【SS】あなただけを

  • 1二次元好きの匿名さん26/05/10(日) 10:43:14

    深夜に立てたのが落ちてたので立て直しです
    少しずつ進めていきますが、それほど長くは無いので暖かい目で見ていただけると幸いです
    一応キャラ崩壊注意です

  • 2二次元好きの匿名さん26/05/10(日) 10:44:17

    「——それでね、その後先輩が私を車までおんぶしていったの。私とっても恥ずかしかったのよ!」
    「あはは…そーなんですね…いやホント、大変そうですね…。」
    「ええ、そうなのよ!…お茶を一口頂くわね。」
    一言断りを入れてから目の前に置かれた紅茶に口をつける。ふとカップの中を覗き込むと幸せそうな表情の自分と目が合った。
    …思えばここまで短いようで本当に長い道のりだった。一時はアイドル引退すら考えていたけれど、仲間や後輩たちに支えられ、そして先輩に出会って再起し、トップアイドルまで上り詰め、遂には世界中を駆け巡るまでの存在になれたのだ。3年前の自分に言っても全く信じて貰えないだろう。
    「急にティーカップを見つめて微笑んでどうしたんですか?星南プロデューサー。」
    「ふふ、あなた達と出会えて本当によかったなって思って。」
    「なっ…なに急に恥ずかしい事言っちゃってるんですか!?」
    目の前で頬を真っ赤に染めた会話の相手は私の担当アイドルにして今年から十王プロに所属となった後輩アイドル、藤田ことねだ。恥ずかしさが故か暫くの間こちらを睨みつけていたが、ブラックコーヒーに口を付け、時計を一瞥してから「そういえば、」と話を切り出した。

  • 3二次元好きの匿名さん26/05/10(日) 10:46:39

    「今日は午後から予定があるって聞いてましたけど、まだ事務所にいていいんですか?」
    「ああ、それのことね。」
    私も同じように壁掛けの時計を見ると、2本の針が頂点で重なるあたりだ。
    「元々まではその予定だったのだけれど、昨晩突然「明日大事な話がある。」って連絡があってね。それもお父様から。だから今日はそれまでの間の時間つぶしに事務所に来たの。」
    「なるほどー、だから自主練しに朝来たら星南プロデューサーがいたんですね。」
    「ええ、たまたまよ。本当に、たまたま。」
    「ちょっと含みを持たせるのやめてくださいよ!?はぁ…それにしても、世界ツアーが終わった翌日にいきなり呼び出すなんて、一体なんの用なんですかね?」
    赤くなったり青ざめたり、物思いにふけったり、今日のことねの表情はどこか忙しそうだ。
    「それがね、私もまだ聞かされてないの。ただ、最近海外での仕事もあったお父様がこの為に帰国するらしいから大事な事だとは思うのだけれど。それに先輩との予定が潰れたのだからそれなりの理由じゃないと納得いかないわ。」
    「なるほ…え、今日の予定プロデューサーさんとのデートだったんですか?」
    「で、デ!?…先輩との予定はただ一緒にショッピングしたり、映画を観たり、ディナーとるだけで…」
    「それがデートじゃないなら何がデートなんですか…そろそろあたしも帰りますから。よかったら明日なんの話だったか聞かせてくださいね。あと、そういうのはほどほどにしといてくださいよ。」
    「そういうの…?あ、今日はことねのレッスンを見れてよかったわ。また明日ね!」

  • 4二次元好きの匿名さん26/05/10(日) 10:47:54

    可愛い後輩を見送った後、自分も事務所を出て家に戻ると既にお父様も帰っていたようで荷物を置いて間もなく書斎に呼び出された。
    「お父様、今戻りました。」
    「ああ、入っていいぞ。」
    お父様の声を聞き、扉を開けると窓の外を眺めていたお父様がこちらに振り向く。その眼ははいつものように冷たく鋭かったが、表情にどこか緊張のようなものが入り交じっているように見えた。
    「昨日の今日で突然呼び出してすまなかった。体調は問題ないか?」
    「大丈夫よ。お父様の方こそ、わざわざ私のために帰国してくださったと聞いたのだけれど。」
    そう答えるとお父様は少し顔を顰めて頭を搔いた。
    「私としては電話でも良かったのだが、『こういう話はしっかり対面で話すべき。』と言われてな。」
    表情からしておそらくお父様にそう言ったのはお母様のことだろう。
    「それで、どんな要件なのかしら?」
    「…そうだな。もったいぶるものでも無いし手短に言おう。」
    そしてお父様は一呼吸置いた後、私の目を見てこう続けた。
    「…星南。お前の、婚約者が決まった。」

