愛縁消えん
合縁奇縁
主に人と人との結びつきに対して使い、『人との出会いや気心が合うかどうかはすべて不思議な縁によるもの』という意味。男女間の結びつきを強調したい場合『愛縁奇縁』という表記が使われることもある。
最近ハマってるカプです。文章を書く能力が少し欠如しており話の流れを書けないタイプの人間が書きました。口調も設定も寄せられてないかもで、すいません。見逃してください。設定としては、死滅回遊後最終決戦なし、呪術高専専属弁護士兼呪術師の日車(一級術師)✕呪術師の日下部です。ジューンブライド中に仕上げたかったけど余裕で間に合わなかった。
追記:公開初日からたくさんのブックマーク、いいねありがとうございます!すべての髙羽の漢字を間違えてしまっていたので修正しました。申し訳ない。年齢差は私は存記トリオスレ肯定派なので日下部1歳年下、くらいでお願いします。
※カプ・解釈に地雷があったら遠慮なくブラウザバックしてください
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雨なんか嫌いだ。洗濯物は乾かねえし、傘持ってたら片手ふさがるから任務に支障出るし、同業者からは妙に生暖かい目で見られる。そんな目で俺を見るな、居心地悪いだろ。心の中でそんな愚痴を吐きつつ高専の廊下を歩いてると俺が雨が嫌いな理由その3「同業者から生暖かい目で見られる」の原因、日車寛見と目が合う。
「日下部、ちょうどよかった。この後時間はあるだろうか。一緒に昼食を共にしたいと思ってたんだ」
ぎょろっとした三白眼に死滅回遊の泳者でいるうちに表情筋も死滅したんじゃないのかと思わせる真顔は最初こそ気圧されたが今は表情は変わらないがなんとなく背景に花が見える。そんな気がする。
「まあ、別にいいけど」
「本当か…!」
あ~!そんなに嬉しそうな顔しちゃってま~!クソ、キュンとくるじゃねえか。そんなこと考えてるけど俺は良識ある大人なので顔にも口にも出さずに日車曰く「髙羽に教えてもらった安くて美味い定食屋」に付いていく。そもそも、なんで俺がこんなに日車に振り回されているかっていうとちょっと前にさかのぼる。
ついこの間、二人きりになりたいからって今じゃ誰も使ってない教室に呼ばれた。この日もかなり雨がふっていて、教室に向かってる途中はまだ干しっぱなしだった気がする洗濯物どうすっかな~とか今朝は晴れてたし傘持ってねえよとか、そんなことしか考えてなかった。でもそういやそのときすれ違った五条と家入はこっち見てニヤニヤしてたからこの時点で気付けたのかもしれない。
「日下部、好きだ。よければパートナーシップを前提に恋人になってくれないだろうか」
「え」
待て待て待て。は?なんて??いやいやワンチャン聞き間違いの可能性がある。
「えっと…恋人って聞こえた気がするんですけど」
「ああ、間違いない」
間違いであってほしかったな~!つかいったん情報整理すっと、俺も男(それなりの体格)、あいつも男(不愛想ながら整った顔立ち)、パートナーシップ(なんか、同性のカップルでも結婚ぽいのできるやつ。ニュースで見ただけだから自信ないけど)、告白。うん、全然意味わからん。なんで?でも別に俺日車のこと嫌いじゃないし、むしろ結構親密な部類。でもそれとこれは絶対違う。違うのに、いつもの3割増しで圧を感じる瞳とほんの少し、まじでよく見たら赤くなってるくらいのレベルの赤面で玉砕覚悟、関係悪化のリスクを背負って一世一代の告白をしてきたこいつに不覚にもきゅんときちまって、俺もそこまで嫌いじゃねえからちょっとは考えてやってもいいかななんて思っちまったから
「……1か月待ってくれ。絶対返事するから。」
って気づいたら返事してた。俺のバカ…あんなに人を軽率に懐に入れないって誓ってたのに。
「つまり、少なからず俺に好意を持ってくれている、考えるくらいには脈があるということでいいのだろうか」
「……そう、だと思う」
認めるの恥ずいけど。というかこういうのって空気読んで聞かなくてもわかる的なシーンじゃないのか?察してくれよ色男。
「ふふ…君は案外顔に出やすくて助かる。俺は感情を表に出すのも表情の裏を読むのも苦手だからな」
「あっそうですか~!そりゃあようござんしたね!」
俺の逆ギレも笑いながらスルーする。もうそれ以上は何も言えなくなってとりあえず二人とも教室を後にした。はい、回想終了。
そして現在、日車から包み隠さず漏れ出る好き好きオーラを全身に浴びながらカツ丼をかきこんでる。普通に美味い。今度髙羽に会ったら礼でも言っとくか。いやでもその前に、日車箸止まってるじゃねえか。
「食わねえの?」
「いや………食べる」
そういうと、日車はまた日替わりの生姜焼き定食をゆっくり口に入れるのを再開させる。食い終わった俺は暇だったんでやっぱ育ちいいのか食べ方きれいだな~とか相変わらず表情変わらねえから美味いのか分かんねえなとかどうでもいいことを考えてた。気づけば箸を置いて口を拭いていた日車に
「美味かったか、それ」
と尋ねてみる。
「美味かった、髙羽には礼を言わなければな」
