彼と30年ぶりに学生時代の「いつもの場所」で待ち合わせをした。
絶対に迷子になる予感がして待ち合わせ時間よりもだいぶ早くに到着した。
でも昔の携帯電話のない時代の待ち合わせの再現をしたかったから彼に「着いてるよ」の連絡もあえてしなかった
改札の出口は何ヶ所かあってさっぱり思い出せなかったけどそれでも私の記憶を辿りながらこの辺りだ…って場所へ歩いてみた。
この辺りの角だったような?って半信半疑でその場で待ってみた。
あれ、でもなんか違うな この場所じゃないような気がしてきた…
でも駅が広くてあまりウロウロすると余計に迷子になりそうで一か八かでそこで待つことにした
約束の時間になった。
………
………来ない
すぐに彼から電話が来た
噓でしょー
いないんですけどー
○○○ごめーん
やっぱここじゃなかったかー
どこにいるの?何が見える?
△とか□とか…広くて分からない
オッケー探しに行くよ
私はもう動かず電話しながら彼を待った。
あー!いたー
彼が笑いながら登場した。
なんでここなの! やり直しだよ
って事で彼の後をついていったら「いつもの場所」に辿り着いた。
あーーーホントだ
この角だったね!
結局あれだけ大事な思い出だと思っていた待ち合わせ場所は彼だけが覚えていたのだ。携帯電話に頼れる時代で良かった
後で反省会だね!
って言いながら懐かしの登場シーンの再現をしてくれた。私が待ち合わせ場所で待ち、後から彼が颯爽と登場。50過ぎたおじさんとおばさんの思い出の場所での待ち合わせ再現ってウケるね~って笑いながら地下道を通って地上に出て学校へ向かった。
彼が受付で「卒業生なんです。少し見学してもいいですか?」って聞いてくれて校舎も少しだけ覗くことが出来た。よく彼と待ち合わせしたエレベーターホールとか勉強したカフェとか昔と変わってなくて嬉しかった当時二人でランチしに行った商業施設も健在でそこまで歩いてみた。彼は新しいビルを見ながらここは昔はあーだったよね、こーだったよね、って色々思い出しながら話してくれたけど私は街並みとかほとんど覚えてなくて、そう言えば私はいつも彼の顔を眺めて歩いていたんだった。だから他の記憶が曖昧だったんだなって気付いた
ここは昔、こんな店だったよね?と熱弁してくれている横で、私は心の中で「ごめん、そこが何だったかより、その時の○○○の髪型とか笑顔とか着ていた服の色のほうが鮮明に覚えてるよ…」とツッコミを入れつつ、やっぱり彼の横顔を見つめていた
駅近くまで戻ってきたので昼飲み出来る居酒屋でランチした。ビールとおつまみ数種類とミニ炒飯とミニ麻婆丼を注文して楽しい時間を過ごした。
今日○○○と一緒に思い出巡り出来て嬉しかったよ。もっと涙溢れるかと思ったけどそんな事にはならなかったし懐かしくてちょっと切なくなったけどちゃんと今の温かな気持ちを上書きしてこれたよ。
俺も○○と一緒に来れて良かった。
これからもずっと一緒にいたいと思ってるよ。
昔私の事好きだった?
大好きでした
今も好き?
昔以上に大好きです
昼間の居酒屋でビールジョッキ片手に甘い言葉を交わすおじさんとおばさん
こんなひとときがベッドで抱き合う時間より幸せだなって思った。
まだ少し時間あったので最後に昔学校の帰り道お喋りして過ごした公園のベンチに座って景色を眺めながら思い出に浸った。
30年前彼はいつも私の隣にいてくれた。若かったけどあの時に出来る愛情表現の全てをしてくれていたと思う。
そして今は私だけの彼ではないけど彼が今出来る最大限の事をして愛を伝えてくれている。
この場所には彼とはもう二度と来ないって思っていたけどこの歳になってこうやって彼と思い出巡り出来てほっこり温かな気持ちになれて良かった
彼はこっちに営業だった訳じゃなくこの時間の為にわざわざ仕事抜け出して来てくれたのだ。そんな彼の優しさにきゅんきゅんしながら昔のように駅改札でバイバイした。
楽しい時間をありがとう