住宅街や農地など、人里へのクマの出没が連日報じられていますが…番組では、今年度、最も出没件数の多い秋田県でクマに襲われ、けがをした方、全員に話を聞くことができました。眼球破裂の大けがをした男性が、「顔面をかじられる」など、襲撃の一部始終を語りました。
■独自 “全員”証言「顔面かじられた」男性も
「今、まぶたが開かないんですけど、筋肉を動かす神経が切れて、クマの牙か爪かが入って眼球破裂している」
人里に押し寄せるクマ。今年度、クマによる人身被害はすでに全国で27人。その半数以上が、人の生活圏で起きています。
1カ月半に渡る徹底取材で、秋田県の被害者4人全員にインタビュー。
「あー俺はやられるんだなと思った」
クマ被害の恐怖を語りました。
■クマに「顔面かじられ」眼球破裂
今月2日、自宅近くで草刈りをしていた70代の女性がクマに襲われ死亡するなど、被害に遭った人数が、今年度、すでに5人に上っている秋田県。先月1日から今日までの目撃情報は1338件と、去年の同時期に比べて2倍に迫る勢いです。
県内で今年度初の人身被害が発生したのは、先月5日の由利本荘市。農業を営む48歳男性、その背後にクマが…
「こっちを向いて作業していたら、後ろから威嚇音、呼吸音というか、ガフとかゴフっていう。で、こう振り向いたら、もう届くところに」
顔面に重傷を負った男性は、右目に入る光を抑えるため、片側のみのサングラスをかけています。
「ですね。クマの牙か爪かが入って眼球破裂している。押し倒されて頭を狙われた感じ。頭を防御しながら奇声を上げて、2〜3回もかじられたのかな。鶏軟骨を食べるような柔らかい、ちょうど多分この眼下の所の骨がそういう音がしたんじゃないかと思います」
いま右目の視力はほとんどない状態だと言います。傷は顔以外にも…
「ですね。(爪が)長靴も貫通して。手もこんな感じで。これは多分(クマの)前足の爪で」
Q.指も?
「そうですね」
顔面血まみれになりながらも、近くの店へと避難。男性はその後、ドクターヘリで大学病院に搬送されました。10日以上入院、現在もまだ仕事に復帰できていません。日常生活を取り戻すため、毎日、欠かさずに行っているのが…
「まあ結果論、手足が無事で…目は悪いですけれども、ここまでなったのが自分で良かったのかなと。年配者とか、小学校も近いので子どもたちじゃなくて」
■クマ襲撃→“8時間超ガマン”の理由
先月28日には、秋田県羽後町で山菜採りに出かけようとした80代の女性がクマに襲われました。
「あっ!って(クマが)このくらいいたわけ」
Q.2頭?
「うん、それで『あっ』て言って、立った瞬間にバンと来た。クマが来るかと思ったの私、『これで終わりだな』って」
左手や背中、胸などに傷を負った女性は、その後、自力で家へ帰って来ました。しかし、家族がこれを知ったのは、8時間以上あとのことでした。
「(私が)うちに帰ってきたら、おばあちゃんが全部、ご飯の支度とかしていて、ガマンをしていて、手を(包帯で)ぐるぐる巻きにしているから『どうしたの?』って聞いたら『クマにやられた』って。で、『カロナール(鎮痛薬)を飲んだ』とかって。『そんなことしていられないから、まず病院に行きましょう』って言って」
なぜ、8時間以上もガマンしていたのか。実は女性の家族は、1人で山菜採りに行かないように注意していたといいます。
「ああ、怒られるかなぁ、怒られるかなぁって想像して」
女性は数針縫うケガで、今は順調に回復しているそうです。
■“県警対クマ一頭”30分にらみ合い
5月に入ってからほぼ毎日クマが目撃されている、由利本荘市。県内で襲われた5人のうち、3人は由利本荘市民です。今月2日、港近くの河口で目撃された一頭のクマ。
「最初は鳥かなと思ったんですけど、耳もついていたしクマだなと思って」
上陸したクマは、駆け付けた警察と30分近くにらみ合っていたと言います。
「警察官はサイレン鳴らしたり、爆竹で追い払った感じ。(クマは)結構慣れているのかなって感じ、人慣れしているのか分からないけど」
■距離30cm「クマに話しかけた」
その距離30cm、まさに、目と鼻の先にクマ。
90歳男性、覚悟の瞬間。
今月3日、市内の企業の防犯カメラが捉えたのは、駐車場を横切るクマ。この2時間後に、近隣で90歳の男性が作業中にクマに襲われました。
畑で作業をしていた男性の目の前に突然現れたクマ。
「あーやっぱりクマなんだ、あー俺はやられるんだなと思った。こんなものだよ、(クマとの)距離は。クマと私は30cmないんじゃねえか。クマに話しかけはしたよ」
「今こんなところで出てきてどうするんだ、ってな」
それでも噛まれた男性。生々しい牙の跡が…
Q.頭もですか?
「ここもやられたみたい」
「ここは爪だ」
■玄関開けたら“即クマ”転んでけが
そして9日。クマが現れたのは、市の中心部。
午前6時、早朝の住宅街をクマが闊歩しています。左右を見回しながらゆっくりと去っていきました。その約40分後、クマの姿は、住宅街を600m進んだ先にある河川敷に。
2カ所でクマが目撃される直前、クマと遭遇した80代の女性がけがをしました。
「新聞取って『ああ良い天気だ』とかやって…」
「こういうふうにして、ここにいたんです」
Q.叫んだんですか。
「自分でも大きな声出したと思います」
女性は転倒し負傷。玄関に置いていた大事な甕が、クマに割られてしまったと言います。
「閉めたからよかったけど、でなければ、ひっくり返った所に(クマが)来ていた」
由利本荘市では、クマが出没した場所に箱わなを仕掛けるなどの対策を取っていますが、人を襲ったクマは今も捕まっていません。
6月14日『有働Times』より