高市早苗首相が就任してからの1カ月間で日経平均株価は乱高下した。当初は新政権への期待が先行し、10月末には史上最高の5万2千円台に達したが、11月に入ってからは急落する場面が散見される。財政拡張路線への警戒感から、債券や円とともに売り込まれる「トリプル安」に陥る日もあり、先行きは楽観を許さない状況だ。
自民総裁就任後4000円超の上昇
日経平均の20日終値は前日比1286円24銭高の4万9823円94銭。首相が自民党総裁選を制する前日の10月3日終値からは4千円超、首相就任前日の20日終値からは600円超上昇した。
ただ、直近はさえない展開が続く。背景には、人工知能(AI)などハイテク関連銘柄の価格上昇が一服したことに加え、日中関係の悪化懸念がある。首相は11月7日に国会で、台湾有事を巡り「存立危機事態になり得る」と答弁。これを受けて中国からの訪日客の減少が懸念され、空運や化粧品など中国向けの売上高比率が高い銘柄が軒並み下落した。
「責任ある積極財政」に疑問符も
政府が21日に決定する総合経済対策が21・3兆円程度と大規模化することが確実となり、首相の「責任ある積極財政」へ疑問符が付き始めたことも株価停滞の要因だ。債券市場では日本国債、外国為替市場では円への売り圧力が強まっている。トリプル安が定着すれば、景気停滞につながりかねない。
三井住友DSアセットマネジメントの市川雅浩チーフマーケットストラテジストは、中長期的な株価の上昇基調は変わらないとしつつ、首相が市場の信認を得るには「財政安定の青写真を示すことが必要だ」と指摘する。(根本和哉)