第100話

寄り道②
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2026/05/27 10:00 更新
🐧「スンミナ、今日一緒に寄り道しない?」
🐶「いいけど。……熱あるとか言わないよね?」
ボーカルレッスンのない日。
久しぶりに自分からスンミナを寄り道に誘うと、彼はお化けがなにかを見たときのように目をぱちくりとさせた。
🐧「熱はないよ。なんで?」
🐶「ヒョンから、それもレッスンのない日に誘ってくれることなんて珍しいから」
🐧「ああ、確かに。今日はちょっとね」
「珍しいこともあるんだね。雷でも落ちないといいけど」
なんて真顔で呟くスンミナの言葉をスルーしながら、荷物をまとめて外に出る。
🐧「なにか食べたいものある?」
🐶「今日は軽めがいいかも。屋台とか」
🐧「いいね、それならキンパがいい」
目的地に着くまでの間、スンミナとの雑談が弾む。
🐶「そういえば、ハニとも出かけてあげてよ。この前、スンミナばっかりヒョンと一緒でずるいって言われたから」
🐧「へえ、ジソンが?可愛いやつだね」
🐶「因みに、次の休日の予定は?」
🐧「特になにも。ゆっくりして……あ、兄弟が来るんだった」
🐶「リズヌナも?」
🐧「ううん、姉さんはハリウッドで撮影中」
🐶「そっか、残念。会いたかったのに。……あ、じゃあ、弟さんは来られるの?」
🐧「うん」
スンミナとの寄り道は好きだ。
昔から、自分自身に対しても周囲に対しても、普段よりずっと素直になれる時間だから。
それ故に、デビューして数年経った今も変わらず続いているのだ。
🐶「あなたの下の名前ヒョンって、兄弟と一緒だと弟って感じするの?」
🐧「う~ん、どうだろう。あんまり意識したことないかも」
🐶「じゃあ、vlogでも撮ってよ。僕興味あるかも。あなたの下の名前ヒョンの、あなたの名字兄弟のプライベート。STAYもそういうの喜んでくれるよね」
🐧「わかった、スンミナがそう言うなら、カメラ回してみようかな」
🐶「あ、あのお店どう?テイクアウトできるよ」
🐧「スンミナ、天才」
スンミナが指さした先には、コマキンパの専門店。
ハイタッチして中に入ると、そのまま数種類ミックスして注文する。
🐶「やった、思いがけずヒョンが奢ってくれた」
🐧「その代わりスンミナの一口ちょうだい。僕のもいる?」
🐶「ツナ?……いいよ、じゃあ一口ずつ」
🐧「こういうの、なんだか懐かしくて好きだな。NYでもよくやってたし……」
🐶「え、食べ歩きしてたの?」
🐧「というより、テイクアウトして、公園に行って、また食べる、みたいな。あとは、食べるために立ち止まるっていうより、移動しながら食事をするって感じ」
🐶「熱々のコーヒー片手に?」
🐧「そう。でも韓国に来てから、冬でもアイスアメリカーノが手放せなくなったよ。以前は寒いのにおかしいでしょって思ってたけど」
🐶「韓国に住んで長いもんね。それじゃ、希望通りアアを買いに行こう」
こういう話を、チャニがいないときにするのは久しぶりかもしれない。
昼下がり、都会の賑やかさも忙しなさも封じ込めたアイスアメリカーノは、冷たいのに優しい味がして。
スンミナを寄り道に誘ってよかったと思いながら、短い外出を楽しんだ。

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