『NEEDY GIRL OVERDOSE』のはなし 「ネットで炎上させても得るものは少ない」
『NEEDY GIRL OVERDOSE』が揉めているらしい。
ちなみに画像はちゃんと買ったという証明。まあ……音楽とお久しぶりさんの絵はよかつたなーという感じ。シナリオはメンヘラ要素が『薄いな』って思ってた(笑)
とか騒いでいる人も知る。
言っちゃ悪いんだが、このレビューをしている人も含めた関係者一同の権利関係の無知さと幼稚さばかりが目立っている話だと思う。
というのも私もライターデビューした本である『三国志新聞』の権利関係で、単純な過ちをしたから、こういう問題は「ゲーム業界に限らず、出版業界でも、どこでも見かける問題だよなー」として理解できる。
言ってしまえば、「契約には従うしかないし、それに関してグダグダやっても無駄だし、ネットで炎上させて自分たちを有利にしようとするのはクリエイターとして情けない」というだけの話なのだ。
前述した『三国志新聞』で私は編集方針も正史主体にする事を決定し(当時、三国志正史について書いた本は筑摩書房の全集にしかなかった)、全年分の見出しを書き、五分の三を執筆し、さらに原稿が遅れている人のフォロー分も書いた
事実上の著者であるが、23歳だった当時は著作権の事もわからなかったので、「ライターとして原稿料200万円もらっただけで買い切り」というのにら「原稿料もらえてラッキー!」ぐらいに考えていた。
しかし、『三国志新聞』は初版三万部はあっという間に売れきれ、その後の重版も繰り返し、30刷ぐらいいっていたと思う。さらには内容そのままに画像を差し替えた『新版 三国志新聞』なども「知らないうちに出ていた」という事になった。編集から校正までその人達がやっていたので、たぶん印税は数千万ぐらいになっていただろう。
でも仕方ない、事実上の著者は私だけど、企画を持ち込んで書き上げるまでの私の原稿料も含めた全経費を負担し、編集執筆校正デザインなど全部を担当した編集者が、版元である日本文芸社と契約して印税を編集者やデザイナーや校正者と分配する「出版契約」していたのだから当然である。
印税というのはそういうものだ。
もちろん、毎晩酒や飯を奢ってもらったり、さんざん奢ってもらったし、その後もいろいろ仕事をもらったり、別な本を出させてもらったりしていたので、別にその編集者の人たちに文句を『三国志新聞』の利益分配の事で文句を言ったことはない。
そういう契約だからだ。
私はとっとと、あの『三国志新聞』を書いた三国志ライターとして出版社に企画持ち込んだり、いろいろなところで仕事もらったり、本当の自分の著書を書いて印税貰ったりしている。
またログイン編集者時代には今は亡きコンパイルというゲームメーカーから頼まれて『AfterDevilForce~狂王の後継者~』というゲームの原作を書いて、ゲームデザインの概要やキャラデザインの人も含めて持ち込んで、200万円で買い切り契約した。
これも「買い切り」の契約なので私はコンパイルが『AfterDevilForce~狂王の後継者~』をどう使おうとも口は出さなかったし、むしろログイン誌上でコラボ企画としてさんざん広報していたぐらいだ。
これについては開発中にコンパイルが和議申請を出して、契約のせいで私にまで「債権者集会の案内」が届いてしまったのは苦笑するしかないが。
さらに小説の『越天の空』もコミカライズされたりして、まあいろいろと私や漫画家さんの発言で炎上したりはしたが『権利関係』では一切揉めていないし、イカロス出版で絶版になったときは、ちゃんと著作権を譲渡して貰っている。
『NEEDY GIRL OVERDOSE』の話は、本当にバカバカして話で、「契約上の著作権者」がIPをどう使おうとも契約した以上、IPは著作権者のものなのだ、パワハラを受けたとか作品愛がどうこうという感情論は別である。
何百万本売れようが、借金でクビをくくる羽目に陥ろうが、IPは契約上の著作権者のものであり、それはもうどうしようもないものなのだ。むしろアニメにもクレジットされているし、契約上決まった報酬をもらったら、あとは著作権者がいやだったら離れるしかないのだ。
悔しかったら、『NEEDY GIRL OVERDOSE』を作った名前などを活かして別な「自分たちが保有できる著作権のIP」を創るしかないのだ。
それこそ「著作権や印税などによって儲かってるプロデューサーと、ジッ作業をしているのに大ヒットした分の報酬を貰えないクリエイター」の話は『宇宙戦艦ヤマト』の時代から日本のIP産業ではお馴染みの話題であり、「金銭の分配については日本に著作権法があるのだからその法に従うしかないよね」で終わりなんである。
逆に『宇宙戦艦ヤマト』はプロデューサーと各クリエイターで物凄く揉めたし、しまいには裁判沙汰で大きく報道されたレベルだが、その反省から『機動戦士ガンダム』などのサンライズIPは「矢立肇」という「サンライズIPを示す原作者」の著作権としてサンライズ側が著作者という事になっているし、富野由悠季もサンライズの社員として「著作権者」としては主張しないようになっているのだ。
ネットで炎上しようが、ファンの感情がどっちについていようが、一度契約にハンコを捺したら、その時点で「IPが誰のものになるのか?」は決定してしまうのである。
その辺を未だにオタク業界はインディーズと言えども、「ホイホイハンコを捺したにもかかわらず、ゲームが売れた後から騒ぎ出す原作者」という構図が未だに起きてて、『NEEDY GIRL OVERDOSE』の騒ぎになっているだけの話なのだ。
悪いんだけど、原作者や関係者の人は別なIPを出資者集めて創るしかないし、『NEEDY GIRL OVERDOSE』の著作権はプロデューサーが持つている事を認めるしかないのだ。
正直言うと、これは「クリエイター側の著作権意識や知識の未熟さ」によって起きた騒動であり、商業クリエイターは著作権や雇用契約書について、自分の仕事の権利関係がどうなっているが確認してから契約するべきだし、このあたり権利関係の無知さはオタク業界の未成熟さというしかない。
最近はAI学習によって著作権が簡単に侵されてしまう時代になっているのだから、商業・在野に関わらずクリエイターを志すなら、自分の権利や版権などに詳しくなるべきだし、そうしないし「ゲーム業界の未来」はやってこないのだ。
権利にゴリゴリ強くなるのもいいし「著作権なんていくらでもくれてやるから職人として生きたい」となるのもいい。
IPホルダーになるか職人クリエイターになるかは別として、「どこまでが自分のものなのか?」について少しぐらい勉強したらどうか?
という話なんである。
感情論で語るのやめーや。
私は「クリエイターファースト」の人間だし、日本のIP業界はもっとクリエイターを大切にするべきとは思っているが、「売れた後から突然自分の著作権を主張する」というパターンは大嫌いである。
ちゃんと著作権や雇用契約書を見てから判断すべきだし、「著作権持ってないゲームが売れちゃったら、今度は権利者側として新規IPを立ち上げろ」というしかない話だろ、これ。
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