町内会のデジタル化が進まないのはなぜ?役員の負担軽減するには
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町内会や自治会は、住みよい街づくりを目指して地域住民が協力して運営する任意組織です。でも、役員や班長になると、回覧板を回したり、戸別訪問をして会費を集めたりといった業務の多さに面食らう人もいるようです。読売新聞のユーザー投稿サイト「発言小町」には、町内会の業務を負担に感じているという女性から、「町内会ってもう少しデジタル化できませんか?」と題する投稿が寄せられています。解決策はあるのでしょうか。まちづくりコンサルタントの水津陽子さんに聞きました。
「LINEグループで連絡」考えたけれど…
投稿したトピ主「あまさけ」さんは、フルタイムで働く30代のシングルマザー。仕事と育児で多忙な毎日を送っていますが、この春から1年間、町内会の班長を務めることになりました。班長は輪番制で回ってくるので、断ることはできません。
実際に班長になってみると、回覧板の管理や町内会費の集金、班のメンバーへの連絡事項の伝達など、細々とした業務が想像以上に多く、仕事と育児の合間にこなすのが大変です。
そこでトピ主さんは、業務負担を少しでも減らそうと、「連絡の一部のデジタル化」を考えつきました。具体的には(1)希望者にLINEグループに参加してもらう(2)回覧板の内容を写真で共有する。紙の回覧板も従来通りに回す(3)町内会費の集金日のお知らせをLINEのメッセージでも送る――といったアイデアです。
ところが、年配の町内会員たちから相次いで「スマートフォンは持っているけど、そういう使い方はしていない」などと否定的な声が挙がったのです。なかには「教えてくれるならやってみてもいい」と言う人もいましたが、「私も時間に余裕があるわけではなく、教えなきゃダメなら意味がない」と、頭を抱えてしまったトピ主さん。「無理のない範囲でのデジタル化についてアドバイスをお願いします」と発言小町に呼びかけました。
近所の人とのLINEに拒否感
この投稿には、約100件のレスが寄せられ、「びっくり」ボタンと「エール」ボタンがそれぞれ300回以上押されています。町内会のデジタル化を進めることに、賛否両論が寄せられました。
「高齢化も進んでいる地域ですので、どこまでやるか、誰でもわかるか、というのが難しい」(「まだコタツ」さん)
「引き継ぎを考えて、誰もがやりやすいやり方がいいと思います。LINEって、みんなが利用すればとても便利だけど、一人でも使わない人がいると、結構負担に感じません?」(「テツコ」さん)
「近所の方とグループLINEはキツいかも。いくら近所で仲が悪くなくても、LINEでつながるのは嫌ですね」(「くん」さん)
「直接フェイスtoフェイスで近隣の方とお会いして、お互いに認識し合うことに意味があるのだと思います。例えば、一人暮らしの年配者の安否確認や、災害時などの協力のためには日頃から顔を知っておかないと」(「ゆきち」さん)
LINEを活用する“先進的”町内会も
実際にデジタル化に先進的に取り組んでいる町内会もあるようです。
「町内会のホームページがあります。運動会のお弁当の申し込みとか、イベントの参加申し込みとか全部スマホでできます。町内会館の利用もスマホで申し込みをして、キーボックスから会館の鍵を取り出せます。役所からの資料は宅配ボックスに入れてもらいます」(「そんな60代」さん)
「班長をしています。新興住宅地なので30軒ほど。アンケートを取ってあって、8割が回覧板いらず。班長がLINEにお知らせを載せて、2割は回覧板を回しています。70代のご夫婦と同居している独身の40代にLINEをお願いしている家もあります」(「最強の嫁」さん)
「うちの町内会ではLINE回覧板が始まっています。登録が100軒を超え、(町内会員の)半分程度が登録している状態です。回覧板は未登録者だけに回しています。回覧板の情報が早く伝わるなど、とても便利。従来の回覧板との併用であっても、メリットがあると思います」(「ぽんかん」さん)
「数年前から、若い班長さんの提案で『連絡事項はLINEで』と言われました。回覧も写真付きでLINEで来ます。そして、(紙の)回覧板は、ゆっくり回ってきます。こちらから班長さんに町内会費の集金について問い合わせができて、返信も早いので、イライラしません。画面に文字で残っていますから、聞き間違いがありません」(「古女房」さん)
