いま、中国の「民族団結進歩促進法」が国際的な問題となっている。この法律は来月7月1日に施行されるが、何が問題視されているのというと、この法律の第63条に「域外適用」つまり、中国ではない国でも適用され、かつ犯罪行為の定義が「中国の政策批判」にあることだ。やべえぞ。
まずな、「属地主義」と「属人主義」ということを話したい。
法律とは、国家主権において制定される。なので、その法律の効力は「国家の内側」なわけだ。
国家の内側にいる者は、一時的な滞在者であれば、永続的な居住者であれ、国家の定めた法律の下にある。
この例外が「属人主義」で、その国の国籍を持つ者に適用されるものじゃ。日本の刑法も属人主義を採用しており、日本人が国外で犯罪をした場合、処罰できるとする。
つまり、大麻が合法の国で日本人が大麻を吸った場合、その映像とかをSNSとかに馬鹿みたいに上げていると、「帰国後」に逮捕される、という話じゃ。
あくまで、日本の警察がタイとかオランダに乗り込んでた逮捕するのではなく、「帰国後」つまり、国家の主権下に入った時に逮捕・起訴できるというものだな。
今回、中国の「民族団結進歩促進法」は、ウイグルやチベットなどに対する批判や調査を「犯罪」であると定義し、それを「地球上のすべての領域」に適用する、ということだ。
これは、アメリカが既に制定しているウイグル関連の法令、
例えば、強制労働による製品製造があった場合は制裁を課すため、
米国内に製品を持ち込むためには、その製品が「合法」に製造された証明をしなければならないが、
「この製品、合法ですよね?」と日本企業が「中国政府に対して調査」などした場合、犯罪が成立すると考えられる。
これなあ、17世紀以来人類が培ってきた「国際法の良識」に思いっきり反しているんだよな。
ユーリック・ヒューバー(1636–1694)の『諸帝国における法の抵触について』(De Conflictu Legum Diversarum in Diversis Imperiis, 1689)では、「法」について次のように論じている。
「いずれの国家の法律も、その政府の境界の内側においてのみ効力を有し、これに服するすべての者を拘束する。しかし、その境界を越えては及ばない」
これ当たり前の話で、そんなことしたら国家主権と国家主権が衝突して喧嘩になってしまうからな。
そう、つまり中国はそれを狙っている、としかワシは思えないんじゃ。
話を整理しよう。
どうして、黒人奴隷制度が廃止されたか?
それは、奴隷制度は給料がかからないので、安い農作物ができる。すると、奴隷生産と、普通生産では、農作物の原価がかわってくるよな。奴隷生産のほうが圧倒的に安い。
そこで、奴隷制度が、たばこや砂糖、綿花など主要農作物の価格に重大な影響を及ぼし、紛争の原因となっーたわけだ。
同じ理屈は、現代の中国に適用される。
ウイグル人などを奴隷的扱いにして、強制労働をさせ、その原材料をユニクロやナイキなど大手企業が使用していた場合、価格は安くなるよな。
ユニクロ自身はこの疑いを全面否定しているが、フランスの司法当局は2021年、「人道に対する罪」を隠蔽した疑いでユニクロのフランス法人などアパレル4社に対する捜査を開始している。
「奴隷労働」を一国が導入すると、価格でほかの製品が競争で負けてしまうため、次第にほかの国も「奴隷労働」を導入しないとならなくなる。
そうした予想が当然にされるため、人権侵害として、奴隷労働を禁止しているわけだ。
現代で外国人実習生をつかって安い農作物をつくると、ほかの農業法人も外国人を使わないと太刀打ちできなくなるため、連鎖的に「外国人労働者」を使いまくる、という現象と同じじゃ。
そこで、トランプ政権のアメリカは、中国に対して、奴隷労働ないし強制労働で製品を製造した場合、制裁と取引停止を法制化した。
米国と取引する企業は、自社製品の「一部」であっても、強制労働との関与が無いこと証明しなければならん。当たり前だよな。
今回の中国の民族団結進歩促進法は、これに対するカウンターともいえる作用がある。
そう、「この部品、強制労働でつくってませんよね?」と「調査」したら、犯罪として処罰できる、という話だ。
しかも、地球上のいたるところで。日本でも。
最悪なことに、中国は「秘密警察」を日本国内に既に配備している。当然、国際法違反であるがおかまいなしだ。
これら秘密警察は、東京や大阪など主要都市に配備され、在日中国人の取り締まりをしている。
もし、在日中国人が政府の政策批判、特にウイグルやチベットについて言及した場合、逮捕できる。もちろん親族に対しても。
「親日的」かつ「ルールを守る在日中国人」であっても、「本国方針」に逆らえなくなるのが目に見えている。
それだけではなく、既に「ウイグル人」として帰化し、多数の親族を中国内に抱えた「日本の国会議員」であっても、「中国の意向」に逆らう心理的障壁が生じることが否定できない。
もちろん、日本人が日本国内で中国を批判した後、中国の領域に入れば逮捕起訴できる。
さすがに、前述の秘密警察が日本国内で日本人を逮捕したら大問題になると思うが、中国籍をもったまま日本に帰化した人については「属人主義」で、そうなることも否定できない。
もう大変な混乱が予想できるわけじゃ。
カッティング事件とかな。(紛争が起きた例)
テキサス州エルパソに住むアメリカ人、A・K・カッティングという人がな、メキシコ人を中傷する新聞広告を掲載。
で、カッティングがメキシコ領内に入ると、メキシコ当局により「名誉毀損罪」で逮捕・拘禁された。
アメリカ政府は「米国領域内での行為であり、米国内法では犯罪ではない」として即時解放を要求。
一方メキシコ政府は、被害者が自国民であることで釈放を要求したがメキシコ側は拒否。最終的にはカッティングは釈放されたが、大変な騒ぎとなった。
これをな、中国は現代でもやろうとしているという狙いが分析できる。
その目的は「大きな戦争を起こすには小さなトラブルから」ということではないかとワシは思っている。
気をつけろ! 平和とは、戦争と戦争のあいだをいうぞ。
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写真は、広島の裏山でなんか芸術的なポーズが偶然とれたワシじゃ。