05/16:修正[篤寛]君が良い。・1
※謎時空寛術師IF。日本語コマンドです。
Neutralと診断されていた寛がある日突然Subになり色々あって篤に処置としてのプレイを提案されてまた色々あって収まるところに収まるお話。リハビリなのでゆっくりまったり亀更新していく予定です。
※普段に比べて篤寛の雰囲気やストーリーが淡々としています。合わない、つまらない、などと少しでも思ったら直ぐに読むのをやめて見なかったことにして忘れて下さい。※
2023/05/15:コメント、いいね、ブクマをありがとうございます。書く上で励みになり、慰めとなります。少しでも読んでくださった方が楽しんでいただければ幸いです。
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日車はダイナミクスと呼ばれる第二性を調べる検査で、SubでもDomでもないneutralだと診断されていた。
だから、SubやDomならば程度の差こそあれ必要不可欠なプレイや抑制剤や安定剤なども不要で、今まで平穏無事にとまではいかないがそこそこ安定した生活を送ってきた。
しかし、最近どうにも調子が悪く、この間などはDomが周りの迷惑もわきまえずに公共の場でSubにプレイとして罵声を浴びせかけた際に、怯えてしまった時は心底驚いた。
今までの日車ならば、そのDomに注意しこそすれ、怯えることなどなかったからだ。
まして、今でこそ術師として働いているものの、かつては弁護士として己の心と身体を制御する術を身につけて生きてきた為、自尊心も傷つけられ落ち込んだ。
そんなおり、高専の福利厚生に含まれる定期検診のために、家入の診察を受けることとなった。
その際いくつか質問されて答えたが、まさか自分がSubであるとは……薄々勘付いてはいたが、突きつけられると思いの外衝撃は大きかった。
短期の措置として抑制剤と安定剤、それに異変をきたしてからはあまり睡眠が取れていなかった為に、睡眠導入剤も処方され、その場を凌いだ。
家入にはきちんと男性でも女性でも良いからプレイパートナーなりDomの恋人なりを見つけ、プレイをしてSubとしての本能からくる欲求を発散させるよう注意され、挙句心配だからと、専門の病院や信用のおける出会い系アプリなども紹介されてしまった。
これでは何がなんでもプレイをしなければと思いはしたが、知らない人間に自分を曝け出すのが恐ろしく、結局病院にも行かず出会い系アプリなども使わずに、プレイをせずに薬局などの処方箋の要らない薬で日車はなんとか生活を維持している。
そんな日車にも、心安らぐ時はあった。
年が近い同僚であり術師としては先輩にあたる日下部の存在だ。
日下部とはよく飲みに行く仲で、彼といる時は日車の心身は常に安定していた。
だから、まさか任務中に日下部の前で倒れるなど、この時の日車は微塵も思っていなかったのだった。
目が覚めたら痛いほどに目が眩しくて、思わず手で目の前のものを払った。
呻きながら周りを見渡せば、まだ視界が不鮮明ながらも呆れた家入の声音が降ってくる。
「日車さん、あんた安価な薬で誤魔化して、プレイを疎かにしたな? 日下部さんがいなければ呪霊の餌食になっていた。その分だとまともに食事や睡眠もとっていないだろう? 全く。これだからダイナミクスにおけるプレイの大切さをきちんと分かろうとしない輩は困るんだ」
立板に水とばかりのその言葉に、思わず日車は首をすくめた。
おまけにそのまま一時的でも良いから、アプリなどを利用してDomのプレイ相手を見つけるよう説得されてしまう。
しかし、と日車が言い訳しようとした時、なにやら強い視線を感じた。
突然Subになったからか、日車はこの年で恥ずかしいという気持ちがありつつもどうしても怖くて無視しようとしたが、段々と怒気が強まっていくのか手に取るように伝わってきて、仕方なしにそちらをちらと見る。
そこには腕を組んだ日下部が立っていて、日車と視線が合うと先ほどまでの怒気が含まれたものが呆れたものに変わり、代わりに柔らかいため息をこぼされた後、「良ければ俺が一時的なプレイパートナーになりましょうか?」と日車には大変ありがたいことを言われ、考えた時間は僅かで、首肯しながら「すまない……」と答えれば、日下部は「しゃあねえなあ」と呆れたままボリボリと頭をかきかきま眉尻を下げて笑ったのだった。
その日仕事が終わると、早速日車と日下部は話し合い、レンタルプレイルームを借りることにした。
そこは別段いかがわしい店というわけではなく、緊急の際や自分の家でプレイが行えないDomや Subがプレイを行う為にプレイパートナーや恋人と借りる為の部屋を貸し出す店で、中でもその店は半官半民の全国展開をしている、良心的で秘密保持など様々な点で安心できる店だった。
まだSubとして経験の浅い日車の為に、日下部が日下部なりに家入や他の術師や補助監督に聞いて周り、心を配った結果である。
店の入り口に来ると日車は本日何度目かになる、「やはりプレイしなければならないのだろうか」を口にしたが、日下部が「ダメでしょーよ。あんた一回目の前で倒れられてみなさいよ。流石に心臓に悪いですよありゃあ」と本気で呆れられてしまい、入り口付近でまごついていたのをさっさと手を引かれて部屋の手続き諸々を整えられてしまった。
