1.肉眼を通して見えるもの

私たちは普段、肉眼を通して外界のものを見ています。例えば、目の前にリンゴがあるとします。リンゴは、太陽の光や電球の光を受けて赤色の光を反射し、その補色である青緑色の光を吸収します。リンゴが反射した光は、私たちの眼球の内側に広がる網膜を通過し、神経線維の束を伝って脳の視覚中枢に送られ、そこでリンゴの視覚像が再構成され、リンゴの色と形が認識されます。

リンゴが赤く見えるのは、リンゴが赤い色をしているからではありません。光の中に含まれる赤色の光をリンゴが反射し、青緑色の光を吸収していることから、結果的にリンゴが赤く見えているということです。
リンゴ


眼球の内側に広がる網膜には、光に反応する視細胞が片目だけで1億個以上も存在しており、光の刺激を信号に変えて脳で視覚像を再構成するための重要な役割を担っています。そして視細胞には、錐体細胞桿体細胞の2つの種類があります。錐体(すいたい)細胞は明るい場所で働き、赤、青、緑の3種類の光を感知することで物体の色や形を識別します。一方、桿体(かんたい)細胞は暗い場所で働き、錐体細胞のように色や形は識別できないものの、暗闇の中で微かな光を感知するほど光に対する高い感度を持っています。

〔補足資料〕
桿体細胞と錐体細胞について

リンゴの木



2.肉眼を通さずに見えるもの

私たちは、肉眼(眼球の網膜や視神経)を通さずに直接、脳の視覚中枢で視覚像を構成することがあります。このように肉眼を通さずにイメージを構成することを視覚化(Visualization)といいます。

◎視覚化(ヴィジュアライゼーション)の例
 ・寝ているときに夢を見る。
 ・遠くにいる人の姿をイメージで思い描く。
 ・過去の出来事をイメージで思い出す。
 ・未来の目標をイメージで思い描く。
 ・その他


夢を見る人



3.視覚化の二つのパターン

(1)意図的な視覚化
 ・ある色やある形を意識的にイメージする。
 ・例:部屋の模様替えをイメージする。

(2)非意図的な視覚化
 ・あるイメージが向こうからやってくる。
 ・例:ふと四角い箱が目に浮かび、数分後に宅急便が届く。

意図的な視覚化と非意図的な視覚化は完全に区別できるものではありませんが、この2つのパターンを知っておくと視覚化の認識が深まります。

女性


4.秘教的瞑想体系と視覚化

古今東西のさまざまな秘教的瞑想体系において、視覚化を幻想や妄想と名づけて厳しく禁じる流派がある一方、密教や密儀として伝えられた流派では視覚化の能力を訓練しながら開発していきます。視覚化の能力を開発するにあたり、以下の2点を心得る必要があります。

(1)視覚化はかならず儀式の中で行う。
物理的な現実と霊的な現実の区別をつけるために、特別に清められた空間での儀式の中において、一定の手順を踏みながら、その目(霊的次元での視覚化の能力)を開き、儀式が終わったらその目を閉じるということを行います。

(2)視覚化は境界の守護霊のもとで行う。
霊的な世界の中で制御不能な状況に陥らないように、視覚化は境界の守護霊のもとで行います。

◎視覚化の例
 ・心眼
 ・霊視
 ・魂の目
 ・第三の目
 ・直感(intuition)
 ・透視(clairvoyance)
 ・遠隔透視(remote viewing)
 ・スクライング(scrying)
 ・その他


瞑想する女性



5.生命の木と視覚化のプロセス


カバラー生命の木では、10のセフィロトにおいて、それぞれ視覚化のプロセスがあります。上位にいくほど見える世界は精妙かつ深くなっていくことから、より繊細な感覚を研ぎ澄ませる必要があります。

◎生命の木と視覚化の段階:
 ・マルクトの視覚化=物理次元(肉眼)
 ・イエソドの視覚化=エーテル領域(エーテル視)
 ・ホドとネツァクの視覚化=アストラル領域(アストラル視)
 ・ティファレトの視覚化=神聖幾何学、曼荼羅的なもの
 ・ケテルの視覚化=布斗麻邇、マトリックス的なもの


生命の木



記事更新日:2025/06/07