大学ファンド助成金の配分ルールも影響か
もう一つ、国際卓越研究大学の事業が一時停止している要因の可能性があるものに、大学ファンド助成金を受けるために、大学が独自基金を積み立てて、大学ファンドに出資しなければならない仕組みが挙げられる。
大学ファンド助成金の配分ルールは「体制強化計画実行経費」と、「大学独自基金支援経費」で構成されている。複数の教職員は、この「大学独自基金支援経費」を得るための積み立てに、多額の資金が必要になっていると指摘する。
国際卓越研究大学制度は、計画段階では10兆円大学ファンドを年3%で運用し、3000億円の運用益を5~7大学に毎年配分する触れ込みだった。仮に6大学が認定されれば、毎年500億円前後の助成金が配分されると期待して、制度に応募した大学も多かっただろう。1回目の公募には10大学、2回目の公募には8大学が応募。これまで認定されたのは東北大と東京科学大だけだ。
ところが、認定第1号の東北大に配分されているのは、2025年度が154億円、2026年度が169億円。この金額は、配分ルールの「体制強化計画実行経費」に基づいて決められたものだ。具体的には、東北大の資産から得られるアセット収入と民間などからの外部資金の合計額を、過去5年間の平均値として算出されている。
一方、「大学独自基金支援経費」は、前述の通り大学が独自基金を積み立てて大学ファンドに出資するもの。その仕組みはやや複雑だ。
まず、大学が独自に基金を積み立て、その積立額を毎年JSTに報告する。すると、大学ファンドを運用しているJSTから報告した額の2倍がJSTから大学に配分される。ただ、東北大は受け取った助成金を、ファンドへの出えん金としてそのままJSTに拠出しなければならない。この出えん金を運用した金額が、26年目に大学に払い戻される仕組みだ。
関係者の話を総合すると、独自基金の「東北大学運営基金」に2025年度は55億円を積み立てている。その財源も、内部には明確に示されていない。優秀な研究者の獲得や技術者の採用、それに毎年巨額な金額を基金に積み立てていく中で、財務運営が健全ではない状態に陥った可能性も考えられる。26年目に入ってくる巨額の払戻金を見越して、無理のある積み立てをしていたとも思える。
筆者は東北大に、東北大学運営基金に積み立てた金額と、JSTへの拠出が財務のショートに影響しているのかどうかを質問した。また、2025年度に大学ファンドから配分を受けた154億円の使途は公開しなければならないが、いつ頃公開する予定なのかもあわせて聞いたが、設定した回答期限までに回答は得られなかった。
繰り返すが、国際卓越研究大学制度は、巨額の税金を原資とする大学ファンド助成金を使う事業だ。学内外に明確な説明をする必要があるのは、当然ではないだろうか。