「前年度の後半から町内会費を現金か銀行振り込み(ネットバンキング)か選べるようになりました。班長が会計さんにチェック表を持参する習慣は変わりませんが、『ちょうどのお金を作る』ことがなくなり、私は助かりました」(「おかん」さん)
回覧板に「集金のお知らせ」挟んで効率化
「デジタル化は難しくても、効率化できるのでは」という書き込みもありました。
「例えば集金。かつては適当に突撃して、会えなければ会えるまで何度も行くスタイルだったようですが、私が班長のとき、何度も訪問したくないので方法を変えました」と言うのは、「かめ」さんです。
回覧板を回す際、「集金のお知らせ」として、「かめ」さんの訪問予定日時(2回分)と町内会費の金額を記入したメモを回覧板に挟み込みます。訪問予定日時に都合が合わない場合には、名前と希望日時を記入した紙を「かめ」さんの自宅のポストに入れるか、「かめ」さん宅に町内会費を直接持参するか、どちらかを選択するようメモに明記しました。このような集金方法の変更によって、スムーズに集金できるようになったそうです。
地域の若い世代を巻き込もう
まちづくりコンサルタントの水津陽子さんに、この投稿を読んでもらいました。水津さんは長年、各地の町内会や自治会の運営に関する相談にのっており、「若い世代や女性が活躍する自治会・町内会の極意」(実業之日本社)の著書があります。
「この投稿者のように、仕事や子育てで忙しい現役世代が、デジタル化を進めて、もっと効率的な運営をしたいというのは、至極真っ当な考え方だと思います。ただ、組織内に反対する人がいたり、実際に進めようとする時に誰がやるのかとなって、なかなか進まなかったりすることがあります」と水津さんは話します。
町内会や自治会への加入率は、全国的に下がり続けており、役員のなり手も減少しています。町内会の運営方法を会員の負担を減らす方向へと見直していかなければ、10年後には活動自体が続けられなくなる町内会が相次ぐと、水津さんは考えています。
「デジタル化は0か100かで考えるのではなく、将来を見据えて、できることから始めるとよいと思います」と水津さんは強調します。
NTTドコモ モバイル社会研究所の調査(2025年)によると、スマホの所有率は、80代前半で68%、70代で84%に上っています。スマホがこれほど高齢者に普及しても、うまく使いこなせない人や、デジタル機器を使える環境にない人はいます。このため、デジタル化を進めたとしても、紙の回覧板を維持する必要があります。
また、デジタル化には、「セキュリティーが不安」「顔が見えないので、人とのつながりが作りづらい」などの慎重論が出るかもしれません。
その場合には、LINEであれば、「オープンチャット」機能を使います。この機能を使うと、「友だち登録」が不要で、ふだん使っている名前やプロフィル写真とは同期せず、その場のみの名前で登録できるので、個人情報を守りながら情報共有ができます。
「まずは町内会や自治会で、LINEの活用ルールを決めておきましょう。双方向の会話は役員同士の連絡にとどめ、基本的には町内会から会員への情報提供に使うといった工夫が必要です」と水津さん。
「スマホの使い方がわからない」という人に向けて、地域の若い世代を巻き込んで、定期的に「スマホ活用講座」などを開いている事例もあります。
水津さんは「スマホやLINEの活用に関しては、中学生でも先生役ができると思います。デジタル導入については、会として組織的に取り組むことが大切です。デジタルの活用に成功している会では、回覧板で人材を募集し、有望な若手に打診して協力を得るなどの工夫をしています。デジタル化にかかる費用については、自治体の支援策や民間の助成金を活用することでうまくいくこともあります」とアドバイスします。
町内会の運営がアナログで非効率だとしても、じっと耐えていれば、やがて役員や班長の任期は過ぎていきます。それを待つのか、それとも任期中に効率化を試みるのか。町内会の協力体制の有無が、判断の分かれ目になるのかもしれません。
(読売新聞メディア局 永原香代子)
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町内会ってもう少しデジタル化できませんか?
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