猛烈な日本叩きを展開する中国当局直系“プロパガンダ・メディア”の数々 目的は対外的な「影響力工作」、日本の弱点に突破口を開く切込み隊長を担うのは『環球時報』
NEWSポストセブン / 2026年6月9日 7時12分
沖縄・辺野古で船の転覆事故を起こし、修学旅行生の犠牲者を出した抗議団体は、中国共産党系の"プロパガンダ・メディア"の取材に協力していた──そう伝える本誌・週刊ポスト報道には大きな反響が寄せられた。
そうした中国の「宣伝工作機関」は日中関係の冷え込みを横目に、日本側にアプローチをかけている。その知られざる実態を、中国事情に詳しい紀実作家の安田峰俊氏がレポートする。【全3回の第1回】
猛烈な日本叩きを展開する中国の"党媒"
「ほどなく、大地震や富士山の大噴火が起きる」
「在日中国人を狙う犯罪が激増し、日本の治安が悪化している─―」
そんな首をかしげる記事を、日々配信する媒体がある。中国のプロパガンダ・メディアたちだ。
そもそも中国では、あらゆるメディアが党の統制下にある。なかには多少の矜持を持つ地方系などの媒体も存在するが、対して体制のプロパガンダ戦士に徹するのが、国内外に強い発信力を持つ当局直系の巨大メディア群だ。中国語で"党媒"と呼ばれる存在である。
中国の軍事や工作活動を研究する防衛研究所主任研究官の山口信治氏は、その内訳をこう話す。
「筆頭格が、党中央機関紙の『人民日報』。さらに通信社の新華社、国営放送局のCCTV(中国中央電視台)やCGTN(中国環球電視網)、軍を統括する党中央軍事委員会の機関紙『解放軍報』などが代表的です」
日中関係が険悪化するなか、近年の彼らは猛烈な日本叩きを展開中だ。報道の範囲を踏みこえた強引なこじつけや「捏造」に近い発信も多い。
「一昨年春、対日イメージを改善するべく中国の主要メディアの記者たちを日本に招待。都内の小学校を見学してもらいました。彼らの多くも、日本の教育環境に接した感想を素直に述べてくれた。しかしながら……」
外交筋の一人はそう打ち明ける。騒動を起こしたのは、『環球時報』。党中央に直属する人民日報社傘下の"党媒"だ。
「同紙の記者が、日中戦争を調べた児童の自由研究の掲示に『南京事件の犠牲者数が過小だ!』と激怒。帰国後、応対した小学校教員の歴史認識を批判する長文の記事を発表したのです。あまりに教条的で、呆れました」
彼らのこうした主張は、商業的な事情が理由ではない。主たる目的は、党の解釈を中国人民に周知させることに加え、対外的な「影響力工作」をおこなうことにある。
「自分たちが出す情報を操作し、対象国の認識や判断を混乱させることで、自国に有利な状況を作り出すオペレーションが影響力工作です。中国の"党媒"の対日言説は、その典型例と考えていいでしょう」(山口氏)
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