「逃げて!」窓からはしごで屋上へ、水着姿の子も 小学校火災で何が
6月19日午前11時ごろ、東京都北区滝野川1丁目の区立滝野川第三小学校で火災があり、校舎の4階部分が激しく焼けた。授業中の出来事で、急きょ避難を求められた児童は、動揺を隠せない様子だった。何が起きたのか。児童や保護者、警察、消防への取材などからたどる。
出火したのは、3時間目が始まって間もない午前11時前。4階音楽室には、教員と5年生の児童合わせて25人がおり、リコーダーの練習中だった。
「ジリリリリリリ」。火災報知機の音が教室に響き渡った。このころ、教室内にいた男児は、隣の準備室から「バーン」という音を聞いた。
同じく室内にいた女児は、ピアノが置かれた教壇付近から火が出ているのを見た。教員らが駆けつけて消火に当たったが、みるみる火が燃え広がった。
児童たちは火を避けて教室の後方に身を寄せた後、廊下に出た。窓からはしごを伝い、ひさしのように突き出ている3階部分の屋上に下りた。体育館の屋根と同じくらいの高さ。児童の中には全身がすすだらけになったり、泣いたりしている子どももいた。
音楽室の真下にある図工室では、児童らがお互いの作品を見せ合っていた。報知機の音に、「何? 何?」とざわつきだした。
「逃げて!」。別の教室で社会の授業を受けていた女児(10)は、教員からそう言われ、階段で1階に下り、校庭へ避難した。
4階から噴き出る煙がどんどん黒くなっていった。「ドーン」「ドーン」「ドーン」。爆発が3回起き、児童の誰かが「きゃー!」と悲鳴を上げた。
学校に向かう消防車のサイレンが周辺に鳴り響いた。
子ども2人がこの学校に通う30代女性がそれに気づいて家の外を見ると、校舎の窓から、何かが赤く燃えながらぽたぽたと落ちていた。ただ、それ以上に煙の勢いが激しかった。
3階の屋上にいる児童たちに、はしごを持って駆けつけた消防隊員が「絶対助けるから!」と声をかけ続けた。女性が2階に目を向けると、校舎内を駆け回る女性教員の姿があった。取り残された児童がいないかを見て回っていたのだと、後で自分の子どもから聞いた。
校庭に避難した児童たちは、学校から300メートルほど離れた飛鳥山公園へ向かった。出火時、水泳の授業中だった児童もおり、水着を着たまま、バスタオルで口をふさいで移動した。
火災を知った保護者たちは気が気ではない様子で学校に駆けつけた。
都心部のオフィスにいた男性(47)は、会議中に自治会から連絡を受けて火災に気づいた。息子が無事かどうかわからず不安だったが、「引き取りに来てください」と学校から連絡があり、体育館で息子と出会えてようやく落ち着くことができた。
40代女性は自宅のテレビで火災の速報を目にした。逃げ遅れもいる、という情報もあり、「自分の子どもではないか」と不安が募った。飛鳥山公園に迎えに行き、「子どもの顔を見て安心しました」とほっとした様子だった。
孫娘が通っているという女性は、買いもの中に火災の連絡を受けて駆けつけた。
自分の顔を見て泣き崩れた孫を抱きしめ、改めてその無事を確認した。大きなけがはなく、「本当に無事でよかった」。
警視庁や東京消防庁によると、少なくとも児童8人と教員3人の計11人が煙を吸うなどして負傷したとの情報がある。うち児童1人は避難時に転び、骨折したという。
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