政治団体「NHKから国民を守る党」が政治団体「みんなでつくる党」の大津綾香党首に160万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、東京地裁(木村太郎裁判官)は20日、NHK党の請求を棄却した。NHK党は昨年7月の東京都知事選で大津氏の写真を無断使用したポスターを掲示・販売しており、大津氏が自身への「誹謗中傷」と発信したことについてNHK党は逆に名誉毀損と訴えていた。
「お金返してください!」
都知事選でNHK党は関連団体含めて計24人を擁立し、割り当てられた最大24枠のポスターを選挙掲示板に貼る権利を販売した経緯がある。
判決によると、NHK党は大津氏の写真を無断使用したポスターを2500枚作成。一口1万円からの寄付額で掲示するとしていた。一部のポスターには「大津綾香!」「お金を返してください!」と記された。問題となっているポスターはQRコードが記載され、そこから視聴できるユーチューブ動画に大津氏がSMを内容とする政治資金パーティーに出演したという内容が流れているという。
大津氏は昨年7月1日にX(旧ツイッター)で「今すぐ誹謗中傷のポスターの販売を中止するべき。販売を中止し、選挙と無関係の全てのポスターを撤去してください」などと投稿した。
「人格攻撃の要素含む」
一方、NHK党は大津氏のポストで、信用や社会的評価が毀損されたとして同月3日に東京地裁に訴訟を提起した。
判決では、動画について「大津氏に対する人格攻撃の要素を含む」「政党の代表者である大津氏の社会的評価を低下させる」と指摘し、「SM行為を内容とする政治資金パーティーを行ったなどと認めることはできない」としてNHK党の請求を棄却した。
立花氏は産経新聞の取材に「QRコードの動画に事実ではないことが入っていた。チェックし切れていなかった。やむを得ない」と語った。
「匿名でデマ情報拡散」
判決では、SMを内容とする政治資金パーティーにも言及。大津氏の関係者がLINE上で政治資金パーティーの企画案として「大津綾香 鞭打ち1万円 亀甲縛り10万円」と投稿したというが、大津被告が投稿したものではなく実際に協議された形跡はないとした。
大津氏は20日午後、東京都内で記者会見し、「選挙を、悪ふざけしてお金もうけに使っている人に政治に参加してほしくない」と述べ、「立花氏を隠れみのにして、匿名で『そうだ』『そうだ』とデマの情報を拡散している。インプレッション(閲覧回数)で稼ぐことが起きている。SNSの闇だ」と訴えた。
大津氏は昨年6月、都庁で会見し、自身の写真が無断使用されているポスターについて、自身に対する誹謗中傷、名誉毀損と問題視している。
大津氏はこの日の会見で、「自宅を中心にポスターが貼られ、税金を利用した、いやがらせ行為をされていると訴えたが、まったく報道されなかった」と述べ、「面倒くさいから関わりたくないという人が記者も政治家もたくさんいることが問題を大きくした原因の一つだ」と主張した。
会場変更説明で食い違い
大津氏の記者会見は当初都内の司法記者クラブで予定したが、会場を変更した。立花氏が「突撃予告」したためといい、大津氏は会見で「迷惑であるということで司法記者クラブの方から中止とさせられた。被害者の言論が弾圧されることはあってはならないことだ。本来であれば司法記者クラブで会見を行いたかったが、かなわなかった」と問題視した。
一方、会見に同席した弁護士は「司法記者クラブは一生懸命開催する方向で協議してくれた。管理者に迷惑をかけてはいけないと私の判断で中止してもらった。司法記者クラブから要請があったことはない」と語るなど、意見が食い違う場面もあった。(奥原慎平)