廿日市市に「自衛隊ふれあいコンサート」の後援をしないように求める!
- 2025/10/21
- 22:58
9月3日当会は松本太郎廿日市市長と生田徳廉教育長宛に
「『自衛隊ふれあいコンサート』の後援をしないことを求める要請書」を提出しました。
要請の主旨は、ふれあいコンサートは自衛隊の一面だけを刷り込む、子どもの発達段階を無視した反教育的な営みであり、
コンサートは「子どもの権利条約第38条」に抵触する危険があるから「軍隊」に変貌した自衛隊と公教育はコラボすべきではないからです。
9月13日に行われたコンサートには小規模校の佐伯中学校の吹奏楽部が参加でしたが、座席数約1100の7、8割が埋まっていました。昨年までのコンサートでは、開会のあいさつを市長がしていましたが、今年は教育長でした。市長にしても教育長にしても、主催者ではなく「後援者」なのに、主催者のような立場で「自衛隊音楽隊の高度な演奏に触れて中学生の音楽性が高まる」との挨拶には、軍隊と同視できる自衛隊との無防備な「ふれあい」の危険性の自覚はありませんでした。
そして、肝心の主催者である「自衛隊家族会」のあいさつは、これまでと同様に今回もなく、市や教育委員会が主催だと観客は思い込んでいるのではないかと思われます。主催者のするべき開会のあいさつを後援者があたかも市の行事であるかのようにするべきではないと考えます。
演奏曲目はショスターコビッチ、オッフェンバック、カーペンターズの曲や「宇宙戦艦ヤマト」「銀河鉄道999」などの生徒になじみのある曲でした。以前自衛隊がアンコールで演奏して当会が抗議した「軍艦行進曲(軍艦マーチ)」はさすがにしませんでした。
10月21日に憲法9条を削除し自衛隊明記をしようとする維新と連立した高市内閣が発足しました。今後、政権はますます右傾化し自衛隊は教育に侵入してくると思われますので、私たちの地道な取り組みはその動きにブレーキをかけるものとして一層重要になると思われます。
<要請書>
廿日市市
市長 松本太郎 様
廿日市市教育委員会
教育長 生田徳廉 様
教科書問題を考える市民ネットワーク・ひろしま
九条の会・はつかいち
子どもたちの未来を拓く広島2区市民連合
「自衛隊ふれあいコンサート」の後援をしないことを求める要請書
昨年の10月7日に私たち3者は「9月14日実施『自衛隊ふれあいコンサート』に対する抗議文」を廿日市市及び廿日市市教委に提出しました。産経新聞は11月6日付け社説「自衛隊演奏会 不当な抗議は容認できぬ」で、「隊員は命がけで、国と国民を守る崇高な任務にあたっている。今回のような抗議は自衛隊を貶(おとし)めるのに加え、明白な職業差別でもある。断じて容認できない。」「自衛隊は合憲で、国会が議決した自衛隊法などに基づいて存在している。」(注:下線部はミスリーディング。自衛隊を違憲とした判決は長沼ナイキ訴訟第一審判決が存在するが、合憲とした司法判断は未だに一件もない。司法はあまりに高度な政治的問題だとして「統治行為論」を採用し、司法判断を一貫して避けてきたのが実態。)「日本は厳しい安全保障環境下にあり、平和を守る抑止力や対処力として自衛隊の役割は高まっている。災害救援でも自衛隊は汗を流している。自衛隊への誤解や偏見を広める『抗議』は決して許されない。」と書き、自衛隊の役割は重要だから市民は抗議をするなとして新聞の社説という「公器」で市民の「表現の自由」を抑圧する報道をしました。
8月14日の沖縄タイムス社説によると、8月6日早朝、宮古島の市民団体が「いらぶ大橋海の駅」駐車場で、訓練休憩中の自衛隊員に小型拡声器で話しかけをしたところ、陸上自衛隊宮古島駐屯地のトップである宮古警備隊長が「(駐車場利用の)許可を取ってこい」と怒声で市民を恫喝しました。これは所謂「南西シフト」軍備強化政策により宮古島に駐屯地が作られミサイルが配備されたことを不安に思う市民の抗議行動、すなわち市民の「表現の自由」を抑圧する行為です。抗議行動をした市民は、「かつての沖縄戦で、ガマ(壕)から住民を追い出した日本軍を彷彿とさせる出来事」として発言の撤回と謝罪を求めています。抗議する市民に高圧的に怒鳴り散らす自衛隊員も、市民の抗議は断じて容認できないと居丈高に言い放つ産経社説も、国策に従わない市民の表現の自由を抑圧するのは当然だとするその傲慢さにおいて同根です。
