問:【「動名詞は過去志向」と習いましたが、次の動名詞は過去のことではない、と思うのですが:I'm looking forward to seeing you in Japan.「あなたに日本でお会いすることを楽しみにしています」】
答:おっしゃる通り、「動名詞は過去志向」という言い方は、動名詞のほんの一面を説明しているに過ぎない、と私も考えます。確かに、動名詞は「過去」を指すことはあります。
・I remember ❝seeing❞ Mr. Yamada, but I can't remember when and where.
「山田さんにお会い❝した❞ことは覚えているのですが、いつどこでだったかは思い出せません」
=I remember ❝having seen❞ Mr. Yamada, but I can't remember when and where.
また、厳密に言いますと、次のような場合は、「過去」というより「大過去」を指していると思います。
・Jack admitted taking out the USB outside.
「ジャックはそのUSBを外部に持ち出したことを認めた」
=Jack admitted that he (had) taken out the USB outside.
よって、「動名詞は過去志向」と言ってしまうと学習者は動名詞=過去限定、と理解していまう懸念があります。加えて、お尋ねの例文(I'm looking forward to seeing you in Japan.) は明らかに未来のことを取り上げています。学習者の方がこれから動名詞を学習しようとする時に、「動名詞の時制は過去だけ」と受け取られかねないイメージは発しない方がいいと思います。動名詞の役割をいくつか挙げてみます。
(a) 〚〈時制に関係なく〉「~するために」でなく「~すること」を意味する〛
・Understanding classical music is essential to loving it.
「クラシック音楽を理解することは、それを愛することに欠かせない」
※この動名詞の用法は、「過去志向」とまったく関係ないと思います。
(b)〚動詞+動名詞の場合、〈時制に関係なく〉動詞の動作と動名詞の動作の間に時間的な差がなく、2つの動作がほぼ同時に起こることを示唆する〛
・Would you mind my smoking here?
「私がここでタバコを吸ったらご迷惑でしょうか」 (応答例。Yes, I (do) mind.「ええ、すみません」)
※考える間もなく反射的に「そのことを迷惑に思う」イメージ。enjoy ~ingという例もありますが、「考えてそれから楽しむ」ということではなく、「気づいたらもう楽しんでいる」イメージ。
(C)〚以前の経験を参照し、現在の心境を語る〛
・I don't like my husband coming home drunk.(drunk=in the condition of being drunk「酔った状態で➡酔って」という意味になります)
「夫が酔って帰宅するのは好きではない」
※確かに「過去志向」的ですが、語っているのは「現在の心境」。一方、I'd like to play golf this weekend.のto-不定詞の場合、「希望してplayする間に時間差」が感じられます。そのため、動名詞ではなくto playを用いるのだ、と私は考えています。
というようなことで、学習者の方に対して、学習の初期から「動名詞の働きを過去に限定するかのようなイメージ」は、発しない方がいいのではないか、と私は考えます。学習者の方に対しては、むしろ、動名詞の時制は過去だけに限定されるものではない、というmessageを発した方がいいのではないでしょうか。
以上、参考になれば幸いです。お疲れ様。