小川航基はJリーグJrユースに落ちて町クラブからW杯日本代表。2人同時選出のサッカークラブが実践する「整えない指導」
6月15日のサッカーワールドカップ日本対オランダ戦、1対2のビハインドでむかえた後半、同点ゴールの糸口を作ったのが小川航基選手だ。日本は第1戦、勝ち点1を手にした。 【写真】小川航基選手、鈴木唯人選手の学生時代 小川選手が育ったサッカーの町クラブについて、ジャーナリストの島沢優子さんがこのような記事を寄せたのは2021年のことだった。 「サッカーで親育」JリーグU12を蹴散らし神奈川県制した町クラブの矜持 小川選手含め、大豆戸(まめど)FC出身選手の2名が、2026年のサッカーW杯日本代表となった。Jリーグの下部組織ではない町クラブの指導法を島沢さんが改めて伝える。
W杯日本代表・小川航基と鈴木唯人、宮川麻耶が
神奈川県横浜市で活動するサッカークラブ「大豆戸FC」(以下、大豆戸)は、サッカーW杯北中米大会に出場する日本代表26人のうち2人を送り出した。FW小川航基(28=オランダ・NECナイメヘン)とMF鈴木唯人(24=ドイツ・SCフライブルク)だ。小川はU15のジュニアユースで3年、鈴木はU12チームで2年時に横浜F・マリノスの下部組織に入団するまで指導した。2019年女子W杯フランス大会日本代表の宮川麻都(28=英バーミンガム・シティ・ウィメンFC)も5年生まで預かっており、男女でW杯日本代表が輩出した稀な町クラブだ。 加えて大豆戸は2019年、チャンピオンシップU12(兼関東少年サッカー大会神奈川県予選)で初優勝。横浜F・マリノス、川崎フロンターレ、横浜FC、湘南ベルマーレといったJリーグ下部チームがひしめく激戦区の神奈川で好成績を残してきた。U15も毎年のように全日本ジュニアユース関東大会に駒を進める。
プロになった選手は13人
しかも、あと伸びする選手が多い。中学や高校で全国大会へ出場した選手は30人、プロになった選手は13人にのぼる。小川や鈴木も同様だ。まず小川。代表の末本亮太さんによると、Jクラブのセレクションに落ちて大豆戸のU15を受けに来た小川は体形がぽっちゃりしていたという。しかし長年子どもの発達を見てきた末本さんらコーチ陣は「中学でぽっちゃりした子はあとで身長が伸びる。今あるスキルをつぶさずに育てよう」と合格させた。その後桐光学園高校(神奈川)、Jのジュビロ磐田などで苦労しながらも成長を続け、24歳でオランダへ渡った。 鈴木は足が速く、2年生くらいで両足でボールを扱えた。横浜マリノスジュニアユースに昇格できなかったが、当時の担当コーチは「線は細いけど能力はあったのにと残念だった」と明かす。 それでも鈴木は折れることなく中学校のサッカー部でプレーを続け、市立船橋高校(千葉)で花開かせた。2人とも決して順風満帆だったわけではない。ケガやベンチ外といった憂き目にあいながらも、サッカーが好き、楽しいという気持ちを支えに、しぶとくキャリアを積んだ。