  • 5二次元好きの匿名さん26/05/10(日) 10:48:57

    ピリリリ…ピリリリ…
    「もしもし、先輩?」
    『…もしもし…星南さん…どうしましたか?』
    気付けば日も傾き薄暗い自室の中、ベッドの上で蹲りながら私は先輩に電話をかけていた。
    別に私と先輩は交際相手という訳でもないし、将来の約束を結んだことも無い。だからこういう話をするべきではないのかもしれないが、自分一人ではこの感情を到底抱えることが出来なかった。
    ——あとから考えればこの時点で彼の声は異様な程に震えていたのだが、その時の私はいっぱいいっぱいで全く気づけなかった。
    「…聞いて欲しいの。…私ね、いつの間にか婚約者を決められていたの。」
    『…えっ?』
    「さっきお父様に聞かされたの。『相手は若くして世界一のトップアイドルを育て上げた優秀なプロデューサーだ。』って。…私の引退後すぐ正式に結婚をするって。…私、どうすれば…」
    話しているうちに自然と私の目から涙が溢れ落ちる。
    電話越しに彼の深呼吸する声が聞こえる、きっと彼も急な告白に驚いているのだろう。そうしてしばらく間を置いた後、彼は重い口を開いた。
    『…俺もなんです…』
    「…は…え?」
    一瞬、世界が止まった。
    『…俺も今朝、聞かされたんです。『お前の婚約者が決まった』…と。』
    頭は動いていないはずなのに視界が幾度となく傾き続ける。
    『『相手は世界一のプロデューサーに見初められた現役のトップアイドル』…と。』
    息苦しさに自然と呼吸が荒くなる。
    『『相手の引退したタイミングで正式に婚姻を結び、世間にも発表する』とそう言われました…』
    際限なく強さを増す鼓動に反し冷たくなる私の身体はまるで冷水を差し込まれたかのようだった。
    『…ごめんなさい…俺は、星南さんとは…』
    「先輩…」
    静寂の中スマホからすすり泣くような音が聞こえる。
    ——期待していなかったと言えば嘘になる。これまで何度も私のことを助けてくれたあの先輩なのだからこんな状況でもなにか打開してくれるような策を思いついてくれるかもしれない。そして、何も策がなくて、先輩がいいと言ってくれるのなら全てを捨てて先輩とふたりで生きよう。そんな考えも僅かながら残っていた。けれど、そんな甘い希望は木端微塵に砕け散った。
    ——私の相手は貴女しかいないのに…
    その言葉が空気を震わせ音となっていたのか私は最後まで知ることはなかった。

  • 6二次元好きの匿名さん26/05/10(日) 12:22:54

    復活ありがとうございます🙇‍♀️
    前スレを序盤しか見れてなかったので、URLあれば貼っていただけますか?

  • 7二次元好きの匿名さん26/05/10(日) 12:53:04

    スレ主では無いですが、更新遅めっぽいですし、10まで埋めていいですか?

  • 8二次元好きの匿名さん26/05/10(日) 13:19:38

    >>6

    今のところ前スレとまんま同じ内容なので気にしなくていいですよ

    >>7

    進めていただいて大丈夫です

  • 9二次元好きの匿名さん26/05/10(日) 13:57:49

    保守

  • 10二次元好きの匿名さん26/05/10(日) 14:07:37

    ほしゅしゅ

  • 11二次元好きの匿名さん26/05/10(日) 23:06:35

    保守

  • 12二次元好きの匿名さん26/05/11(月) 00:58:57

    『一応言ってはおくが、この婚約は互いの両親間で決められたものだ。お前達の意思で決まったものではない。そういう事だと認識してくれ。』

    翌日、車の中で後部座席に沈む私の頭の中では未だに昨日の記憶が渦巻いていた。

    『待ってお父様!私は自分の意思で結婚したい相手が…』
    『お前の言いたいこともわかる。だが、こうした方がお前達の為になるからこその行動なんだ。すまないが理解してくれ。』
    『そんな…』

    「…お父様、どうして急に…?」
    そんな呟きが自然と口の端から漏れる。娘ながらお父様は何を考えているのかわからない瞬間も多々ある。それでも私の人生を無理やり決めるような事はしてこなかったはずだ。それが一体なぜ今になって。それに、なぜお母様もおじい様も…そんな事を考えているうちに車は目的地に着いていた。

