松井氏のユーチューブ動画について事務所に聞くと…
前述の松井氏の「NoBorder News」への出演後にも、筆者は木下氏に改めて見解を聞いていた。木下氏は5月20日付の回答書で、「これまで回答させていただいていることに相違はありません。『週刊文春』が報じた内容については、事実ではありません。高市事務所では、松井氏のアカウントを承知しておらず、活動の具体的な内容は一切承知しておりません。当然、松井氏が選対のメンバーという事実もありません」と主張した。
高市総理の曖昧な答弁とは裏腹に、木下氏は取材に対して、松井氏との「接点」は率直に認めてきたのだ。誹謗中傷動画問題に関しては、松井氏が「勝手連」としてSNS対策をしていたことは認めつつも、アカウントや具体的な活動は承知してなかったというのが、木下氏の主張である。
サナエトークン問題についても、松井氏をはじめとするNoBorder DAO側が、高市早苗応援プロジェクトとして、「Japan Is Backプロジェクト」を企画し、その相談に乗っていた事実は認めている。その一方で、松井氏の告発とは異なり、投機的要素を持つ暗号資産に対して、承認を与えるようなことは一切なかったと主張する。
木下氏の主張は、松井氏の主張と矛盾する点も多々あるが、いずれにしてもやりとりを重ねてきたことは認めている。
無論、松井氏の証言や、提供資料についてもその真偽は検証されてしかるべきだ。ただ、高市事務所は本当に松井氏のアカウントを承知していないのか、本当にサナエトークンが暗号資産だと知らなかったのか、という疑惑は横に置いておくとしても、松井氏と接触してきたこと自体は事実なのだ。
サナエトークンから誹謗中傷動画問題に至る一連の問題は、高市総理が注力するインテリジェンス(情報収集・情報分析)の問題でもある。筆者が報じてきたように、松井氏を巡っては、複数の投資トラブルの存在が確認されている。そんな人物がなぜ、現職総理の事務所所長とやりとりを重ねるようになったのか。その真相も明らかにされるべきだ。
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かわの・よしのぶ/'91年、東京都生まれ。早稲田大学政治経済学部を卒業後、「サンデー毎日」「週刊文春」の記者を経てフリーに。主に政治を取材している
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