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外国人労働政策はなぜゆがんだのか 混迷の30年を検証

労働政策研究・研修機構 労働政策研究所長 濱口桂一郎氏に聞く

BizGateインタビュー/Sustainability

制度のゆがみ、ブローカーの暗躍助長

――実質的な労働者を研修生として受け入れてきた制度のゆがみは、現場にどんな弊害をもたらしましたか。

最大の問題はブローカーです。日本で働きたい外国人が、現地の業者に多額の金を払って来日する構図が長く続いてきました。外国人が最初から労働者として入国する枠組みになっていなかったため、正規の労働市場規制の外側でブローカーが活動する余地が生まれてしまったのです。

さらに研修名目のもとで、転籍の制限やパスポートの取り上げといった、人権保護の観点から問題のある運用も起きました。労働者として受け入れていれば、もっと早い段階で労働法制や職業紹介のルールの中で整理されるべき問題が、長く放置されてきたわけです。

――製造業や外食産業などで外国人を労働者として受け入れる「特定技能制度」が創設されたのは2018年です。

特定技能制度は、日本が長年避けてきた「外国人を労働者として正面から受け入れる制度」です。深刻化する人手不足を背景に、建設、外食、宿泊など従来の技能実習だけでは支えきれなくなっていた分野で、外国人を労働者として受け入れる方向を打ち出しました。これが実現できたのは、政策決定が官邸主導になったからです。本来なら30年前に導入すべきだった「労働ビザ」的な制度を、30年遅れでようやく実現した格好です。

ただ、特定技能制度では別の問題も顕在化しています。分野別に受け入れ人数の上限を定めているのですが、外食産業で受け入れ人数が上限に達しそうだということで、4月に新規受け入れを停止しました。外国人材の採用を予定していた外食企業には大きな影響が出ています。

日本の外国人労働政策、特定技能制度を軸に

――今後、日本の外国人労働政策の見通しは。

基本的には、特定技能制度を中心とした現在の枠組みを軸にして進むと思います。国際貢献や技能移転を前面に掲げていた技能実習制度は、2027年度から、人手不足の分野で3年間の就労を通じて人材を育成することを目的とした育成就労制度に代わります。つまり、従来のように「実態は労働力なのに名目は研修」という構図に終止符を打ち、特定技能への接続を前提とした制度へ組み替えるわけです。

育成就労制度は特定技能制度と連続性を持たせ、一貫したキャリアアップを可能にする制度になります。育成就労から特定技能1号、さらに2号へとつながる流れができており、ブルーカラー外国人労働者が日本で継続的に働くためのルートを明確にしました。今後の大きな方向性としては、このルートを中心に進んでいくでしょう。

(聞き手は町田猛)

  • 著者 : 濱口桂一郎
  • 出版 : 中央公論新社
  • 価格 : 2,640円(税込み)

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