現場から

イートイン脱税「正直者がバカを」 消費減税、コンビニ客モラル頼み

比嘉太一 三浦淳

 食料品の消費税率を2027年4月に1%とする案が政府内で浮上している。

 税率だけ変えて今の軽減税率制度の運用が続くなら、買った食品を店内で食べるイートインと、持ち帰りの税率の差が、2→9ポイントに開くことになる。

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 レジで支払う時にどちらの税率になるかは、客の自己申告に基づく仕組み。モラル頼みの運用に、専門家からは改めて疑問の声が上がる。

 東京国税局(東京都中央区)の1階にあるコンビニエンスストアには、イートインスペースがある。

 窓には「イートインスペースで飲食される際はレジ会計時にお申し出ください」との貼り紙。イートインだとレジで払う消費税は10%、持ち帰りだと8%という違いが生じる。

 6月上旬、このスペースで食事をした客に聞いた。「イートイン」と申し出ましたか?――。

「気にしたことない」

 昼休みにおにぎりを買って食べていた30代の男性会社員。「申告していない」と言う。「周りの人たちも申告していないので、気にしたことがない」と明かした。

 別の男性会社員(33)は店で買ったプロテインを飲み干し、「買う時に税率を意識したことはない。(イートインだと)申告する必要すら感じない」。

 カップラーメンを食べていた男性会社員(25)は「税率が10%になるのは知っていたが、セルフレジでは求められなかった」。セルフレジにはイートインを申告するためのボタンがある。記者がそう告げると、「国税の建物に入っているコンビニなのに、申告ボタンの存在が分かりにくいのはおかしい」と不満そうだった。

 さらに、この男性は「ボタンがあるとしても、セルフレジで自ら『税率10%』を選ぶ人は損することになる。申告をする人は少ないのではないか」と話した。

 イートインスペースで食事をしたのに、持ち帰りの税率(8%)分しか負担しない行為に、違法性はないのか。

「イートイン脱税」敏感に?

 国税庁によると、消費税率を10%にするか8%にするかは事業者が決める。商品を売る際、客に意思確認をして判断する仕組みだ。

 ただ、客が「持ち帰る」と言いながら店内のイートインで商品を食べたとしても、税率が確定した後なので支払いのやり直しまでは求めていないという。

 消費税は、事業者が納税の義務を負う。もし、客がうそをついて少ない税負担で済ませたとしても、ペナルティーの対象にはならない。

 税法に詳しい元大阪学院大教授の八ツ尾順一・公認会計士は「結局は消費者のモラルの問題。正直者がバカを見ることになってしまう制度設計に問題がある」と言う。

 2019年10月に軽減税率が始まった時、持ち帰りではないのに8%の消費税しか払わず、店内で食事をする行為が「イートイン脱税」と呼ばれた。

 「当然、こうした行為に、さらに敏感になる人たちが出てくるかもしれない」と八ツ尾さん。想定するのは、2027年4月に食料品の「消費税1%」が実現して、持ち帰りとイートインの税率の差が「9」に広がった場合のことだ。

「今のままでも仕方がない、と国が考えている」

 本来は税率10%であるべきなのに、それより低い税率で取引されてしまうと、税収の減る国が損することになる。

 是正できないのか。八ツ尾さんは、国会での法改正などに必要な手続きの多さを考えれば、「今のままでも仕方がないと国が考えているのだろう」と話す。

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この記事を書いた人
比嘉太一
東京社会部|ジェンダー/メディア
専門・関心分野
事件・事故、沖縄、働き方、外食業界、調査報道

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