  • 13二次元好きの匿名さん26/05/11(月) 01:00:08

    その日の朝、事務所へと向かう私、雨夜燕の脳裏には未だに2日前の光景が焼き付いていた。ツアー全体、いやその1公演だけで彼女こそが世界一と叫んでも差し支えないほどの完成度。そんな彼女のライバルである事への喜びといつか追い越してみせるという野心を胸に会議室の扉を開けるとそこには既に準備をする人の姿が見えた。
    「あ、雨夜先輩おはようございます。」
    「おはよう。もう来ていたのか、藤田。」
    「はい、星南先輩が来る前に慰労会の準備をしときたかったですから。ホントは昨日レッスンのついでにする予定だったんですけどね。」
    「慰労会と言ってもただ私達3人で集まってだけだがな。それで、なにかできない理由でもあったのか?」
    そう尋ねられたことねがやや苦い顔をする。
    「たまたまその日の予定が無くなった星南先輩が事務所に来てたんですよ。…それで…」
    「いや、みなまで言わなくていい。どうせ星南から2時間程あの男との惚気を聞かせられたか元々の予定はあの男とのデートかのどちらかだろう?」
    「両方です…」
    「全く…トップアイドルとしての自覚は無いのか…?」
    ことねの返答に思わず頭を抱える。あの男とは星南が3年生になってから担当につけたプロデューサーのことだ。はっきり言って私は未だにあの男の事を認めていない。
    確かに一時は燻っていた星南のスター性を再び開花させたその手腕には手のひらを返さざるを得なかったが、今に至るまでの星南との関わりについてはその限りでは無い。ライバルであるトップアイドルが急に出てきた男に影響され、今では会う度に愚痴と称した惚気話を聞かせてくるのだ。普通に考えて許せるわけがないだろう。そして許せないのは星南に対しても同じだ。今の貴様は本来数多のアイドル達の頂点に立ち引っ張っていくべき存在だ。それなのに何故恋愛事にうつつを抜かしているのか。何故か多くのファンはそれを認め応援しているが、私は違う。絶対に認めてなるものか。
    「今日こそはガツンと言ってやらなくてはな…」
    そう拳を強く握り締めると同時に背後で会議室の扉が開く音が聞こえた。

  • 14二次元好きの匿名さん26/05/11(月) 07:45:48

    ほしゅ

  • 15二次元好きの匿名さん26/05/11(月) 12:43:38

    保守

  • 16二次元好きの匿名さん26/05/11(月) 18:12:19

    保守

  • 17二次元好きの匿名さん26/05/11(月) 23:49:37

    保守

  • 18二次元好きの匿名さん26/05/12(火) 00:41:45

    「2人ともおはよう!もしかして来るの遅かったかしら?」
    入ってきたのは今日の主役の星南だった。眼鏡の奥にニコニコした表情を浮かべる彼女の様子を見て一瞬ことねと目を合わせる。
    「…いや、そんなことは無いぞ。ちょうど藤田が準備を終わらせてくれたところだったからな。」
    「はい!まあ準備と言っても部屋のセッティングとかお菓子の準備程度なんですけどね。」
    「わざわざありがとう。じゃあ早速私の慰労会…という名目のお茶会を始めましょうか!」
    そうして始まった私達3人のお茶会、2日前は話せなかった近況や今後の予定等を話しつつ改めて星南の顔色を伺う。部屋に入ってきた時と変わらずニコニコした表情、関係の浅い者なら気にもとめないだろうが、私にはそれがなにか辛いことを隠そうとしているように見えた。そしてその違和感はことねも同じように感じていたようで、しきりにこちらに聞くべきかと目配せをして来ている。
    …きっと星南は今私達にも知られたくないような悩みを抱えている。知られたくないのであれば、友としてあえて気付かないふりをする。そんな優しさもあるだろう。ただ、私はそんな甘い優しさを選ばない。