と返す日車の口角は僅かに上がっておりそれを目撃した俺の体のどこかから小さくきゅんっと鳴る。おいおい、俺もこいつももういい年のおっさんだ。最近のガキでもこんな単純じゃねえよ。自分に言い聞かせてはみるがこの手の感情は自覚、意識したら負けなのだ。大きなため息を吐き、一旦覚悟を決める。多分こういうのってもっとムードある時に言った方がいいと思うがそれを考えるのが面倒だったし、職業柄明日どっちかが生きてない可能性だって全然あり得る。俺はどちらの命も保証できない、人間生まれたら遅かれ早かれみな等しく死ぬのだから。
「なあ、日車」
「…?なんだ、奢らないぞ」
「いや、それは払う。俺も美味かったし髙羽に礼言いてえしな。そうじゃなくてな、2週間前の返事でもしようかなって思ってよ」
「……!」
目をかっ開き凝視してくる姿はめちゃくちゃ滑稽で思わず笑いそうになったが今から俺が大事な話するからすんでで堪える。このところずっと、いや、実は気づかなかっただけでもっと前から散々アピールされたことに対するささやかな仕返しのつもりだ。でも話すと絶対長くなるから店出てから話そう。日車にそう伝えてからとりあえず各々会計済まして店を出る。ついでにポケットから飴を取り出して咥えなおす。
「……聞こう」
店を出ると早々に日車が聞く姿勢にはいる。空気がこそばゆくて俺は頭を乱雑にかきながら話し始める。
「あ~、その……告白についてなんだけどよ。多分大丈夫だわ」
「大丈夫、とは?」
「いや、俺なりにな?いろいろ考えてみたわけ。そもそも俺は誰かをそう易々と懐に入れたくないしこの界隈にいたら命がいくつあっても足りねえからお前のことまでかばいきれねえ、少なくともお前に告白されるまではそう思ってた」
「……」
この間に日車は否定も肯定もせず、他人事のように聞いてる。ドラマとかの裁判のシーンで後ろで様子を見る傍聴席のやつらの顔が一瞬浮かんだ気がした。
「お前…他人事みてえに聞いてるけどよ、普通に当事者だからもうちょい真面目に聞け」
「聞いてる。元来こういう顔なのでな、続けてくれ」
「……今でも俺は我が身が一番かわいいからお前を庇って死ぬなんてまっぴらごめんだが、俺を庇ってお前が死ぬのは…見たくねえ気がするんだ。それに、気づいてないみたいだがお前も結構態度に出やすい。あんな風に嬉しそうにされるとな、こっちだって絆されるだろ……はあ、お前のせいだ」
『愛ほど歪んだ呪いはない』、昨年五条が現在俺の受け持ちになってる2年の乙骨にそう言っていた気がする。その時は話半分だったが今思い出し、言い得て妙だと日車にばれないようにそっと心の中で自嘲気味に笑う。
「そうか」
日車は俯き、黙ってしまう。そして思い出したかのようにスマホを取り出しどこかに電話して、切って、またかけてを繰り返してる。
「やっと付き合えた。美味い店を教えてくれてありがとう」
「何回も愚痴を聞いてくれてありがとう。これからは惚気を聞かせるかもしれない」
「出来れば日下部の恩師の夜蛾学長に会いたい。どうにかアポイントをとってほしいのだが」
話を聞いてる限り相手が何となく特定できるし夜蛾さんに会おうとしているのは分かったので一発拳骨を食らわせる。
「痛いぞ」
「どこに連絡とってんだよ!夜蛾さんって聞こえたぞてめえ!」
「髙羽と虎杖と伊地知だ。一応パートナーになるのだから挨拶をと思ってな」
虎杖とは死滅回遊以降何かと気まずい空気が流れていたが、話せるようになってよかったな~だとかそういうことも一瞬頭に流れてきたが夜蛾さんに挨拶に行きたいなどと抜かしやがるのでもう一発食らわしてやろうかと掲げた拳を落ち着かせることに尽力した。
「というか、まだ付き合うって言ってねえだろ!俺は絆されかけてるって言っただけだ」
「時間の問題だろう、俺は9割勝訴を確信したから電話したんだ」
「……クソ!」
実際その通りでムカついたから胸倉つかんで唇にかみつきそうな勢いでキスをしてやる。普段のぎょろっと三白眼が一層見開かれこっちをガン見してくる。恋人からのキスを受けてる顔としては怖すぎて思わず離れてしまう。離れた日車はよく見なくても分かるくらい顔を赤くして、でも今まで見たなかで一番嬉しそうに
「お前からの告白、受け取った」
と言われた。なるようになるか、と諦めさせることを諦めた俺は
「指輪見に行こうぜ、俺は手に付けるの邪魔だからネックレスとかにするけどお前どうする?」
と聞いてみる。するといつもの目かっぴらきの状態になった後
「なんで行き先が分かったんだ」
と言われる。どうやら俺が告白を受けた時点で指輪を見に行く予定だったらしい。おっさん二人でペアリング、五条と家入に言ったら腹抱えて笑われそうだ。しかもこの場合、俺も指輪を見に行くことに乗り気になってるみたいになっちまった。
「お前のせいで案外乗り気みてーになったじゃねえか。どうしてくれる」
「乗り気じゃなかったのか?ならば、あの返事はどういう意味だったんだ」
「お前、詰め寄り方がなんか怖いんだけど。そんなに俺のこと好きなんか?」
「好きに決まっているだろう。ほら行くぞ」
日車に強引に腕をひかれながら、残りの人生こういうのも悪くないと感じながらついていくのだった。同日、都内某ジュエリーショップにて30代男性二人でペアリングを買いに来るという奇妙な出来事が起きたことは言うまでもない。
補足だが、日車と日下部はこの後めちゃくちゃ髙羽を飲みに連れてったり夜蛾学長と面談したり虎杖にお礼言ったりどっちかの家に泊まってソウイウコトもいっぱいした。