埼玉の病院の医療死亡事故、調査報告「調剤時の混入否定できず」
埼玉県立小児医療センターで抗がん剤の髄腔(ずいくう)内注射を受けた患者から使われるはずのない薬剤「ビンクリスチン」が検出され、1人が死亡した問題で、センターは12日、医療事故調査委員会がまとめた報告書の概要を発表した。
薬剤混入の工程は特定に至らなかったが「調剤時に混入した可能性を否定できない」とした。
報告書によると、注射薬とビンクリスチンが同時に調剤室に存在した工程があったと指摘。調剤完了時刻が不明で複数人による確認態勢も整備されず、映像記録がないことから「混入を防ぐ観点では作業環境として十分とは言いがたいが、手順通り実施されたかの検証は困難だ」とした。
一方、薬剤の搬送や病棟保管、投与の工程は取り外せない専用接続部品が注射筒に装着されており「混入は極めて考えにくい」と判断。再発防止策として、調剤室に監視カメラを設置し、薬剤師2人でチェックするよう提言している。県庁で記者会見した岡明病院長は「院内で共有し、意識を変えていく」と述べた。
小児医療センターを巡っては、2025年1月以降に抗がん剤の髄腔内注射を受けた白血病患者5人が神経症状を発症し、うち10代男性が死亡、別の患者2人が重体となった。センターが調査した結果、事件と事故両面の可能性があるとして、今年3月10日に県警へ届け出た。同11日、記者会見で事案を発表した。
4〜5月、医療事故調査制度に基づき、外部有識者らによる事故調査委を立ち上げて3回にわたり原因を調べていた。〔共同〕