問:【「to-不定詞は未来志向」と習いましたが、次のtoは未来のことではない、と思うのですが:Neil Armstrong was the first human to walk on the surface of the moon.「ネイル・アームストロングは、月面を歩いた最初の人類であった」】
答:おっしゃる通り、「to-不定詞は未来志向」という言い方は、to-不定詞のほんの一面を説明しているに過ぎない、と私も考えます。確かに、to-不定詞は「未来」を指すことはあります。
・Ann is sure to win first prize.「アンは優勝するだろう」
≒I am sure that Ann will win first prize.
しかし、お尋ねの例文は明らかに過去の事例を取り上げています。to-不定詞を理解するには、「最初から時制は未来」という狭い枠をはめない方がいいと思います。私はto-不定詞の役割は次の2つではないか、と考えています。
(a)〚〈時制に関係なく〉ある時点で、あることがまだ実現・達成されていないことを示唆する〛
・I forgot to return the book to the library by the due date.
「私は、期限までにその本を図書館に返すのを忘れた」➡その時点では、本は未返却。
例えば、begin to beat the drumの場合も、「始めるぞ」と思った時点では、まだ演奏は始まっていません。演奏が始まるのは、次の瞬間です。
(b)〚〈時制に関係なく〉ある事例を切り取るように取り上げて、聞き手・読み手に提示する〛
・Percy Specer is the first person to invent the microwave oven.
「Percy Specerはいわゆる電子レンジを最初に発明した人物だ」
・I rushed to the post office, only to find that it had already closed.
「郵便局まで急いで行ったが、すでに閉まっていた」
・Jack must be brave to save the drowning boy.
「溺れている少年を救うなんて、ジャックは勇敢に違いない」
というようなことで、学習者に対して、学習の初期からto-不定詞を未来に限定するような説明は、避けた方がいいのではないか、と私は考えています。「to-不定詞は未来…」はその本質ではないと思いますし、むしろ「〈時制に関係なく〉あることが未実現であることを示唆する。また、すでに実現されたことについては、その事例を切り取るように取り上げて読み手に提示する」のがto-不定詞の本質ではないのかな、と考えています。
以上、参考になれば幸いです。お疲れ様。