「私はダメ」と自分責めをやめたいあなたへ。自己受容感で変わる心
「やっぱり私ってダメ…」
そんなふうに自分を責めてしまうことはありませんか?
自己肯定感を高めたいと思って努力しても、なかなかうまくいかず、失敗した瞬間に一気に崩れてしまう──。実は、その背景には「自己受容感」が育っていないことが関係しています。
こんにちは、公認心理師の石川美樹です。今日は「自己肯定感と自己受容感の違い」について、20年以上の臨床経験から見えてきた大切なポイントをお話しします。
自己肯定感と自己受容感の違い
ここで大切なのが、自己肯定感と自己受容感の違いです。
自己肯定感
「私はこれができる」「私には価値がある」と、自分を前向きに認める感覚。成果や成功体験と結びつきやすく、上がる日もあれば下がる日もあります。
自己受容感
「できない部分もある」「嫌な自分もいる」そんな弱さや失敗も含めて、自分を受け入れる感覚。結果や評価に左右されにくく、安定した土台になります。
つまり、自己肯定感は“プラスを見る力”、**自己受容感は“マイナスを抱きしめる力”**と表現することができます。
両方とも大切ですが、もし自己受容がないまま自己肯定感だけを追い求めると、
「プラスでなければならない」というプレッシャーに変わり、かえって心が苦しくなってしまうのです。
だからこそ、まずは自己受容感を土台に育て、そのうえで自己肯定感を高めていくことが、しなやかで折れにくい心につながります。自己肯定感を求めて、でも続かないあなたへ
「自己肯定感を高める本を読んでみた」
「ポジティブ思考の動画を見て真似してみた」
最初は気持ちが上がるのに、しばらくすると元に戻ってしまう…。そんな経験を繰り返していませんか?
その理由はシンプルです。自己肯定感を「プラスの自分だけを見よう」とするものだと誤解しているからです。嫌な自分やマイナスな部分を見ないようにすると、逆に心の中で大きなストレスが生まれてしまうのです。
子どもに怒ってしまったときの心の仕組み
例えば、つい子どもに怒ってしまったとき。
「怒るなんて母親失格」
「優しくできない自分が嫌い」
そう思った瞬間、私たちは怒ってしまった自分を否定してしまいます。
その気持ちを打ち消そうとして、
「でも私は毎日お弁当を作っているし」
「栄養のことも考えているし」
と、プラスの側面に意識を向けて取り繕おうとする。
一見ポジティブですが、実は「怒ってしまった自分」を認めないまま蓋をしているので、また同じ場面で怒ってしまうと、一気に崩れ落ちてしまうのです。
自己受容感をベースにした自己肯定感
ここで大切になるのが「自己受容感」です。
自己受容感とは、プラスもマイナスも含めて「そのままの自分を受け入れる力」。
つまり、
「私は子どもに怒ってしまうこともある」
「でも、それも私の一部」
と認めたうえで、プラスの自分も見ていくのです。
そうすると、自己肯定感は「プラスでなければならない」という窮屈なものではなくなり、自然に育っていきます。
幼少期の体験が作る“歪んだ思い込み”
では、なぜ私たちはマイナスを受け入れるのが苦しいのでしょうか?
多くの場合、それは幼少期の経験にさかのぼります。
「失敗したらダメ」
「100点じゃなきゃ意味がない」
「だらしない子ね」
そんなふうに言われ続けた子どもは、「できない自分=存在価値がない」という信念を心に刻んでしまいます。心理学では、これを“歪んだビリーフ(信念パターン)”と呼びます。
このビリーフは大人になっても無意識に働き、
「私は何をやってもダメ」
「できない自分は認められない」
と、自分を苦しめ続けてしまうのです。
実際に変化したクライアントの事例
ナナさん(仮名・40代女性)は、片付けができず「私はだらしない」と自分を責め続けていました。
しかしセッションの中で、彼女は気づきました。
「だらしない子」と言われ続けた幼少期の体験が、無意識に自分を縛っていたことに。
その瞬間、彼女はこう言ったのです。
「私は本当は、明るくて、ちょっとおっちょこちょいなお母さん。だらしない部分もあるけど、それでいいんだ」
そう受け入れた途端、翌日には自然に片付けができるようになりました。無理やり頑張ったわけではなく、「だらしなくてもいい」と認めたことで、心のブレーキが外れたのです。
自己受容感を育てるための小さなヒント
では、日常の中で自己受容感を育てるにはどうすればいいのでしょうか?
「できなかったこと」を責める代わりに、「できなかった私」をそのまま認める
ネガティブな感情が出てきたら、「私は今、こう感じている」と声に出してみる
無理にポジティブに変換せず、そのままの気持ちに寄り添う
こうした小さな積み重ねが、心の基盤を少しずつ安定させていきます。
心のホールネスへ──しなやかな調和を取り戻す
私は長年のセッションを通して、自己肯定感を高めることだけに集中すると、かえって苦しさを増してしまう人をたくさん見てきました。
大切なのは「自己受容感」という土台を育て、そのうえで自己肯定感を積み重ねていくこと。
それはつまり、心のホールネス──
マイナスもプラスも含めて、心がしなやかに調和している状態です。
心のホールネスを取り戻したとき、私たちはようやく「私はダメ」という自分責めから自由になり、自然に幸せを感じられるようになるのです。
心のホールネス──
マイナスもプラスも含めて、心がしなやかに調和している状態です。
自己受容に一番大切な、この「心のホールネス」についてもっと知りたい方は、こちらの記事で詳しく解説しています。
👉 心のホールネスとは?(公式サイト)
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