東大卒の異色のホースマン、夢は「ダービー」 玉名市出身・松田さん 研究者の道捨てても挑む競馬の魅力とは?
熊本県玉名市出身の松田寛也さん(27)が、日本中央競馬会(JRA)の厩舎[きゅうしゃ]スタッフとして競走馬の調教に奮闘している。東大生の時に競馬の魅力に惹かれ、研究者の道を捨てた異色のホースマンは「いつか調教師になって日本ダービーを勝ちたい」と夢見る。 玉名高時代はテニス部だった松田さん。競馬に興味を持ったのは、大学1年生の時だ。テニスサークルの友人に誘われて競馬場に通うようになり、「人間以外の生き物が関わる不確実さが、レースに意外性を与える点に興味が湧いた」という。 大学院で宇宙物理学を学ぶことが決まっていた松田さん。進路変更を決断したのは大学4年秋だったという。「今しかできないことをやりたくなった。(競馬は)勝負の世界で一喜一憂できて、刺激がありそう」。入学を辞退して選んだのは「大山ヒルズ」(鳥取県)。無敗の三冠馬コントレイルやダービ馬キズナを輩出した屈指の育成施設だ。 JRA競馬学校によると、競馬界は、両親や親族が生産施設や厩舎関係者だった人が多く、東大卒の一ファンが育成スタッフになるのは珍しい。ただ松田さんにとって、未知の世界は「たくさんの経験が積める」と魅力的に映った。
大山ヒルズに入社後、朝早くから厩舎の掃除やえさ作りなどに励んだ。半年後には馬にまたがり調教もつけ始めた。馬と向き合った2年3カ月を「ずっと楽しかった」と振り返る。 その後、競馬学校で半年間、厩務[きゅうむ]員課程で学び、25年2月から滋賀県栗東の角田晃一厩舎のスタッフになった。現在、レースまでの競走馬の調教や、体調管理や獣医師との連携などの業務にあたる。昨年、主に担当した馬で勝利を味わった松田さんは「調教を通して体の柔らかさや良い雰囲気を感じた。一つ勝つことの難しさも知ることができた」と成長を実感している。 午前4時から馬を世話するハードな毎日だが、「大変だと思ったことは一度もない」と言う松田さん。「丁寧に馬と接しながら確かな技術を身に付けたい」と、愛馬と向き合う日々に刺激を感じている。(岡本遼)