施策充実で中堅社員の意欲低下? ユナイテッドアローズがデータ分析で突き止めたエンゲージメント「二極化」の正体

 ユナイテッドアローズがデータドリブンな戦略人事を推進している。2020年からのコロナ禍で上場来最大の経営危機に直面し、従業員エンゲージメントを中心とする施策を根本から見直してきた。一定の成果を上げ、すでに「人的資本経営1.0」から「同2.0」に移行しているという。同社が自らの経験とデータ分析から見いだした、企業価値に直結する人的資本経営とはどのようなものなのか。同社執行役員CHRO(※肩書は講演当時)の山崎万里子氏の講演の内容を要約して紹介する。

※本稿は、JBpress Innovation Review主催の「戦略人事フォーラム」における「特別講演:ユナイテッドアローズが描くデータドリブンな戦略人事/ユナイテッドアローズ執行役員CHRO人事本部本部長 山崎万里子氏」(2026年3月に配信)を基に制作しています。

コロナ禍をきっかけにデータドリブンな戦略人事へ

 ユナイテッドアローズは2020年、コロナ禍の店舗休業の影響で上場来初めての赤字に転落した。止血策として賞与カットや昇格停止、採用の凍結といった人件費圧縮策を取った結果、社員の平均年収は低下し、その後の2年間で若手を中心に約1000名もの社員が退職する事態となった(2019年時点の在籍者数から2割減)。

 山崎氏は「この危機的状況下で、当社の従業員エンゲージメントスコア『eNPS』は、コロナ前から15ポイントも急落しました」と語る。eNPSは「自社を親しい人にどの程度勧めたいか」を10点満点で評価し、推奨者の割合から批判者の割合を引いて算出する指標だ。

 この悪循環を好循環へ転換するため、同社は、エンゲージメントを中心においたデータドリブンな戦略人事へとシフトした。

 まず行ったのは、基準の明確化と徹底だ。年に1回実施する従業員意識調査において、単に「不満度」の解消に投資する手法を捨て、「各人事施策とエンゲージメントスコアの相関係数」を重視することにした。