A「この職場ってさ、雑務の役割が決まってないから、気がついた人がやるって感じだよね。」
B「うん。だから気がつく人ばっかり動いてる。」
A「コピー用紙の補充、ゴミ捨て、後輩のフォロー、トラブル対応……。」
B「気がつかない人は何もしない。」
A「だから気がつく人は損してるように見える。私たちだけ損してる気がするよね。」
B「……うん。」
A「やっても評価されないし。」
B「決めた。ごめんね。私、会社辞めるわ。」
A「えっ……。」
――1年後
B「Aさん、私、会社を作ったの。うちに来てくれない?」
A「え、私ですか?」
B「うん。」
A「なんで私?」
B「気がつく人って貴重だから。」
A「……。」
B「言われなくても動ける人は、どこに行っても戦力になるのよ。」
A「ありがとう。」
――さらに1年後
「コピー用紙ないぞ。」
「誰か補充しないの?」
「ゴミも溢れてるな。」
「新人の教育どうする?」
「あれ?なんか事務所暗くね?」
「誰かやるだろ。」
「まぁ誰かやるだろ。」
「そのうち誰か入ってくるだろ。」
・・・
そして誰もやらなかった。
気がつく人は損をしていたのではない。
気がつく人が会社を支えていたのだ。
その会社は、静かに崩壊した。