「コアラではなくカンガルー」

 佐伯氏の投稿がとくに注目を集めたのが、6月6日。オーストラリア外遊後の政府専用機内で高市首相が女性自衛官に激怒したという週刊誌のネット報道を否定したことだった。

 報道内容は、キャビンアテンダント業務を担当した女性自衛官が「オーストラリアでコアラをご覧になりましたか?」と高市首相に尋ねたところ、高市首相が「遊びに来てるわけちゃうねん!」などと激怒し、女性自衛官は政府専用機の任務から外されることになった、という内容だった。

 佐伯氏はX上で「根拠なき『噂』や『伝聞』が独り歩きすることは、広報官としては『ナーバス』にならざるを得ず、事実に基づいて『火消し』させていただきます」と投稿。帰国便で首相を担当した自衛官は男性だったとしたうえで「この際なので、総理にも確認したところコアラではなく『カンガルー』について、男性自衛官から笑顔で『ご覧になりましたか?』と声をかけられ、総理も笑顔で『残念ながら見る時間はなかった』と答えたとのことです」と細かく反論した。

 さらに、「その自衛官の方は窓際の棚の上にカンガルーのぬいぐるみを置いてくださっていたようで、総理はその心遣いに大変感謝していました」とも付け加えた。

実際の反論投稿(公式アカウントから)
実際の反論投稿(公式アカウントから)

安倍政権時の「トラウマ」

「コアラではなくカンガルー」、「女性自衛官ではなく男性自衛官」……そんな細かい部分も含め、政策や政局とはあまり関係のない週刊誌報道の内容について逐一反論することは、これまでの官邸にはほとんどなかった動きだ。

 その背景には、高市政権を取り巻くピンチも影響していそうだ。

「高市事務所が関与したとされる総裁選の誹謗中傷動画問題は、首相の答弁も苦しくなって潮目が変わってきたと永田町ではみられています。

 佐伯氏にとっては第二次安倍政権時、桜を見る会問題や、コロナ対応をめぐってSNS世論が一気に政権批判に傾いた『トラウマ』もあるでしょう。当時よりもショート動画などで一気に話題が拡散されやすくなっている今、SNSの世論で政権への逆風が一気に強まることを危惧しているのでは」(自民党関係者)

「報道を監視する意図はない」(木原氏)としながらも、「コアラ暴言否定投稿」の後も報道への反論を続ける佐伯氏のアカウント。これまでも先輩官僚や記者団に威圧的な態度をとったり、さらには2018年4月の衆院予算委では、玉木雄一郎・希望の党代表(当時)にヤジを飛ばして問題化した”前例”があるだけに、「投稿がエスカレートしすぎて逆効果にならなければいいが……」(自民党関係者)と不安の声も出ている。

(フリーライター・柳ケ瀬さゆり)

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