黒島結菜 11年経っても変わらないあきれるほどの「一徹ぶり」

堀井憲一郎
コラムニスト
写真:REX/アフロ

『マッサン』の黒島結菜は17歳

NHK地上波では、いま、昼に『マッサン』の再放送をしている。

20週は海軍からの発注によって、ウイスキー量産体制に入った。

あらたに人を雇い入れ、そのなかに「中村さん母子」がやってきた。

母美紀を演じたのが堀内敬子、娘の秀子役が黒島結菜であった。

黒島結菜は当時17歳、テレビコマーシャルなどでも注目されて、まさに売り出し中であった。

11年前の黒島結菜に驚く

11年前の黒島結菜はややほっそりしていて、初々しい。

2015年にリアルタイムで見ていたとき、明るく元気のいい子だな、と印象深かったのをおもいだす。

そして11年経って見ても、その芯が変わっていないことに驚く。

2026年の『未解決の女』での黒島結菜と、2015年の『マッサン』の黒島結菜が一直線につながっているようで、ブレが感じられない。

驚きである。

6話だけの出演ながら印象深い

女優としての黒島結菜はこの『マッサン』で広く知れ渡ったと言っていいだろう。

ここまでも何本かに出ていたが、『マッサン』でのデコ役(中村秀子なのでデコ)が印象深い。

出演したのは1週ぶん、6話だけである。(当時は土曜日も本放送だった)

それでも強く残っている。

印象的だった『マッサン』第20週

        

黒島結菜が出た第20週は、『マッサン』150話のなかでも印象的な部分でもあった。

英米との戦争が始まり、英国出身のエリー(マッサンの妻)は「鬼畜米英」の手先だと見做され、迫害を受ける。

そこでエリーが毅然と「私は日本人です!」と言い放つ感動的なシーンがある。

彼女を英国のスパイではないかと密告していたのが堀内敬子が演じる美紀。その母の「軍事主義に傾注しすぎた姿」を緩和する役として、明るい黒島結菜が使われた、いまあらためて見るとそう気づく。けっこう重要な役である。

『マッサン』から『ちむどんどん』そして『未解決の女』

『マッサン』直後に大河ドラマ『花燃ゆ』にも出演(高杉晋作の妻)、2017年に『アシガール』、2019年大河『いだてん』、2020年1月に朝ドラ『スカーレット』とNHKドラマに出演して、2022年朝ドラ『ちむどんどん』のヒロインを務めた。

高杉晋作の妻役以外は、(それは今クールの『未解決の女』も含めて)、一貫して「物怖じせずにまっすぐ進む女性」を演じて、ブレてない。

いつも明るく元気で前向きな役という印象になる。

黒島結菜から滲み出てしまうところ

もちろん違うタイプの役も演じてはいるのだが、心に残るドラマの黒島結菜は、明るく前向き、というところだ。

そこが一貫している。

おそらく、そういう役を割り振られているというより、彼女のその部分がどうしても前に出てくるのだろう。

滲み出てしまう、と考えるほうがわかりやすい。

たぶん、見ているほうが彼女にそれを求めているのではないだろうか。

11年間一貫してブレていない

そこが、役者というか「黒島結菜という存在」の特質でもあるのだろう。

先週終わったばかりのドラマ『未解決の女』でも「まっすぐ強い明るさ」を出していた。主人公(鈴木京香)の上司ながら若いキャリア警察官を演じていて、ポジションが変わっていない。

2015年の『マッサン』でのデコ役から一貫してブレていない。

『ちむどんどん』で不評だったのは

朝ドラ『ちむどんどん』でのヒロイン役でも、いろんなつらさや哀しみを抱えていたのだが、それでもいつも前向きというキャラが強調されていた。それが半年にわたり同じ方向で披露されたぶん、(元気になった人も多くいたはずなのだが)一部では反感を買ってしまったばかりだったのか、といまさらながらおもう。

いまや日本での一人者

2015年の『マッサン』では貧しいけれど明るく物怖じしない少女を演じ、2017年『アシガール』で足が速い少女を演じて、それはそのまま同じで、2026年『未解決の女』でもキャリア警察官ながらいつもスニーカーで、その姿は一貫している。

ブレない。

『未解決の女』ではその姿にでもはや強さを感じさせていた。

いまや日本でのこのキャラの一人者となっていると言える。

ここまで来ると、その存在が安心にもつながってきて、ずっと変わらずにいて欲しいと、強くおもっている。

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コラムニスト

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1958年生まれ。京都市出身。1984年早稲田大学卒業後より文筆業に入る。落語、ディズニーランド、テレビ番組などのポップカルチャーから社会現象の分析を行う。著書に、1970年代の世相と現代のつながりを解く『1971年の悪霊』(2019年)、日本のクリスマスの詳細な歴史『愛と狂瀾のメリークリスマス』(2017年)、落語や江戸風俗について『落語の国からのぞいてみれば』(2009年)、『落語論』(2009年)、いろんな疑問を徹底的に調べた『ホリイのずんずん調査 誰も調べなかった100の謎』(2013年)、ディズニーランドカルチャーに関して『恋するディズニー、別れるディズニー』(2017年)など。

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