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薬の容器なども供給不安定に ナフサめぐる影響 医療現場にも

ナフサ

中東情勢による「ナフサ」を原料とする石油化学製品の生産量が減少する中、薬の容器などの供給も不安定となっていて、医療の現場にも影響が広がっています。

納期1か月以上 めど立たないものも

東京 墨田区の調剤薬局では、プラスチック製の「軟こう容器」や粉薬や錠剤を入れる「分包紙」などについて、販売会社などへの注文がしにくくなっています。
納期が1か月以上かかるものや、めどすら立たないものも出てきているといいます。

このため、ふだんは1か月分ほどある軟こう容器の在庫が数日分に迫ることもあるといいます。

一部の商品は、取り引きがなかった業者に発注してまかなっていて、仕入れコストは上がっているうえ、これまでのふたと色が違うため、使い慣れていない患者が薬を間違えて使用しないか懸念しています。

また、粉薬などを入れる「分包紙」も在庫がぎりぎりの状態で、不足した場合、紙で一つ一つ包まなければならず、分包紙だと10分ほどで終わる作業が1時間以上かかるということです。

薬剤師の小縣悦子さんは「今はまだ在庫はあるが、足りなくなるものが出てくると思う。早く元の形に戻ってほしい」と話していました。

同じ区内の調剤薬局では、子どもが服用しやすい、飲み薬のシロップの瓶が入荷しにくくなっていて、5月から医師に粉薬を処方するよう協力を依頼しているということです。

小学2年生の男の子は「粉薬の中には苦いものがあるので、飲みやすいシロップの方がいいです」と話していました。

注目

東京 墨田区 調剤薬局の4割で容器などの在庫ひっ迫

東京 墨田区の薬剤師会が中東情勢の影響を受けて行った緊急アンケート調査で、会員の4割近くの調剤薬局で、塗り薬を入れる「軟こう容器」などの在庫がひっ迫していることが分かっています。

緊急のアンケート調査は5月25日から29日まで実施され、墨田区薬剤師会の会員80軒のうち、7割に当たる58軒が回答しました。

在庫状況について、「ひっ迫している」や「ほぼ底をついている」と回答したのは、
▽「軟こう容器」では「すでに在庫切れ」と答えた1軒を含むおよそ40%、
▽粉薬などを入れる「分包紙」でおよそ38%、
▽飲み薬の「投薬瓶」でおよそ24%となりました。

また、患者への対応の影響については、7割の薬局は特に影響はないとした一方、「容器が不足し代替の対応をしている」や「調剤を断った」という回答もありました。

また、「割高な商品もあり、経営を圧迫している」という声も寄せられているということです。

墨田区薬剤師会では、不足している容器などを薬剤師会で購入して提供することや、参加意志のある会員間で在庫を融通する仕組みを構築することなどを検討する方針です。

墨田区薬剤師会は「アンケート調査で調剤薬局の業界全体の課題であることが明らかになった。東京都薬剤師会に報告するとともに、必要な対応を検討して乗り越えていきたい」としています。

専門家 「政府は経営支援と流通の促進を」

石油製品の流通に詳しい桃山学院大学の小嶌正稔 教授は、医療製品などの納期が遅れ、品薄状態となっている理由を次のように説明しています。

【輸入先変更に伴うコスト高】
小嶌教授によりますと、ナフサの国内生産は4割で、6割は中東や韓国から輸入しています。

中東情勢の悪化で中東からの輸入は減少し、韓国も輸出に回す余裕はないということです。

このため日本は、アメリカからの輸入を増やすなどしていますが、調達にコストがかかり、ナフサの価格自体が高騰しているといいます。

【“川下側” 価格転嫁難しい】
ナフサ価格の高騰は、軟こう容器の原材料となる「ポリエチレン」や「ポリプロピレン」の値上げにつながり、結果、製造される軟こう容器の値上げを招きます。

ところが、原材料メーカーから商社を介して容器の製造会社、薬局へと、消費者に近い流通の “川下” 側に行くにつれて中小の会社などが多くなり、購買力に差が生まれます。

こうした場合、“川上” 側から仕入れする際の価格が上がった時に、その値上がり分を価格に転嫁して売れなければ損をするため、仕入れ自体を控えるところが出てきます。

結果として、製造や販売ができなくなり、流通の目詰まりが起きます。

今回は、そうした状況が発生している可能性があるといいます。

【調剤薬局特有の面も?】
また、調剤薬局の数は6万軒を超えています。

大企業と中小企業の間では購買力に差があり、中小企業に製品が行き渡らないといった流通の偏りが起きている可能性があるとしています。

【経営支援と流通促進を】
こうした状況の解決策について、小嶌教授は「韓国ではナフサの値上がりに対して補助金で財政支援をしている。政府は、値上がりの影響を受ける中小企業に対して、融資などの経営支援をする必要がある。また、ナフサが足りていると言うなら、前年と同程度の出荷を促してしっかりと流通させるように対策を講じることも求められる」と指摘しています。

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