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本記事はロボットとAI技術の専門誌『日経Robotics』のデジタル版です
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 数千億~数兆円の資金が必要なフィジカルAIへの挑戦を巡っては、「日本にそんな資金などないのだから、日本は違った角度での戦いをするべき」といった言説がよく聞かれる。しかし、前編で述べたように日本には個人金融資産が約2350兆円、企業の内部留保は630兆円もあり、決して資金がないわけではない。「途方もなく巨大なエンジン」を2つも持っているのだ。こうした巨大な資金を低利回りに固定せず、うまく回せるようにできれば、高々フィジカルAI程度のリスクマネーは十分まかなえるはずだ。そのくらいの実力を本来の日本経済は持っている。

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フィジカルAI 日本の処方箋[前編]国を挙げて議論渦巻く、今何に取り組むべきか

 「フィジカルAIにどう取り組み、向き合うべきか」─。ここ半年~1年ほどの間、日本国内の多くの場でこうした議論が沸き起こった。今回の記事では、フィジカルAIについての議論の高まりを受け、日本としてこのテーマにどう取り組むべきかを資金面も含め俯瞰的な観点で整理する。

 フィジカルAIではなく通常の生成AIでは米国や中国の企業が圧倒的に先行しており、日本は国際的に存在感がないのは事実である。しかし、それでもフロンティアモデルの開発にたずさわる、海外のあるAI研究者は「日本もうまくやれば(生成AIで)フランスのMistral AI級の企業2~3社くらいは作れたはずだ」との趣旨のことを述べる1)。最前線にいる人物から見ても、日本が世界のAI競争の場に対等に立つことは決して荒唐無稽なことではないということだ。日本の深層学習分野の第一人者である東京大学大学院工学研究科 教授の松尾豊氏も本誌の取材に対し、「フィジカルAIでMistral AI級の企業を日本から生み出すことは全然不可能なことではない。やり方を工夫すれば、十分に可能なことだ」と語る。

 前編で解説したように、フィジカルAIの世界戦にベンダーとして打って出ようとする際、そのリスクマネーを支える主体として最も適しているのは、スタートアップエコシステムである。具体的には、スタートアップ企業(起業家)、および彼らにエクイティ投資をして支援するVC(ベンチャーキャピタル)、そのVCへの資金の出し手などのことだ。高リスク・高リターンの投資テーマを支える仕組みこそが、スタートアップエコシステムだと言える。

スタートアップ軽視の日本

 では、日本のスタートアップエコシステムはどのような現状にあるのか、まず振り返ってみよう。日本国内のVC投資額は起業家や国内VCの懸命な努力により、ここ10年ほどで「右肩上がりで大きく成長してきた」(独立系VC大手のグロービス・キャピタル・パートナーズ パートナーの福島 智史氏)。かつては「起業家を育成しなければ」「スタートアップの数を増やさなければ」というのがこのかいわいでの問題意識だったが、現在ではスタートアップを起業してExitを経験し、資産家となる起業家は日本でも珍しくなくなった。スタートアップの数自体も激増したといえるだろう。

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現在の日本国内の年間VC投資額は約8800億円で...