私たち市民は自衛隊ふれあいコンサートは自衛隊の教育への侵入の問題と捉え、生徒を自衛隊と交流させることの問題点を行政にしっかりと考えてもらいたいと思い今年も引き続き、以下の要請をします。
<要請理由>
(1) 当該コンサートは自衛隊の一面だけを刷り込む、子どもの発達段階を無視した反教育的な営みであること
上述したように、自衛隊は、最高裁ですら合憲違憲の判断を「統治行為論」で回避するほど高度に政治的な問題をはらむ組織です。日本社会の中には自衛隊に関する賛否両論、様々な意見が併存しているのは事実です。そうであるからこそ、将来の主権者である子どもたちは、その発達段階に応じて幅広い知識を身につけ、多くの議論に触れる中で、多面的多角的に考察する力をつけ、少しずつ自分の考え意見を形成していくことが重要になります。それは公教育が教育的であるための根本的な要請でもあります。広島交響楽団とのコラボならいざしらず、政治的に極めて繊細な状況にある自衛隊が教育活動の一環として安易に13~15歳という年代の中学生とコラボすることは、十分な知識もなく、その問題性を自覚できないまま自衛隊の一面だけを刷り込まれるということになり、子どもの発達段階を無視した反教育的な営みだというほかありません。
(2) 当該コンサートは「子どもの権利条約第38条」に抵触する危険があること
「子どもの権利条約(CRC:Convention on the Rights of the Child)」はその第38条で、「武力紛争おける子どもの保護」を規定しています。15歳未満の児童が軍隊に徴募されることを防止する義務を締約国に課しているものです。条約採択(1989年)の時点では「15歳未満の徴募禁止」でした。しかし、その後、「15歳では不十分ではないか」という批判を受けて、2000年にCRCの「子どもの武力紛争への関与に関する選択議定書(OPAC:Optional Protocol on the Involvement of Children in Armed Conflict)」が採択され(日本政府も2004年に批准済)、 18歳未満の強制徴募は禁止とされています。「ふれあいコンサート」は、自衛隊の定員充足率が年々低下(2023年度の採用目標達成率は51%)し、人員不足が深刻化している中で、絶好のリクルートの場として位置付けられています。中学生を自衛隊という軍組織にリクルートすること自体が、「子どもの権利条約」に抵触する危険性があり、行政は無料の音楽イベントだからと言って、安易に容認すべきではありません。
(3)「軍隊」に変貌した自衛隊と公教育はコラボすべきではないこと
戦前の公教育は、修身・教育勅語が象徴するように、国家権力による教育の政治的支配(国家主義的な教育統制)が徹底され、子どもたちを侵略戦争へと送り出しました。そのことの深い反省に立って制定された教育基本法(1946年)は第10条で「教育は、不当な支配に服することなく、国民全体に対し直接に責任を負って行われるべきものである。」と規定しました。この条項を骨抜きにするために安倍政権が大きな反対世論を無視して強行成立させた2016年教育基本法もその第16条で「不当な支配に服することなく」という文言までは消すことはできませんでした。政府は改正教育基本法によって、不当な支配の主体に国家権力は含まれなくなったなどと勝手な解釈をしていますが、この文言はいかに戦前の国や軍による教育支配が深刻なものであったのかを物語るもので、国家権力が踏み越えてはならないレッドラインを踏み越えたことへの反省を示すものだと言えます。
かつて原則とされていた「専守防衛」の考え方は2015年の安保法制で「集団的自衛権」が合憲化され、2022年の安保三文書の改訂で「敵地攻撃能力」が容認されることで、完全に放棄されています。このような攻撃的な「軍隊」に変貌した自衛隊と公教育が安易に自衛隊ふれあいコンサートでコラボすることは、戦前超えてはならないレッドラインを踏み越えてしまった歴史的意味を顧みず、戦前の愚行を再び繰り返す行為だと言えます。
私たちは以上の理由から廿日市市及び廿日市市教育委員会に「自衛隊ふれあいコンサート」の後援をしないことを求めるものです。
- 関連記事
-
- 自衛隊に個人情報を無断で提供するのはやめて!
- 廿日市市に「自衛隊ふれあいコンサート」の後援をしないように求める!
- 軍都廣島への道再びー教育勅語反対署名にご協力を。