先輩をソファーに寝かせた。
「す、すまないな…」
「謝らなくていいですよ。ったく、食べてないからこんなことになるんだろ」
「………そうだな」
「無理しすぎるのは良くないですよ。」
「……ああ…」
父さんとこはねが戻ってきた。
「すぐに用意できるのはおにぎりぐらいなんだ。さ、存分に食え」
「………!いいんですか?」
「ああ。金は取らねえよ」
「じゃあ…………」
天馬先輩はまた固まった。今度は何かをためらっているのだろうか。
「あーもう!さっさと食べてくださいよ!!」
「だが……役作りのために断食をしなければ」
「あんたな、神代センパイにもう止められてるんだろ」
「……!」
「だったら大人しく食えよ。仲間の言う事は聞いておくもんだぞ」
「……いただきます」
弱々しい動きでおにぎりを口へ運ぶ。ゆっくりと咀嚼して飲み込む。私達はその動作を黙ってみていた。
「……おいしい」
「……!」
二口目、三口目とどんどん食べていく。その様子に私はホッとした。
「良かった〜」
「司先輩・・・」
冬弥は心底安心としたようだった。
「それで、なんであそこにいたんですか?二年前から」
「・・・」
先輩の食事の手が止まった。
「やっぱり、話したくないんだ。」
「・・・いや、話す」
「え?」
「ただ……聞いても、今まで通り接してくれないだろうか」
『今まで通り』
「それって、どういうことですか?」
「なんでもない。二年前。オレが中3のころだな。」
最後の杏ちゃんと司くんのやり取りが良すぎてめっちゃ好きです!周りの人が温かい闇司ありがとうございます!!!