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不貞行為“破綻信じる理由あれば過失なし” 最高裁が初判断

裁判

「夫と離婚する」と女性から聞いて不貞行為をした場合に、元夫への賠償責任を負うかが争われた裁判で、最高裁判所は「婚姻関係が破綻していると信じる相当な理由があれば、過失は認められない」とする初めての判断を示しました。

裁判記録によりますと、香川県内で料理店を経営する40代の男性は、3年前、パート従業員として勤務していた既婚者の女性から離婚届を見せられ、「夫と離婚する」と聞いて女性を自宅に招くようになりましたが、その後、離婚した元夫から「不貞行為があった」として慰謝料の支払いを求められました。

2審の高松高等裁判所は男性には過失があったとして55万円の支払いを命じ、最高裁の審理では、男性に過失があったといえるかが争点になりました。

5日の判決で最高裁判所第2小法廷の尾島明 裁判長は「婚姻関係が破綻していると信じる相当な理由があれば、過失は認められない」とする初めての判断を示しました。

そのうえで、2審でこの点が検討されていないとして、審理をやり直すよう命じました。

不貞行為の賠償責任をめぐって、最高裁は1996年に「婚姻関係が破綻していたときは、特段の事情のないかぎり賠償責任を負わない」と判断していて、5日の判決は、破綻していると信じた場合も賠償責任を負わないという、新たな考え方を加えるものとなりました。

《事案の経緯》

裁判記録をもとに、今回の事案の経緯をまとめました。

慰謝料を求められた経緯は

訴えを起こされた40代の男性は香川県内にある料理店の代表で、2022年の秋ごろから既婚者の女性がこの店でパート従業員として働き始めました。

女性は40代で、夫との間に子どももいましたが、2023年6月の時点で夫婦の間で会話がほとんどなくなるほど関係が悪化していて、夫からは「離婚を考えている」とメールで伝えられました。

8月ごろには、夫から
▽家計を別々に管理することや
▽互いのプライバシーに干渉しないことをメールで提案され、女性はすぐに離婚できるよう離婚届に自分の分を記入し、保管していました。

女性は、料理店の代表の男性に夫婦関係の相談を重ねるうちに好意を抱くようになり、自分の分を記入した離婚届を男性に見せて、「夫と離婚するつもりだ」と伝えたほか、夫とのメールのやりとりも見せました。

男性はそれ以降、女性を自宅に招くようになり、この年の11月に女性は離婚しました。

その後、男性は離婚した元夫から「不貞行為によって精神的苦痛を受けた」として、慰謝料など330万円の支払いを求められました。

1審と2審の判断は

1審の高松地裁丸亀支部は「不貞行為に及んだと認めるべき証拠はない」として元夫の訴えを退けました。

一方、2審の高松高裁は、不貞行為があったと推認されるとしたうえで、「『婚姻関係が破綻している』などとうそをついて不貞行為に及ぶ人が多いことはよく知られていて、これをうのみにするのは注意が足りない」として、男性に過失があったと認め、55万円の支払いを命じました。

最高裁の争点は『過失の有無』

最高裁の審理では、不貞行為の有無は争点から外され、男性に過失があったといえるかが争われました。

ことし4月に開かれた弁論で、男性側は「夫婦の不仲の相談を受け、それを裏付けるメールのやりとりも見せられているうえ、未完成ではあっても離婚届を見せられた。過失があると認定した2審の判断には重大な誤りがある」と訴えました。

これに対し、元夫側は「過失を認定した2審の判断は妥当だ」と反論していました。

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