食パンの小麦粉「国内製造」表記、「国産小麦使用」と誤解招く…一部の消費者らが表示ルールの改善求める
食パンなどの原材料名として包装に記載されている小麦粉の表示のあり方が議論になっている。「国内製造」との表記は国内での加工を意味するが、国産小麦を使っていると誤認を招くとして、一部の消費者らが国に食品表示法の基準の改正を求めている。これに対し、国側は表記の変更ではなく、「国内製造」の意味の周知に注力する方針だ。(今泉遼) 【写真】消費者庁がユーチューブなどで公開している動画のサムネイル=同庁提供
「数年前までずっと国内製造と書かれた食パンを国産小麦で作られていると誤解して買っていた」。山口市のコメ農家、安渓(あんけい)貴子さんは自身の消費行動をこう振り返った。
誤解に気づいてからは国産小麦が使われていると書かれた食パンを買うようになった。自らパンを焼くことも多く、その際には以前から国産小麦が使われた小麦粉を使っている。
こうした表示について、民主党政権で農相を務めた山田正彦弁護士がSNSなどで問題提起。賛同する全国の会社員や主婦、大学教授ら1051人は昨年10月、消費者庁に改善を求める申出書を提出した。安渓さんも名を連ねた。
農林水産省によると、2024年度の小麦の食料自給率(カロリーベース)は16%にとどまっている。安渓さんは「消費者が国産小麦で作られた食パンを正しく購入できるようになれば、小麦の自給率向上にもつながるはず。はっきりわかりやすく表示してほしい」と願う。
山田弁護士の事務所によると、消費者庁への申出書の提出後も申出人はさらに1777人増え、今年4月に追加で同庁に送った。国を相手取り、表示ルールの改善を求める訴訟を起こすことも検討している。
申し出の代理人を務めた河野(こうの)壮志弁護士は「消費者の利益の増進を図るという食品表示法の理念に反して、製パンなどの事業者の利益が重視されているのが見て取れる。国産小麦で作られた食パンを選びたい人がきちんと選べるようにしたい」と語る。
消費者庁「言葉の意味の普及に力を入れたい」
消費者庁によると、食品表示法の施行規則では、一部の加工食品には原料の原産地表示の記載が義務付けられているが、小麦粉は該当しない。そのため、小麦粉が国内で製造されていれば、その原材料の小麦が外国産でも「国内製造」との表記が認められている。