調査機構への事故報告を“拒絶”
医療法では、提供した医療に起因し、かつ予期しない死亡が発生した場合、病院側が第三者機関である日本医療安全調査機構に報告し、調査を行うことを義務付けている。医療事故の可能性が高いと考えた遺族は調査を求めた。
ところが、病院と執刀医のH氏は「原因不明だが、この結果(死亡)は予期されていた」などと強弁して調査機構への報告を拒否した。
「病院側は当初、『手術ビデオは保存していない』と主張していた。その後一転して『残っていた』と言い出したが、『ビデオを3人の外部の専門家に見せたが、標準範囲内で問題なし』と重ねて主張。國土理事長と院長の連名の文書で、調査機構への事故報告を拒絶したのです」(Aさん)
遺族がビデオを取り寄せ、日本心臓血管外科学会名誉会長の高本眞一・東大名誉教授ら複数の専門家に見せると、衝撃の事実が発覚する。
この手術には人工心肺が使われた。人工心肺をつけて心臓を止める際、チューブから心筋保護液を注入するが、その際、大動脈基部とチューブの空気を抜くのが心臓手術の基本中の基本。ところがビデオには、少なくとも2回、チューブ内に空気が満たされた状態で保護液が注入されたと見られる場面が映っていた。
「病院側は、長時間のビデオだったため空気が注入された場面を見落とした可能性があります」(Aさん)