いつでも聴けば“夏”…海辺の町で26歳から歩み続ける音楽家・南佳孝「毎日同じことをやる」その真意と価値
音楽家・南佳孝さん。1950年1月9日生まれの75歳で、昨今世界中で人気を博しているシティポップの言わばパイオニア的な存在だ。作曲数400曲以上、アルバム数50枚以上を誇り、作詞家としては松任谷由実さん、秋元康さんなど、また編曲家としては坂本龍一さん、後藤次利さんなどが彼の楽曲を彩ってきた。 【動画を見る】南さんの夏に逢いに行く そんな南さんの、2025年の夏を記録した東海テレビの音楽ドキュメンタリー『南さんの夏に逢いに行く』が、無料動画配信サービス・Locipoで独占公開中だ。当記事ではその中から、日ごろのルーティーンや“相棒”のギターについてお届けする。 2025年7月14日(月)神奈川・逗子、気温26.6度。自宅で過ごしていた南さんは、スケッチを描いたノートをめくり、語り始めた。 「コロナからのこの5年で絵とかもやりだして。毎日散歩から帰って10分、15分みたいなそんな感じで。おいらのポートレートとか、意外と似てるでしょ(笑)?音楽もそうだけど、毎日同じことをやってると、1ミリ、2ミリでも上手くなるんですよ」 南さんはノートを閉じて、2階のアトリエへ。イーゼルに置かれたキャンバスには女性をモチーフにした油絵が。黒いエプロンをまとい、南さんはその女性と向き合い始めた。 平筆で緑の絵の具をのばし背景を彩っていく。一筆ずつ、ギュッギュッと「君はここだよ」と伝えるかのように色を置く。意外と大胆な筆遣いが印象的だ。 これまで描いた自画像はアルバムのジャケットに。描きとめた絵画の個展まで開いた。 「当たり前ってのは一番嫌だよね。工夫しないと面白みに欠けるっていうか…。欲張りなんだよね(笑)。描いていて、もっと良くなるって思うから。アルバムつくってても、サウンドになると、何だろう…もっと良くなるよなぁって。歌詞と曲のバランスもね」 何度も口にした「もっと良くなる」。その魔法の言葉は、彼の人生の主旋律を支えるベースラインなのかもしれない。 南さんが、自宅の音楽部屋で調弦をしていた時のこと。長年の相棒を紹介してくれた。 「このギター、もう何十年使ってんだろう。むちゃくちゃ軽くて。ボサノバが好きなんですけど、これはヤマハの『フラメンコ スタンダード』っていうフラメンコのギターなんです。1回割れて、綺麗にしてもらって。これを触ってるのが一番多いんじゃないかな」 楽しそうに語るその横顔は、本当に青年…いや、少年のようだった。 同じ日、外でのルーティーンに向かうという南さんを玄関先で待っているとドアがガチャリ。装いは紺色のTシャツにショートパンツ、そして頭にはサングラス。 「だいたい毎朝7時台。で、帰ってくるのは8時台で。やっぱり海はいいですよ。もう30年以上住んでるし」 南さんが海辺の町に住み始めたのは26歳の頃。 「何か知らないんだけど、子供の頃から海が好きで。親父も好きだったんだよね、しょっちゅう海来てたし。……みっともないけど、いつも通りということで、脱がさせて(笑)」 照れくさそうにそう呟くと、サングラスを外してTシャツを脱ぐ南さん。抜けるような青空の下、裸足にショートパンツ姿になってキラキラと輝く海を見つめる。 「やっぱり夏の湘南の正装じゃないですか?(笑)。昔から好きなんで、こういう所が。だから結構、不思議とずっとこの感じですね」 水面を滑っていくヨット、父親が連れていってくれた海…。南さんの原風景を知ることができたような気がした。 このほか、動画では南さんが自身の音楽のルーツだとするボサノバとの出逢いや、作詞家・売野雅勇さんとの特別対談なども紹介。東海テレビの音楽ドキュメンタリー『南さんの夏に逢いに行く』は、動画配信サービス・Locipo独占で無料公開中。計30本を順次配信予定だ。