  • 19二次元好きの匿名さん26/05/12(火) 00:43:03

    「…星南聞きたいことがあるんだが。」
    「どうしたの…?燕?」
    一瞬顔を強張らせるも、すぐに表情を作る星南。その様子に更に確信を深めた私は一呼吸を入れ、単刀直入に聞いた。
    「昨日の午後にプロデューサーとなにかあったのか?」
    「!!…急に先輩の話題を出してどうしたの…?」
    途端に先程までの笑顔は消え失せ、浅い呼吸をする口を震わせながらも何とか誤魔化そうとする星南。その姿に心を痛めながらも質問を続ける。
    「必死に悟られないようにしているが、何年の付き合いだと思ってるんだ?悩んでいることくらいすぐに分かる。それに、急に先輩の話題を出して…とか言っているが、私達からすれば貴様のプロデューサーの話題がここまで一度も出ていないことが異常なんだ。」
    「なんだかんだ燕先輩もいつもの惚気話を聞くのが当たり前になってきてますね。」
    「気持ちの悪い事を言うんじゃない!ともかくだ!昨日藤田と事務所で別れてから今日までになにかあったんじゃないのか?」
    「…これは、私の問題だから、燕達を巻き込む訳には…」
    俯いて小さく声を絞り出す星南。
    「星南からすればそう感じるかもしれない。だが、今はもう数年前の私とは違う。困っているのならできるだけ手を貸してあげたいんだ。」
    「それはあたしも同じですよ!」
    「燕…ことね…」
    「だから聞かせて欲しい。今星南は何に悩んでいるんだ?」
    そこまで聞くと、星南は涙ながらに語り出した。
    「私…もう先輩に会えないのかもしれないの…」
    「…は?」
    「えっ…?」

  • 20二次元好きの匿名さん26/05/12(火) 06:23:32

    おは保守!

  • 21二次元好きの匿名さん26/05/12(火) 12:39:17

    5レス目でオチが読めちゃって既に面白いんだが

  • 22二次元好きの匿名さん26/05/12(火) 20:51:02

    保守

  • 23二次元好きの匿名さん26/05/13(水) 00:24:29

    保守

  • 24二次元好きの匿名さん26/05/13(水) 00:44:26

    「——つまり両親、いや十王家に知らないプロデューサーとの婚約を勝手に結ばれた。ということか。」
    星南が頷く。その目元は泣き続けたことによって赤く腫れていた。
    「ええ、そして私がアイドルを引退した後に正式に結婚をすることが既に約束されていると聞いたわ。」
    「星南先輩とプロデューサーさんが仲がいいのはみんな知ってることじゃないですか。なのに…ホントに別の人を婚約相手にしたんですか?」
    「それならよかったのだけれどね…」
    ことねの言葉に苦笑しながら答える星南。その笑顔は先程ともまた違う悲しげなものだった。
    「だったらそんなもの…とは簡単には言えそうにないな。」
    内から湧く炎が溢れないよう必死に抑える。本音はもっとこの件に対する怒りをぶちまけたいが、その役目は私じゃない。
    「お父様も言っていたけれど、この婚約は私が決めたものではなく私の両親と相手の両親、家同士で決められたもの。十王家の一人娘として、私は家の選択を尊重しなければならないの。」
    「なんで互いの親のわがままに星南先輩が巻き込まれなきゃ行けないんですか?」
    声を荒らげ、怒りを露わにすることね。そんなことねに対し、星南は穏やか…いや諦めたような声で答えた。
    「確かに私も出来ることなら断りたい。ただ、そんなことをしたら先輩に迷惑がかかってしまう。私は私の家の問題に誰かを巻き込みたくないの。それは先輩だけじゃなくて、あなたたちも同じ。だからそれもあって断る訳にはいかないわ。」
    「そんな…」
    静かな空間にことねの零した言葉が小さく響いていた。

