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【Power Platform】デザインの属人化をどう防ぐか ~デザインガイドライン策定の取り組み~
こんにちは。DXソリューション営業本部の吾妻です。
Power Platformを導入した企業において、Power Apps や Power Automate を中心に活用が広がり、「市民開発」を前提としたシステム構築・運用のご相談をいただく機会が増えてきました。一方で、開発体制やスキルの多様化が進むにつれ、UIや画面設計の品質が個人の経験や好みに依存してしまい、アプリごとにデザインのばらつきや不統一が生じるという課題も、現場では顕在化しています。
本記事では、Power Platformにおける「デザインの不統一・ばらつき」という課題に対し、私たちが実際に取り組んできたPower Platform向けデザインガイドライン策定の考え方と工夫をご紹介します。社内での標準化作業に利用するだけでなく、お客様のガバナンス管理をご支援する際のリソースとしてご提供しています。
デザインの指針だけでなく、命名規約やロジック実装についてのガイドラインとしての「コーディング標準」についても別の記事でご紹介していますので、ぜひご覧ください。
デザインガイドラインとは
今回策定したデザインガイドラインは、Power Apps キャンバスアプリにおけるUI設計の標準化を目的とした、全9章・約50ページのドキュメントです。本職のデザイナーの知見をベースに、Power Appsに特有の制約や実装例を踏まえた内容になっており、デザイナー・エンジニアでない方にも理解しやすい構成を意識しています。
主な目次構成は以下の通りです。
想定読者:市民開発者(初学者)から、デザインレビューを担当するエンジニア・PM まで幅広く対応しています。特に「デザインに自信はないが、ある程度整ったUIを作りたい」という方を主な対象とし、「なぜそうするのか」の解説と図解を多く取り入れています。
策定の背景
背景①:ローコード開発における「デザインの不統一・ばらつき」という課題
Power Platformによるローコード開発は、アプリの構成や画面設計をGUIから誰でも容易に確認・変更できるという特徴があります。これは大きなメリットである一方、標準的なデザインに反した実装も自由にできるということでもあります。
定期的な転勤・異動がある組織や、市民開発者の参加が増える環境では、当初の開発者と運用保守担当者が異なることが多くなります。デザイン標準が存在しなければ、引き継ぎのたびに画面デザインのばらつきが拡大し、品質の維持が難しくなります。
このような理由から、「誰が作っても、最低限同じ品質になる」ための指針を予め用意しておくことが重要になります。
背景②:市民開発とガバナンス管理の両立
市民開発が進むにつれて、もう一つ重要になるのがガバナンス管理です。
・野良アプリの増加
・スキル差による事故・トラブルのリスク
・アジャイル開発によるアプリライフサイクルの短期化
これらは、市民開発を推進する企業であれば必ず直面する課題です。ガバナンスを強くしすぎれば開発スピードや自由度を損ない、緩めすぎればセキュリティ・コンプライアンス上のリスクが高まります。その中で、UIや画面設計に関する「最低限守るべきルール」を明文化することは、比較的取り組みやすく、かつ効果の高いアプローチだと考えます。
取り組み:デザイン会社さんと共同でのガイドライン策定
今回の取り組みでは、デザイン会社さんにご協力いただきつつ、Power Platform向けのデザインガイドラインを策定しました。QESにはオフィスソリューション事業の部門があり、デザイナーも所属しているのですが、工業デザインのうちのソフトウェアUIで、かつ市民開発者(初学者)向けとなるとなかなか難しい面があったため、外部のデザイン会社さんにご協力いただくことにしました。
デザインガイドラインの特徴は次の通りです。
・本職のデザイナーの知見をベースにしつつ、Power Appsに特有の制約や、過去の実装例を踏まえてカスタマイズ
・デザイナー・エンジニアではない人でも理解できることを重視
・「なぜそうするのか」が分かる説明と、図解を多用
完成したガイドラインは、全9章・約50ページの構成で、UI設計に迷いやすいポイントを一通りカバーしています。
工夫したポイント①:アンチパターンとチェックリスト
自身の通常業務を抱えながらローコード開発を行っている市民開発者など、ボリュームのある文書を読む時間が取れない人向けに、・避けるべきアンチパターン
・最低限確認すべきチェックリスト
を用意している点も、実務を意識した工夫の一つです。
「まずはここだけ守ればよい」という入口を用意することで、初学者や新規参画メンバーでも、すぐに活用できるようにしています。
工夫したポイント②:「守・破・離」を前提にした設計
ガイドラインは、ルールで縛ること自体が目的ではありません。①「守」:まずは型通りに作る
②「破」:理由を理解した上でアレンジする
③「離」:目的に応じて最適なUIを設計する
この流れを前提に、成長を妨げないガイドラインになることを意識しました。
標準化とオリジナリティを対立概念として扱わず、段階的に両立させる考え方です。
期待される効果と今後
デザインガイドラインの策定により、次のような効果を期待しています。
・UI・画面設計の品質の平準化
・レビュー観点の共通化
・初期教育コストの削減
・保守・引き継ぎ性の向上
社内利用にとどまらず、市民開発・ガバナンス管理案件においてお客様向けにご提供するコンテンツとして展開していくために、今後は、
・教育コンテンツへの組み込み
・セルフレビューへの活用
・セミナーやコミュニティ活動との連携
といった形で効果を検証しながら、さらに活用の幅を広げていきたいと考えています。
まとめ
Power Platformは「簡単に作れる」からこそ、作り方の指針がより重要になります。今回のデザインガイドライン策定は、単なる資料作りではなく、人が変わっても、規模が変わっても使い続けられる開発基盤を整える試みです。同じような課題を感じている方の参考になれば幸いです。弊社の Power Platform ガバナンス整備サービスでは、今回ご紹介したようなデザインガイドラインや開発標準の整備支援をはじめ、市民開発者コミュニティの運営支援やガバナンス管理体制の構築まで幅広くサポートしています。まずはお気軽にお問い合わせください。
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