イギリスで、教職員に対する暴力やミソジニー(女性嫌悪)、人種差別の問題が深刻化しており、対策強化を求める声が高まっている。
教員組合NASUWTが組合員約5800人を対象に実施した調査報告書によると、児童や生徒から身体的暴力を受けたと回答した割合は約40%、言葉による暴力や虐待は85%に上った。
暴力行為が最も高かった年齢層は12〜14歳の62%で、次いで15〜16歳の51%、8〜11歳の26%、4〜7歳の18%だった。
中でも、女性教師は男性教師に比べて言葉による暴力の被害を受ける割合が高く、27.3%が週に数回、14.3%が毎日暴言を浴びせられていると回答した。男性教師はそれぞれ20.4%、9.8%だった。
また、生徒の暴行が法的問題になったケースは2024年2月1日〜2025年2月1日の間で20件報告され、そのうち女性教員が巻き込まれたのは16件と男性教員の4件を大きく上回った。
多くの教師が問題行動の原因として挙げたのは
こういった生徒の問題行動に悪影響を与えている原因として、ソーシャルメディアを挙げた教師は59%で、最も多かった。
特に、極右のインフルエンサー、アンドリュー・テイトの影響が、女性教職員や女子生徒に対する女性嫌悪的な暴言や嫌がらせの増加につながっていると多数の教師が報告した。
調査では「アンドリュー・テイトやいわゆる『アルファ男性(支配欲の強い、力強くて成功した男性)』たちの影響で、女性に対するトキシック・マスキュリニティ(有害な男らしさ)やミソジニー、暴力的な行動や発言が増えている」「性差別的で暴力的なコンテンツにアクセスし、教室で真似している」などの声が寄せられている。
テイトは女性への暴力を勧めるなど「女叩き」の言動で知られ、イギリスで複数の女性に性暴力で訴えられている。
小学校の教師の一人は、「私が女性だという理由で私とは話さずに、男性の指導補助員に話しかける男子児童がいます。彼らはアンドリュー・テイトをフォローして、彼の所有する車や“女性はこう扱われるべき”という主張を素晴らしいと思っているのです。児童らはまだ10歳でした」とガーディアンに述べている。
他にも「テイトの動画の影響で、女性教師に向かって怒鳴ったり、通路を塞いだりする男子生徒がいる」「暴力的で過激なポルノの影響を受けている」といった教師からの報告もある。
NASUWT北アイルランド会長のサリー・リースさんは、生徒にスカートの中を盗撮される被害に遭い「ひどく侵害された気持ちになった」とスカイニュースに述べている。
「私たちは、アンドリュー・テイトやその他の人物が少年たちの教室での行動に与えている影響を目の当たりにしています」
「忘れてはならないのは、教育現場の大多数が女性で構成されているということです。明らかに『お前に命令される筋合いはない』という発言や、『男には女性や女性の身体を支配する権利がある』といった態度の標的にされています」
NASUWTのパトリック・ローチ書記長は4月に開催された組合の年次総会で、教師への暴力やヘイトは、教育現場だけではなく保護者やソーシャルメディアを運営する企業、国を含めた様々な機関が協力して取り組んでいくべき問題だと述べている。
「ミソジニーや人種差別、その他の偏見やヘイトは最近になってメディアの注目を集めるようになりましたが、データからわかるように決して最近始まったものではありません」
「すべての子どもや若者を極右のポピュリストや過激派の危険な影響から守るために、今すぐに学校や大学、その他の機関が連携して行動することが求められています。学校や大学が、生徒と職員にとって安全な場所であり続けるようにしなければなりません」