マイクロン・三菱電機・ディスコ…半導体産業活況、広島の現在地
広島県内で目下、注目されているのは、米マイクロン・テクノロジーが生産子会社のマイクロンメモリジャパン(広島県東広島市)に対し、2029年度までに総額1兆5000億円を投資する計画だ。だが、ほかにも県内にはパワー半導体の三菱電機やディスコといった半導体を支える製造装置メーカーなどが集積。新工場の建設など大型投資も複数あり、県内は半導体産業で活況を呈している。(広島・石宮由紀子)
10年代初頭の半導体業界の不振を経て、データ通信の高速化やAI(人工知能)の進化をけん引するべく、半導体産業が再び成長軌道に乗っている。広島県の半導体を含む電子部品・デバイスなどの製造品出荷額は、23年度は約5905億円だった。電気機械全体の約70%を占める重要な産業だ。
経済産業省は25年、米マイクロンに対して最大5360億円の支援を決定。広島県も26年度当初予算に半導体関連産業集積促進事業として、4997万円を計上し、県内の半導体関連企業の相談体制の整備や新規参入を後押しする体制を整えた。商工労働局半導体産業課の吉原渉平課長は「エコシステム(生態系)を考えながら半導体産業を支援している」と話す。
注目されているマイクロンメモリジャパンはもともと、広島日本電気として1988年に設立した企業だ。その後、政府主導で国内電機メーカーの半導体事業を集約し「日の丸半導体」とうたわれたエルピーダメモリの子会社となった。2012年の同社破綻後、米マイクロンの子会社として再出発している。
そんな米マイクロンに対する県の期待は大きい。同社の生産子会社に工業用水を供給するため、約30億円を投じて広島の主要河川の太田川から水を引く設備を整え、27年度に給水を始める。複数の洗浄工程がある半導体の製造には高品質な水が大量に必要で、現在の給水能力では増産分をまかなえないためだ。
県内は米マイクロン以外にも半導体関連産業が集積している。マイクロンメモリジャパンのある東広島市内には、米マイクロンを支えているとみられる半導体製造装置メーカーのサービス拠点が複数ある。微細な回路を焼き付ける極端紫外線(EUV)露光装置で業界を圧倒する蘭ASMLのほか、世界2位の米アプライド・マテリアルズ、国内メーカー首位の東京エレクトロンの事業所などだ。
また、市外に目を向ければ、近隣の呉市に研磨装置などのディスコの呉工場、県東部の福山市は三菱電機、シャープの半導体事業の流れを汲むフォックスコン福山テクノロジーズが立地。装置メーカーにはローツェやホーコスなども立地する。中でもディスコは精密加工ツールの新工場を28年に、ローツェは29年に新社屋の稼働をそれぞれ計画しており、広島県は日本の半導体産業を支える1県となっている。
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パソコンやスマートフォン、自動車など現代社会のあらゆる電子機器に欠かせない「半導体」。安全保障上の戦略物資とされ、産業をめぐる国際競争は激しさを増す。その主たるプレイヤーである台湾積体電路製造(TSMC)やラピダス、キオクシアなどの動きや最先端の研究開発の動向を追う。