会議が終わったあと
あなたのメンバーから呼ばれる名前が
「絶対あの人たち曲ちゃんと聴いてない!」
とぷりぷり怒っていたおかげで、
一度、兄として自分の中にしまって
その場ではこの気持ちをやり過ごすことができた
宿舎に帰ってからも
不満げで口数が減ってしまったあなたのメンバーから呼ばれる名前
バンチャンがいつも通り優しくあなたのメンバーから呼ばれる名前の頭を撫でて部屋へ帰した
その直後
パタン、と扉が閉まった瞬間から、
彼らの本当の地獄が始まった
あなたのメンバーから呼ばれる名前は寝かしつけるものの
眠れずにいたバンチャンの部屋に
当たり前のように2人もいた
モニターの青白い明かりだけが、暗い部屋を静かに照らしている
バンチャンは、作成された製作会議の議事録を何度も、何度も見返していた
今のあなたのアーティスト名なら、もっと広い市場へ行ける
アート性は残しつつ、もっと聴きやすく
Stray Kidsの色を少し抑えなさい
今が最大のチャンスです
何度考えても、読み返してもビジネスとしての正論だった
言っていること自体は間違っていない
だからこそ、狂いそうなほど苦しかった
バンチャンが椅子へ深くもたれ、顔を覆う
その隣で、ソファに座るハンがぼそっと言った
バンチャンはしばらく黙ったあと、乾いた声で笑った
チャンビンはキーボードのキーを意味もなくカタカタと叩きながら、力なく苦笑する
静かになる
誰もその言葉を否定できなかった
消え入るような波形モニターを見つめたまま、ぽつりと呟く
チャンビンが手元でコーヒーを転がし、
鋭い視線をバンチャンに向けた
自分たちの音楽”を守りたい
でも、“あなたのアーティスト名の未来”も絶対に守りたい
誇りと、愛
その二つが今、暗闇の中で激しくぶつかり合っていた
ハンが耐えかねたように、掠れた声で呟いた
バンチャンの顔を覆う指の隙間から漏れる声は
いつもの頼れるリーダーのそれとは程遠い
一人の人間としての苦悩に満ちていた
バンチャンの脳裏によぎるのは
夜通し立ちはだかる壁に向き合っていたあなたのアーティスト名の、真剣な瞳
仲間にだけみせる素の笑顔
自分を証明するために、あの子は命を削って戦っているのを昔から見てきた
バンチャンが絞り出すように言った
チャンビンが拳を強く握りしめた
その夜から、3RACHAの地獄のような修正作業が始まった
自分たちの色を消す作業
それは、自分たちの魂を少しずつ削り落としていくような、最も苦しいクリエイティブだった
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!