  • 25二次元好きの匿名さん26/05/13(水) 07:20:52

    保守

  • 26二次元好きの匿名さん26/05/13(水) 12:29:19

    ほしゅ

  • 27二次元好きの匿名さん26/05/13(水) 19:00:30

    保守

  • 28二次元好きの匿名さん26/05/14(木) 00:22:52

    保守

  • 29二次元好きの匿名さん26/05/14(木) 01:04:59

    その後お通夜のような空気感のままお開きとなり、星南は事務所に残り私はことねを呼んで並んで共に帰路についていた。
    「…正直、星南先輩のプロデューサーさんとイチャイチャするの、あんまり好きじゃありませんでした。」
    「…ああ。」
    「やっぱり?星南先輩はあたしにとって憧れの存在ですから。もっとアイドルとして自覚ある行動して欲しいですし。」
    「…確かにな。」
    「たしかにプロデューサーさんは凄い人ですけど、そこまでメロメロにならずにもっと節度ある関係築けるだろって。」
    「私もそう思う。」
    「付き合ってないそうですけど早く別れてくんないかなーって思っちゃった時も実はあって、それでもいざ離れるって知ったら本当に嫌な気分になりますよ。」
    「…」
    「あれ、そういえば…」
    ふと、ことねが歩きながら顎に手を当て疑問を口にした。
    「星南先輩の話ではあくまで引退後の結婚の話なのにもう会えないかもってどういうことなんですかね?」
    「これは推測だが、十王家は星南とあの男が仲良くしているのを知った上でわざわざ他のプロデューサーを婚約者に選んだ。これは今後のプロデュースをその婚約相手に頼むという可能性もあるんじゃないか?」
    自分の中の考えを言うとことねは苦い顔で「げぇ…」とアイドルらしからぬ声を絞り出した。
    「星南先輩は十王家の一人娘の前に世界一のアイドルですよ?流石にそんな事します?」
    「そもそも現役アイドルかつ自分の娘を政略結婚の駒に使っているんだ。可能性としては無くはない。」
    そこまで言うと怒りがさらに増したかことねは急に立ち止まり、胸の前で強く拳を握りしめ自らの決意を口にした。
    「もう我慢できません!何としてもこの婚約を止めてやりますよ!」
    「藤田。」
    「雨夜先輩に何を言われてもこの気持ちは変わりませんよ!」
    「私も同じ気持ちだ。」
    「あたし一人でも…え?」
    瞳に強い炎を宿らせていたことねがキョトンとした顔でこちらを見る。
    「私も星南の婚約を止めるつもりだ。」
    「雨夜先輩はあたしよりも星南先輩とプロデューサーさんの関係を嫌ってませんでした?」
    「確かに私は星南があの男について話すことにはうんざりしている。ただ…」
    瞳を閉じて、先程の星南の表情を思い浮かべ、再び目を開く。
    「それ以上に星南の辛そうな顔を見るのは嫌だからな。」
    今回の件に怒りを覚えているのはことねだけではなく、私も同じだった。

  • 30二次元好きの匿名さん26/05/14(木) 01:06:46

    「雨夜先輩…!じゃあ早速…」
    「藤田、一旦待て。」
    踵を返し、おそらく事務所に向かおうとしたことねを呼び止める。
    「星南に直接伝えに行くのはやめておこう。」
    「え、なんですか?」
    「星南に話を通すと周囲から確実に『星南が私達を利用して婚約を止めようとした。』と取られる。それは星南のためにできるだけ避けたい。まあ星南に伝えなかったとしてこちらの都合よく受け取って貰うのは難しいがな。」
    ことねが首を傾げながら聞き返してくる。
    「えー?じゃあどうやって止めるんですか?」
    「私としては直談判をしに行くつもりだ。出来れば両家が揃っているタイミングで。そういう都合のいい時がないかそれとなく星南に聞いておこう。」
    私の言葉にことねが訝しげな表情を見せる。
    「でも部外者2人が言いに来たからってやめてくれたりしますかね?」
    ことねからの真っ当な意見に頷き言葉を返す。
    「だから一緒にカチコミをしてくれる仲間を今から集めるつもりだ。その辺りは藤田も協力を頼む。」
    「ええ、まあわかりました。」
    その後、私は手伝ってくれそうな仲間に連絡をかけていった。

    『え゛え゛〜〜!?それって本当にあることなんですか!?』
    『まあ…それが本当なら大変ですね。」 』
    『そんなこと…絶対に許せませんわ!』
    『なるほど…なにかボクに手を貸せることはあるかい?』
    『…星南ちゃん達のためだもんね…私も力になるよ!』

