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T4xi DЯiver【短編小説】

タクシーって不思議な空間だよね。
見ず知らずの人が密室に2人きりでいても不思議じゃない。
というか「タクシー」という概念を取り払えば、冷静に知らない人同士が同じ車に乗り込むなんてどうかしてる。
運転手は見ず知らずの人を背後に乗せることに抵抗はないのだろうか。
中には人を襲うような客だっている。
どんなお客さんが乗ってくるかもわからないのに___。

とあるタクシーの営業所での話。時刻は深夜2時を回っていた。
営業所に戻ったドライバーの3人は疲れた表情をしながらも一息とばかりにコーヒー片手に談笑していた。

A「いやー今日はなんか変なお客さんが乗ってきてね。」

B「なに、そんなの日常茶飯事だろ。この時間帯のお客だぞ。華金で飲み歩いたり浮かれた奴ばかり。」

A「たしかに俺たちは慣れてるけどね。にしても今日は特に変なやつばかりでね。」

C「ふーん、どんな奴だったんだ?」

▼case1 黒づくめの客。

運転手「お客さん、どちらまで」

乗客「〇〇の〇〇まで、急いで。」

運転手「かしこまりました。」

思い返すと、この時点で変だった。男は黒い丈の長いレインコートを着ていた。
それに男の顔は反射でわかるくらいびっしょりと濡れていた。
今日は天気は良くなかったけど、雨は降っていなかったはずだ。

運転手「あれ、今日雨降ってました?」

乗客「…いや。」

運転手「お客さんびしょびしょじゃないですか。何かあったんです?」

乗客「…走ってたので。」

運転手「お客さん、熱い寒いあったら言ってくださいね。調整するんで。」

乗客「…ああ。大丈夫。」

いくつか会話をした後、焦燥し切った様子の男は眠りについた。
それから目的地について彼を降ろしたのだが、
降ろした後のシートは赤く染まっていた。

B「なんだそれ、怖すぎるだろ」

A「本当に!せっかく汚れないで済むと思ったのに」

C「なんのためにレインコートを着てたんだろう」

B「それでいうと俺もシートを汚されたんだ。」

▼case2 酔っ払い客。

運転手「お客さん、どちらまで」

乗客「…までぇ…」

運転手「どちらまで?」

乗客「〇〇区の家までって言ってんだろ!」

また酔っ払いか。
この時間のお客はだいたいこの層、慣れてはいるが面倒くさいな…

運転手「お客様、だいぶお酒飲まれてますけど大丈夫ですか?」

乗客「大丈夫に決まってんだろぉ!ぜんっじぇぇん酔ってねぇしぃっ!これのどこが酔っ払ってんのよ!」

運転手「お客さん、エチケット袋もありますのでご入用の際はお申し付けくださいね。」

乗客「おい、おいおいおいおいおい!まずい追われてる、殺される、助けて」

運転手「はい?」

乗客「俺はまだ死にたくない!!!はやく逃げないと!!!」

運転手「お客さん、やはりだいぶ酔っておられます?」
「それともなんか変なもんでもやってます?」

乗客「逃げなきゃ逃げなきゃ逃げなきゃ逃げなきゃ逃げなきゃ」

運転手「停めましょうか?」

キュッっとタイヤがアスファルトを擦る音と共に車が停まった。
ガチャッ。
そうして乗客を降ろした。
降ろすのにも一苦労だった。

B「あの客、シートを汚していきやがった。臭いもキツイし勘弁してくれ。」

A「それはご愁傷様。はずれだったね」

B「ああ本当に。それに余計な事も抜かしてたし。」

C「余計なこと?」

B「"追われてる"とか言ってさ。誰にだよって話だ」

A「…さぁね」

C「それでいうと僕が乗せたのは良いお客さんだったよ」

▼case3 絶望した客。


弱弱しくあげる手を見つけ、僕は停車した。
男はのそりと乗り込む。

運転手「お客さん、どちらまで」

乗客「どこでもいい。とりあえず走ってくれ。」

運転手「お客さん、そりゃあ困りますよ。行先がないと、、」

乗客「仕事を失敗して、家族を失って。もうどうでもいい。とにかく今は走っててくれ」

運転手「なるほど、、そうですか。それじゃあ一旦この辺をグルっとしましょうか。私で良ければお話し聞きますよ」

乗客「なに、話すことなんてない。社運のかかった取引を失敗してクビ。妻にも愛想を尽かされたよ。」

運転手「なるほど。」

乗客「もう俺には生きる意味なんてない」

運転手「またまた、あんまりそういうこと言うもんじゃありませんよ」

乗客「じゃあどうしろと」

運転手「しばらくぼーっと景色をみてみるのも気分転換になると思いますけどね」

男は窓の外をぼんやりと眺めていた。
それから___静かに笑った。
しばらく車を走らせたあと、僕は乗客を降ろした。
さっき乗せた客とは思えないくらい穏やかな顔をしていた。

A「それは上出来だね」

B「あんまり客に寄り添うなよ、回転率が落ちてもったいない」

C「いいじゃない。おかげでシートは汚れなかったし、どうせ最後なんだし」

A「それじゃあひとまず、汚れたシートを綺麗にしますか」

運転手たちは、時が経って茶色くなったコーヒーを飲み干し、ゆっくりと立ち上がった。
時刻は2時30分になろうとしていた。

車庫に向かい、
シートを綺麗にして、
それから、

…そっとトランクの"中身"を片付けた。

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マコトシン

興味深く読ませていただきました。多くの指示を受けておられるようで、勉強になります! もしよろしければ私の方の創作サイトにも遊びにきてください。手厳しいご意見でも参考になりますので励みになります。 宜しくお願いします。 https://tales.note.com/sin53486706/wlqpqnmov4mgk

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まぁ

最後の一文が怖い😱 トランクの中身って…。

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mioka

こういうストーリーだったのか!とか確かに!って思うことがたくさん!流石暇なつくん!!!

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紗萊亜

投稿ありがとうございます !!!! ほんとに1つの物語が読めた気分で歌と関連して聞いてみると新たな発見やなつくんの視点が見えてきてとても面白かったです !!! ‎🤍‪🫶🏻︎🕊 伏線やまだまだ見切れていない発見があると思うので何回も聞いてこの楽曲についてもっと考えたいと思います✨ 改めてあり…

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『ひまなつ』と申します。妄想します。
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