仮想現実で運動すると脳内ではこんなことが!
▼ 文献情報 と 抄録和訳
バーチャルリアリティにおける海馬のシータリズムの増強とエタ振動の出現
Safaryan, Karen, and Mayank R. Mehta. "Enhanced hippocampal theta rhythmicity and emergence of eta oscillation in virtual reality." Nature Neuroscience (2021): 1-6.
[ハイパーリンク] DOI, PubMed, Google Scholar
[背景] 海馬のシータリズムは、神経可塑性や学習・記憶に重要な役割を果たしていることから、治療の標的となっている。ネズミの海馬のシータ振動は、神経活動、空間コーディング、シナプス可塑性、学習などに大きな影響を与える。このゆっくりとした振動を司る感覚的なメカニズムはどのようなものなのだろうか。
[方法] 仮想現実で生成されたトラックを走らせる訓練を受けたラットの脳内の振動と、現実に走っているときの振動を比較した。ラットは、現実世界(RW)または視覚的に同一の仮想現実(VR)の条件で、2.2mのトラック上を走るように訓練された。ラット4匹と7匹のCA1背側の電極991個と1,637個から、それぞれ60回のRWセッションと121回のVRセッションで、局所磁場電位(LFP)を測定した。
[結果] バーチャルリアリティを感じている動物の脳では、現実の世界を走っているときに比べてシータ振動が増強されていたのである。さらに、バーチャルリアリティで走っているラットには、エタと呼ばれる4ヘルツの新しい振動が検出された。イータリズムは、CA1錐体細胞層で最も高く、錐体細胞ではなく、CA1の介在ニューロンと考えられる細胞が、仮想現実でより強いエタの変調を示したと考えられる。
[結論] このように、多感覚体験は予期せぬ脳のリズムを明らかにし、治療効果をもたらす可能性がある。バーチャルリアリティは、脳のリズムを高めたり制御したり、神経のダイナミクスや配線、可塑性を変化させたりするのに用いることができる。
▼ So What?:何が面白いと感じたか?
まず、前提知識として、「シータリズムってなに?」ということがあると思う。
以下のサイトがわかりやすかったので、参考にしていただきたい。
シータ波・シータリズムとは、精神的に集中しているときに増幅され、記憶や学習がはかどる環境であることを意味する。
すなわち、現実空間のなかで運動するより、仮想空間の中で運動したほうが、精神的に集中した状態となり、学習がはかどる可能性があるということだ。
VRの新たな適応として、「学習が進みやすい脳内状態をつくる」が追加されるかもしれない。
なお、この論文の注目度は非常に高い。【Science】でも紹介されているので、参照されたい。
Stern, Peter. "Virtually changing brain." Science 373.6554 (2021): 530-531.
[ハイパーリンク] DOI, Google Scholar



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