  • 31二次元好きの匿名さん26/05/14(木) 01:23:48

    アカン、誰も個人名を出さないばかりにどんどん悪い方向にw

  • 32二次元好きの匿名さん26/05/14(木) 06:55:34

    保守

  • 33二次元好きの匿名さん26/05/14(木) 12:33:27

    保守

  • 34二次元好きの匿名さん26/05/14(木) 18:03:37

    保守

  • 35二次元好きの匿名さん26/05/15(金) 00:11:53

    ほしゅ

  • 36二次元好きの匿名さん26/05/15(金) 06:58:39

    保守

  • 37二次元好きの匿名さん26/05/15(金) 15:01:14

    ほしゅ

  • 38二次元好きの匿名さん26/05/16(土) 00:38:43

    ほしゅ

  • 39二次元好きの匿名さん26/05/16(土) 07:08:21

    保守

  • 40二次元好きの匿名さん26/05/16(土) 13:22:37

    保守

  • 41二次元好きの匿名さん26/05/16(土) 21:55:11

    保守

  • 42二次元好きの匿名さん26/05/16(土) 23:36:20

    一人きりの事務所に不規則にキーボードを叩く音が響く。アイドルとしての私は現在一大目標だった興行が終了したばかりで、番組やイベントの出演も0ではないが控えている状態。肉体的な疲労も溜まっていたので数日間は休養に勤しむ予定ではあるが、プロデューサーとしての私はその限りでは無い。今も彼女達の予定の調整や契約相手との打ち合わせ資料の作成をテキパキと進め…るつもりだったがどうにも気持ちが乗らない。理由は言うまでもなく私のプロデューサーについてだった。燕達には話してしまったが、今の私にこの婚約を断る意思はない。そこには二人に話したように十王家の人間としての自覚という意味合いも確かにあるが1番は先輩を案ずる気持ちから来ているものだった。ことねが話していたように家族は私が先輩と仲良くしているのを知っている。そんな中私が婚約を破棄した場合真っ先に先輩の関与が疑われるだろう。それに、私が先輩を選ぶということは先輩自身も家族が決めた婚約を破棄する必要があるのだ。私のために人一倍家族愛の強い先輩に家族との確執が生まれるような行為を強要したくはない。
    「だから…このまま…」
    「…お疲れ様です、星南さん。」
    「!?」
    先程から全く変わっていない画面から視線を上げるとそこにはいつものスーツではなく私服を着た先輩の姿があった。

  • 43二次元好きの匿名さん26/05/16(土) 23:37:47

    夕焼けが差し込む部屋の一角に置かれたソファーに腰掛け私を見て微笑む先輩。その眼差しはいつものように暖かいものだったが、髪型はいつもより崩れ顔も少しやつれている。きっと彼も葛藤があったのだろう。何か言われるでもなく先輩の隣に腰を下ろす。
    「…昨日は取り乱してしまい、申し訳ありませんでした。できれば平常心を装いたかったのですが…」
    「それはお互い様よ。それとも悲しんでくれたから私は安心できたって言った方が良かったかしら?」
    「…意地悪な質問ですね。…俺が好きなのは星南さんだけなのはあなた自身がわかっているでしょうに。」
    突然の告白に顔が一瞬だけ熱くなる。
    「…先輩もなかなか言うじゃない。それと意地悪なのは先輩の影響を受けたからよ。」
    「ハハ…星南さんがもう少し素直なら多少は違ったのかもしれないですけどね。」
    「ふふっ、全くそういう所よ。」
    「ハハハ」
    「うふふ」
    「…」
    「…」
    笑い声の後に部屋を居心地の悪い静寂が包む。どう切り出すべきか言葉に迷っていると先輩の方が先に口を開いた。
    「…おそらく、星南さんも察してはいるでしょうが、俺は今回の婚約を受けるつもりです。…まあ断りたくてもそう簡単に断れるものでも無いですが。」
    「…そう。私も同じ様に受けるつもりよ。…私達、どうなるのかしらね。」
    昨日先輩の婚約を聞いた時に頭を過ぎった最悪の可能性、それは先輩も感じていたようだった。
    「…それぞれの相手がアイドルとプロデューサー、それも同時期に…社長がそんなことをするとは思えませんが、もしかしたら、担当を帰られることも…あるのかもしれませんね…」
    「やっぱり、そうよね…ねぇ先輩、こっちを向いてくれる?」
    「どうしました?星南さ…んっ!?」
    私の呼び掛けに素直に応じてこちらを向いた先輩、私はそんな彼の唇を奪い取った。先輩は驚き一瞬目を見開くも、私の心情を察したのか手を広げ、私を優しく抱きしめた。

