公益通報者の懲戒処分は報復か、妥当か 熊本県職員らへの証人尋問始まる 旅行割引事業問題
熊本県の旅行割引事業を巡る公益通報をした後、部下へのパワハラを理由に県から懲戒処分を受けた通報者が処分取り消しを求めている問題で、県人事委員会(出田孝一委員長、3人)は8日、第1回口頭審理を開き、パワハラがあったと主張する元部下の職員2人を尋問した。
懲戒処分を巡っては、通報者側が「パワハラはでっちあげ。処分は通報に対する報復だ」と無効を訴え、県側は「通報者が誰かは知らない」と反論している。口頭審理は9月1日まで計6回を予定し、通報者本人を含め、双方が求めた証人ら計11人を尋問する。
8日の審理は熊本市中央区のホテルで公開された。県側証人の元部下2人は、通報者と同じ部署にいた当時の状況を証言。「意に沿わない事業計画に対しては大声で叱責[しっせき]され、好き嫌いで理不尽な妨害を受けた。業務量が多いのに時間外勤務の申請を認めないと言われ、精神的苦痛を感じた」と主張した。
出田委員長は「上司の要求が厳しい、物分かりが悪いというだけではパワハラとは言えない。社会的相当性を逸脱する異質な行為など具体的事例はあるか」と質問したが、元部下は同じような説明を繰り返した。
約3時間の審理後、通報者代理人の板井俊介弁護士は「パワハラは存在しなかったと確信している。過去の事例と比べても処分は明らかに重すぎて不自然だ」と話した。次回審理は7月7日、県側が申請した県職員3人を尋問する。
通報者側は、副知事だった木村敬知事が23年12月、通報者に「あなたのおかげで悪だくみが止まった」と発言したことを問題視し、発言の真意をただすため尋問を請求している。人事委は審理の状況を踏まえて木村氏への尋問の可否を判断するとしている。(植木泰士)
熊本県職員の公益通報と懲戒処分 コロナ禍で県が実施した旅行割引事業「くまもと再発見の旅」を巡って、県職員が2023年9月に報道機関12社に公益通報した。「一部業者が助成金の不適切受給を疑われているのに、県上層部が担当課に見逃しを指示した」との内容。県の第三者委員会は24年4月、不適切受給も見逃し指示も認められなかったとの調査結果を公表。その後、通報者は部下へのパワハラを理由に減給3カ月の懲戒処分を受けた。通報者側は「処分は通報に対する報復で、法が禁じる不利益な取り扱いに当たる」と主張。24年7月、県人事委員会に審査請求した。
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