<主張>立法府の総意案 日本の皇統を護る内容だ 男系継承の伝統を確認できた

社説

会談後、記者団の取材に応じる森衆院議長(中央右)と関口参院議長(同左)ら。皇族数確保策の取りまとめ案について合意した=6月5日午後、衆院議長公邸(春名中撮影)

衆参両院の正副議長が国会の全13党派による全体会議へ、政府報告書を受けた皇族数確保策に関する「立法府の総意」案を提示した。

総意案はまず、今上陛下から秋篠宮皇嗣殿下、次世代の悠仁親王殿下という皇位継承の流れをゆるがせにしてはならないことを確認している。政府報告書が示した、①女性皇族が婚姻後も皇族身分を保持②養子縁組による旧11宮家の男系男子の皇籍復帰―の2つの案を容認し、政府に対して直ちに法制化に着手するよう求めている。

各党派は10日に決定を

皇族数確保策であるのと同時に、男系(父系)継承という皇位継承の最重要原則を護(まも)る内容で評価したい。大多数の党派が賛同しており、10日の次回全体会議で決定してもらいたい。

調整過程の総意原案には懸念があった。①案をめぐり、女性皇族が婚姻した非皇族出身の夫とその子に皇族身分を与える恐れがあった。政府報告書が認めなかった女系継承による女性宮家創設という禁じ手だった。

皇族は天皇と同様に男系で継承されてきた。皇位継承者を出す集団なのだから当然の話だ。

これを堅持してきたからこそ、皇室は長く続いてきた。男系男子以外の夫とその子を皇族とするのは、皇族の正統性を壊す暴論だった。

女性皇族と夫と子の立場が異なるのは、家族としてどうかと疑問視する声が一部にあった。これは歴史知らずの浅見だ。幕末に皇女和宮は皇族身分のまま第14代将軍徳川家茂(いえもち)と結婚したが、家茂は臣下のままだった。和宮は明治維新の際、亡夫の徳川家のために力を尽くした。

総意案では女性皇族の婚姻後の皇族身分保持について「皇室の歴史に整合的」な観点を含める制度設計を求めた。皇室の歴史に先例のない、男系男子でない夫とその子への皇族身分付与は採らないということだ。

②案の養子案をめぐっても、総意案は「我が国の歴史・伝統を踏まえ」ての制度設計を求めた。日本の君主である天皇の位の継承は正統性、安定性に直結するため、歴史と伝統を必ず踏まえなければならない。 

養子となって皇族になる男系男子自身は皇位継承権を持たないとしたのは政府報告書を踏襲した。悠仁親王殿下には今世紀末頃まで在位されることが期待できる。養子となる皇族の子息の世代は、生まれながらの皇族として皇位継承権を有することになる。悠仁親王殿下に皇子が生まれ皇位を継がれるのが望ましいが、それを支える宮家が増えることは絶対に必要だ。

ただし、万が一の不測の事態においては、養子として皇族となった男系男子自身の即位もあり得ることは、皇統を護る上で全否定してはなるまい。

愛子さま即位あり得ぬ

総意案が、悠仁親王殿下までの皇位継承の流れをゆるがせにしないと確認した意味は極めて重い。世間の一部が唱える、愛子内親王殿下の即位はあり得ないということだ。

皇室典範第1条は「皇位は、皇統に属する男系の男子が、これを継承する」としている。

過去の10代8人の女性天皇はいずれも男系皇族だが、女性天皇の女系のみの血筋の子が皇位を継承した例はない。女性天皇は即位前に男性の天皇、皇族と結婚した場合のみ子をなしている。在位中に夫が存命の例もない。生涯未婚の女性天皇は4人いた。

現代で女性皇族に即位を認めれば、皇室の歴史に整合的であるために結婚が極めて難しくなる。女性皇族の負担が大きすぎる。また、女性皇族の即位は天皇の在位を細切れ化し、憲法が求める天皇の象徴性を損なうことにもなる。

今上陛下は、即位儀礼の掉尾(とうび)を飾るものとして、国事行為を含む「立皇嗣の礼」を挙行し、次の天皇は秋篠宮皇嗣殿下だと内外に宣明された。その際、衆参両院は全会一致で賀詞を奉った。この重みを踏まえない議論は日本に混乱と分断を生み、皇室に迷惑をかけるだけだ。

今回の総意案は単なる皇族数確保に限られるものではない。上皇陛下の譲位特例法制定時の付帯決議は、「安定的な皇位継承を確保するための方策」について「立法府の総意」をまとめるとしていたからだ。

皇族数確保策のうち②案が皇位の安定継承につながる。そこで「立法府の総意」を示す必要があったと言えるのである。

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