  • 44二次元好きの匿名さん26/05/16(土) 23:38:47

    「~~~~~ぷはっ…はあ、先輩。」
    長い口付けによる息苦しさに唇を離し、そのまま彼の胸に顔を埋めたまま話しかける。
    「なんですか?」
    「私が結婚をするのは私が引退した後なの。」
    「俺も、結婚をするのは、相手が引退してからですね。誰なのか存じ上げないので明日かもしれませんが。」
    「怖いことを言うのはやめて頂戴。…それでね私と先輩がそれぞれ結婚するまで猶予があると思うの。」
    「そうですね。…ただ、その間俺達は担当の関係であれるか…」
    「それもあるの。先輩、今から結婚を前提としないお付き合いをしていただけませんか?」
    「———!!!」
    もし、私と先輩の契約が解消されたら結婚まで私達の間には一体何が残るのだろうか…それぞれ婚約者がいるのに隠れて付き合うのはきっと不純なことだろう。ただ、この先先輩となんの思い出も残すこともできず、別れを待つことは私にはできなかった。…できるならアイドルとして一段落した時に告白の言葉を含めて彼に伝えたかったが、それも今や叶わぬ願い。これが今の私にできる精一杯だった。そして、先輩の返答は…
    「俺が幸せにできないとわかってなお、選んでいただけるのなら。心から、喜んで。」
    こうして、短い(結果として1週間に満たない)私と先輩の交際が始まった。

  • 45二次元好きの匿名さん26/05/16(土) 23:43:30

    更新きてる有難い 応援してます

  • 46二次元好きの匿名さん26/05/17(日) 04:49:11

    保守

  • 47二次元好きの匿名さん26/05/17(日) 10:11:59

    保守

  • 48二次元好きの匿名さん26/05/17(日) 15:22:40

    ほしゅ

  • 49二次元好きの匿名さん26/05/17(日) 15:57:30

    その後の数日間私と先輩はレッスン後など空いた時間を縫って色んな場所にお出かけ、いやデートに行った。残り短い2人きりの時間を謳歌するように。これからぽっかり空くであろう心の虚ろを先んじて埋めるように。
    おじい様に知られた時は「そういうのは今はやめておいた方がいいと思うんじゃが。」と釘を刺されたが今の私達には関係の無いことだ。
    そうして過ごしていたある日のデートからの帰りに突然事が動いた。
    車の中で明日以降の予定について改めて先輩と連絡を取り合っていると、お母様から着信があった。何かあったのかとチャットを開き、そこに表示された一文に私は固まってしまう。
    「明日…両家で…?」
    その内容は『婚約が決まったし、明日の土曜日一度両家で外食に行きましょう?』という言葉と後に添付された店の情報だった。まるで休日に友達を遊びに誘うかのような軽いノリで誰かも知らない婚約者一家との顔合わせを提案する母に驚きを隠せない。だが、それよりも重要なのはこれまで話の中でしか無かった婚約が遂に動き出したということだ。それは今まで見過ごされていた先輩との関係を続けることが難しくなること、そしておそらく先輩との契約が終わりに近づくと言うことを意味していた。まだ私は結婚への心の準備も先輩との最後の思い出作りも済んでいない。だが、私の意向なきこの婚約にそんなものは関係ない。今の私にできる事は先輩や相談相手をしてくれた2人に報告をして、覚悟を決めるよう務めるくらいのものだった。…その後、燕に行き先や時間をしつこく聞かれたが、あれはなんだったのだろうか。