もう逃げ場はない。
弁護士時代に第二性であるダイナミクスに関わる強制わいせつ罪や強姦事件、恐喝事件などにも関わってきたので、日車は特にプレイに要らぬ知識がついてまわる。
それで恐怖が何倍にも膨らんでしまい、ついには手が震えまでしてくるのだが、だからといって何も不自由なく暮らせたneutralの頃には戻れない。
店の中へ入ると身分証を求められたので、高専から渡された術師用の顔写真付きの身分証を二人で渡して、確認されるのを待つ。
その後二人で同意がなされているかきちんと誓約書にサインをして、それが済むととうとうプレイルームへとにこやかに通された。
中は清潔に保たれており、好みの分かれるだろう芳香剤も使われておらず無臭の状態に保たれていて、奥の部屋に大きめのベッドが一つ鎮座ましましている。
そちらへ注意が向くとまたも要らぬ妄想が出てくるので日車はなるべく見ないようにして、椅子に座って日下部から簡単な質問をいくつかされて、日車自身がどういったプレイを好むSubなのか探っていった。
その際テーブルの上にプレイ用の道具のレンタル用写真付きシートが目に入り、その性的目的の為のもの、特にSM色の強いものにビクッとなったので「日車さんはこう言ったものは……」と問われ、「絶対に嫌だ」と答えれば、日下部はそれ以上追求することなく、何事もなかったようにそのシートをサッと隠し次の手続きへと移っていく。
日車はあまり痛いことは望まない、少しM気質のあるSubだということが分かり、簡易のプレイシートを細かく話し合いながら書いていき、セーフワードを決めていった。
プレイシートとはそのコマンドの意味と内容が書いてあり、それを使う使わないをマルかバツを付けていくもので、初めてプレイをする前にプレイパートナーが互いに話し合いながら決めていくものである。
セーフワードは今回は措置パートナーということでよく初心者が使う「RED」にした。
「日車さん、プレイのコントロール権はSubにありますから、嫌だと思ったらセーフワード言ってくださいね? 無理やりコントロール権をDomが奪うのは強姦と同じです」
「分かった」
話し合いもそれで済み、いざプレイかと身構えたら、日下部に「ここまでこれて偉いなあ」と褒めてもらえて日車は嬉しくなる。
「手を見せて」
「あ、ああ」
日車が日下部に従い手を見せると、「ありがとう。よく出来たな。えらいえらい」と褒められて、また嬉しくなる。
「触っていいか?」
聞かれ、少し躊躇ったものの頷く。
すると「ありがとう」と褒められてまた嬉しくなった。
「動かすぞ?」
「ああ」
「ありがとう。日車さんは我慢強いな。とても偉い」
その言葉に日車はまたも嬉しくなる。
日下部はくるりと手のひらを返して見つめ、ガベルで戦ってきた為に出来たタコと弁護士時代に出来たペンだこを撫でられ、「よく働いている良い手だな。偉いな、日車さんは」と褒められてまた嬉しくなる。
どこか心がふわふわと浮かぶような、身体も柔らかく包まれている気になり、日車は知らずに微笑んでいた。
半分サブスペースに入っていたのだが気付かず、少し室温が上がったかとぼんやりする頭の片隅で思いながら、冷えていた身体がポカポカと温まってきたのを感じる。
それと、今までになく何か足りなかったものが埋められていく感覚がして、不思議な気分になっていった。
そのまま褒められて嬉しくて暫くぼうっとしていると、徐々に意識が浮上して我に帰った。
その時、日下部が突然「床に寝転がって腹を見せて」と言ってくる。
嫌だ、日車は咄嗟に思い、我慢して日下部に従おうとしたがやはりまだ耐えきれずに「RED」とセーフワードを口にした。
すると日下部が「よくセーフワードを言えたなあ。日車さんは本当に偉い。優秀だ。良い子だなあ、良い子、良い子だ」と褒めてくれ、先ほどので冷え始めた体温がまたぽかぽかと温まり始める。
それから日下部に「今日はここまでにしときますか?」と問いかけられ、そう言われるまでプレイは既に始まっていたことに日車は気づかず、更に先ほどは完全にサブスペースに入っていたのだと気づいた。
日車は日下部の言った続きをするかどうかという問いを考えてみる。
(続きというと性的なこともするのだろうか……)
そう思いちらと奥のベッドのある部屋へ視線を向ければ、日下部は「いきなり性的なプレイはしないし、中には性的なプレイを一切行わない人たちもいますよ」と言われて一安心する。
しかし、『少しM気質のある……』などと言われていた為に続きをすることに躊躇いが出た。
日車が「そうだな。今日はもうやめておく。…ありがとう」と頭を下げ、プレイの終了を告げたのだった。
その後今までと変わりなく接してくる日下部に日車は安堵しつつ、何か食べに行くか聞かれたので頷き着いて行き、安くて美味い大衆食堂へ行って日車は自分でも驚くほどよく食べよく話した。
それを、日下部は「日車さん、あんた今まで我慢しすぎだ」と酒を勧め、それに日車が「怖かったんだ」と笑うと、「今日はよく出来たなあ、偉い偉い」と褒められまた日車は嬉しくなる。
(このまま日下部さんにプレイパートナーとしてプレイの相手を頼めないだろうか……)
などと日車は思ったものの、申し訳なさと羞恥が勝り切り出せず、その後は駅で別れて自宅に着くと風呂に入り、その日は久々にぐっすりと眠ったのだった。