  • 50二次元好きの匿名さん26/05/17(日) 23:13:35

    保守

  • 51二次元好きの匿名さん26/05/18(月) 02:39:37

    保守

  • 52二次元好きの匿名さん26/05/18(月) 07:01:29

    朝保守

  • 53二次元好きの匿名さん26/05/18(月) 12:21:35

    保守

  • 54二次元好きの匿名さん26/05/18(月) 17:29:33

    保守

  • 55二次元好きの匿名さん26/05/18(月) 22:38:00

    保守

  • 56二次元好きの匿名さん26/05/19(火) 01:18:11

    保守

  • 57二次元好きの匿名さん26/05/19(火) 04:19:17

    保守

  • 58二次元好きの匿名さん26/05/19(火) 07:07:53

    保守

  • 59二次元好きの匿名さん26/05/19(火) 16:30:48

    保守

  • 60二次元好きの匿名さん26/05/20(水) 00:15:17

    保守

  • 61二次元好きの匿名さん26/05/20(水) 00:36:40

    翌日の夕方、心の準備のできないままの私を乗せた車は都内にある料亭へと向かっていた。
    「…」
    「なにもそんなに緊張しなくても、星南は多分初めて会うと思うけど、とっても優しい人達だったからすぐ打ち解けられるわよ。」
    前の席から私を励ますお母様。お父様は数日前に仕事に戻ったきりなので参加するのは私とお母様とおじい様の三人だ。
    「…おじい様。」
    「どうした?星南。」
    隣に座るおじい様に小さく声をかける。本人なのにも関わらず未だ内容のほとんどを知らない今回の婚約話、その中でも私が相手の次気になっていた疑問を今この場で聞くことにした。
    「今日正式に婚約をすることになったら、これからプロデューサーはどうなるの?」
    不安を隠しきれない震えた声で聞くとおじい様は笑みを浮かべて答えた。
    「ここ数日間様子が変だと思っておったが、それを気にしていたのか。だが安心してくれ、わしらは星南との相性の良さだけでなくプロデューサーとして腕を買ってあの男を婚約者にしたんじゃ。まあ一番の理由は別じゃがの。だから、今後はあの男には婚約者兼星南のプロデューサーとして星南をより近くで支えて欲しいと思っておるぞ。」
    「…」
    あって欲しくないと考えていた最悪の返答。それと同じ内容の言葉を受け、俯き歯を食いしばる。
    やはり…私のプロデューサーを替えることも織り込んだ上での婚約だったのか。この3年間の私達を見ていて、口では何度も先輩に対する賞賛の言葉を送っていたのにその実何も感じていなかったのか。私の中で先輩と別れることが確定したことと同じくらい先輩が認められなかった悔しさに涙が出そうになる。けれど、私がここで泣きわめいて全てを台無しにしても、先輩にも相手がいる以上私と先輩が結ばれることは無い。だからこそ家族のために堪えなくては。そうこうしているうちに車は料亭に到着した。

  • 62二次元好きの匿名さん26/05/20(水) 00:37:41

    お母様の知り合いらしき女将さんが私達を出迎え、部屋に案内する。相手より先に来た私達は襖を向く方に私を中心に並んで座敷に座った。
    その時が近づいていることに不安で手が震え始める。これまで沢山ライブをしてきて、緊張することもその分沢山あったが、その時は同時にわくわくした気持ちも混ざっていた。だが今は違う。心の中を後悔や悲しみ等が支配するこの感じはもしかすると断頭台に向かう罪人に似た気持ちなのかもしれない。遠くで女将さんの声が微かに聞こえ、何人かの足音がこちらに向かってくる。私の手を握る力が強くなり気持ち視界もぼやけてくる。
    そして、目の前の襖が滑らかに開かれた。その先に立っていたのは…
    「えっ…?」
    「星南…さん…?」
    間違いない。立っていたのは、アイドルとしての私を救い出してくれた。プロデューサーとしての私に進む道を示してくれた。1人の女としての私を愛してくれた。そして、私の中の全ての私が愛する、私の先輩だった。

  • 63二次元好きの匿名さん26/05/20(水) 07:23:19

    温まってまいりました

  • 64二次元好きの匿名さん26/05/20(水) 07:39:19

    おお

  • 65二次元好きの匿名さん26/05/20(水) 09:49:06

    テ ン シ ョ ン 上 が っ て き た

  • 66二次元好きの匿名さん26/05/20(水) 16:58:47

    な ん か 書 い と け

  • 67二次元好きの匿名さん26/05/20(水) 21:32:25

    これって圧倒的報連相不足なのかはた迷惑なお茶目なのかどっちなんやろなぁ…

  • 68二次元好きの匿名さん26/05/21(木) 02:06:59

    複合型だと思う

  • 69二次元好きの匿名さん26/05/21(木) 09:36:20

    ただのプレイやんけぇ

  • 70二次元好きの匿名さん26/05/21(木) 13:19:00

    両家親主導の特殊プレイに複数人巻き込まれそうになっているんですが…

  • 71二次元好きの匿名さん26/05/21(木) 20:21:12

    保守

  • 72二次元好きの匿名さん26/05/22(金) 00:23:37

    保守

  • 73二次元好きの匿名さん26/05/22(金) 00:29:01

    邦夫はともかく龍正に学P両親もなにしてんだ…

  • 74二次元好きの匿名さん26/05/22(金) 03:40:12

    こういう流れ好き

  • 75二次元好きの匿名さん26/05/22(金) 06:24:47

    勘違いした人達によって、お見合いを中断させる計画が練られてたけどヤバくね?

  • 76二次元好きの匿名さん26/05/22(金) 10:16:34

    >>75

    多分面子みて膝から崩れ落ちると思う

    安堵とやり場が無さそうな怒りとツッコミで

  • 77二次元好きの匿名さん26/05/22(金) 15:46:20

    保守

  • 78二次元好きの匿名さん26/05/22(金) 23:33:46

    保守

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